「サラリーマン100人に聞いてみた」というアンケート結果が新聞に出ているとする。調査の立場からいえば、ここで問題になるのは(1)サラリーマンの定義と(2)100人の選び方である。
前者(1)の定義については、いま仮に「事務系の給料生活者で管理職を除く」というふうに決めたとしよう。その数は全国でも一つの都市にかぎっても膨大な数になるであろうが、その中から少数のアンケート対象者、すなわちサンプルを選ぶ方法が後者(2)である。
対象者の選定方法を大きく分けると次のようになる。一つは、調査企画者が十分に意を用いて、代表性があると思われる対象者を選び出す「有意選出法」である。他方には、それとまったく反対に、企画者の主観をまったく入れないで、乱数表を用いるなどして確率的に対象者を抽出する「無作為抽出法」がある。

有意選出法のなかの典型法は、対象者をできるだけ全体を代表するように慎重の上にも慎重を重ねて選ぶか、あるいはあらかじめ典型的といえるための条件を設定しておいて、それに従って選ぶかである。現在、政府の家計調査のサンプル世帯は無作為抽出法によっているが(1946年以降)、それ以前は典型法によって「家族は夫婦と小さい子供2人、収入はこの程度の勤め人」というようなきびしい条件で指定していた。
対象数が少ないときは、現在でも「典型的なスーパーマーケットを何店か選んで調べる」というように用いられる。この方法の欠点はやはり「何をもって典型的とするか」が企画者の主観に委ねられる点であろう。
たとえば「性別×年代別」に対象者を分けて選び出す。そして性・年代の構造に関してサンプルの代表性を保とうとするわけである。このためには前もって下表のように各欄に対象者数を割り当てる。ここから割当法の名がついた。
条件内でだれを選ぶかは現地(調査員)に任される。職業その他もっとこまかな条件をつけることも考えられるが、それだけ該当する対象者を探す苦労が大変になる。

この方法の欠点は、割当条件内で調査員が在宅がちの人だけを選ぶとか、知り合いを選びやすいとかで、対象者に偏りが生ずることである。これを防ぐには、前者については昼間だけでなく夜間あるいは休日にも訪問するように指示する。後者については、調査地点を全地域に無作為にばらまいて、それを各調査員ごとに割り付ける方法が一般的である。市場調査では、この無作為法と割当法の混合型を「エリア・サンプリング」と略称している調査会社が多い。
なお、現在の調査環境では対象者の拒否や不在が多いために、無作為に抽出されたサンプルをあくまで調査しようとしても限界がある。それならいっそサンプルの代替が利く割当法で最初から行こうというのが、調査業界の趨勢ともいえる。