調査データの誤差はバラツキとバイアス(偏り)に分解することができる。前者は標本誤差が代表的であり、後者は無回答による誤差、すなわち無回答バイアスが代表的である。
(1) 面接法 … 飲酒調査を行うと飲酒頻度の高い人は在宅率が低いので、調査結果は酒を飲まない人のほうに偏りがちである。また経験的に20代男性に不在が多いので、この層で大きくバイアスが発生する。
なお面接法では、対象者の選定に「無作為抽出法」と「割当法」があるが、無回答誤差は前者で発生するのであって、後者では対象者の性年代などの割当数を守っているかぎり、定義上バイアスは存在しない。
(2) 郵送法 … テーマに関心を持たない人たちの返送率が悪いために、例えば海外旅行についての調査をすると、海外旅行の経験または意向の高いほうにバイアスを生じる。無関心な人は回答しようとしないからである。もしそのような人々の意識についても知りたいのであれば、このようなデータは半分しか役に立たない。
面接法および郵送法における無回答誤差の測定または除去の方法を述べる。
(1) 面接法 … 回収率が低いほど標本の代表性は低くなり、無回答によるバイアスのおそれは大きくなる。調査不能の理由としては、「拒否」「不在」「移転」「居所不明」などがある。このうち不在がもっとも消費行動や意識に影響すると思われるので、この割合を減少させることが無回答バイアスの縮小につながる。だが不在世帯を繰り返し何度も訪問するのは、フィールドの費用効率の点から限界がある。
そこでとくに無回答バイアスをきらう一部項目については、調査票の留置きなり電話なりで回答者をできるだけ多くとらえるようとする努力が望まれる。
回収率の低い若い男性層などについて、事前の設定サンプルを水増ししておくとか、事後的にそれらの層に大きいウェイトを与えて集計することがよく行われる。しかし、これは形式的な数合わせでしかなく、バイアス除去にはならない。不在者の行動や意識は依然として不透明だからだ。
(2) 郵送法 … 郵送法の回収率は一般に低いものとみられているが、工夫いかんによって面接法なみの回収率をあげることは必ずしも困難でない。問題は、テーマに対する関心の有無で回答するしないが左右されることにある。このためのバイアスを防ぐには、次のような手段が考えられる。
本研究では、回収の初期の結果と、その後、十分に回収率をあげた段階の結果と比較して、低回収率によるバイアスを測定してみた。
図・回収率と無回答バイアス(一部)

