「郵送法」とは調査票を対象者に郵送して記入してもらい、それを再び郵送で返してもらう調査方法の一つである。
郵送法は安くて済むというのが常識である。しかしそれは回収率を無視しての話である。そこで郵送法を実施するに当たっては次のどちらかをまず選ばなくてはならない。
(1)回収率が低くて結果の代表性が低くても安上がりな調査をしたい。
(2)時間と費用をかけて回収率を高めて、結果の代表性が保証される調査をしたい。
経験的にいえば、世帯・個人対象では(1)で20~30%の回収率が予想され、(2)では回収率60%をこえることが目標であろう。以下では後者の考えに立った郵送法について述べる。
- 対象者が地域的に分散しているときは、一人ひとり面接するのでは交通費が高くつくので郵送法が適している。
- 郵送法を採用するには時間的に余裕がなければならない。面接法でも2週間は必要であるが郵送法ではそれ以上の期間を要する。
- また調査票の質問量は多すぎないこと、内容はあまり複雑でないこと。質問量が多いと回収率が落ちるし、複雑だと回答誤りや記入もれが多くなる。
- 回答誤差の点でいえば、郵送法は他の家族が記入するとか回答態度がいい加減になりやすいとかの欠点がある反面、対象者が時間をかけて慎重かつ丁寧な回答をしてくれる、手持ち商品の確認をして記入してくれるなどの利点が期待できる。
- 訓練された調査員が使えないときは面接法は好ましくない。経験の浅い新人調査員を使うよりは、調査員誤差を含まない郵送法のほうがすぐれているといえよう。
- もし調査会社が大量の世帯サンプルと別途契約していて、その中から条件に合った対象者を選ぶことが許されるなら、郵送法の回収率はきわめて高くなる(たぶん90%以上)。
対象者心理をよく考えて、相手が封を開けて調査票を取り出したくなる、思わずペンを取って記入したくなる、そして急いで返送したくなるように数々の工夫をこらす必要がある。
- アドバンスカードの発送 … 事前に発送するハガキのあいさつ状。そのあと送られる調査票がダイレクトメールと間違えられてクズかごに捨てられるのを防ぐ効果がある。
- 調査票の発送 … 調査票は堅苦しい感じを与えないようイラストやレイアウトに気を配る。また質問文はくどくなく回答欄との区別がはっきりしていると書きやすい。謝礼品は調査票に同封発送すること、あいさつ文の宛名は手書きで入れること、回答用封筒には受取人払いの印でなく切手を貼ることなど、なるべく回答への義務感を持たせるようにする。
- リマインダーの発送 … これは調査票発送のあと2、3日以内に出すハガキ。相手がそのうち出そうとして忘れてしまうのを防ぐ効果がある。
- 督促状 … 10日ないし2週間以内に出す。調査票を無くしているかもしれないので再度同封する。電話による督促も平行して行う。
郵送法ではテーマに関心がない場合、たとえば海外旅行をしたいと思わない人はその種の調査に回答する気にならないであろう。もし無関心層についての意識内容を知ることも大切であれば、その中から何分の1かを抽出して、電話法または面接法に切り換えて調査を行うという手がある。この回答結果をウエイト付けして 郵送法による結果に組み入れることによって、全体の代表性が格段に高くなる。