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花粉症みんなの対策―効果実感アイテムは?注目の治療法は?

※この記事は2017年1月のリリース記事を再構成したものです

花粉症は、国民病ともいわれるほど多くの人が悩まされているアレルギー症状。
インテージが2016年末に実施した1都6県(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬)を対象にしたネットリサーチによると、47%もの人が「自分は花粉症」と回答。そのうちスギ花粉が多くなる2~5月に発症する人が95%。
東京都が10年ごとに実施している「花粉症患者実態調査報告書」(東京都福祉保健局)によれば、20年前の調査で10.0%だった都内の花粉症率が、10年前では19.4%、2016年度では28.2%と、調査するたびに増えています。
そのような背景の中、花粉症対策用品も、年々効果的なものが発売されていますし、そのバリエーションも増えています。
そこでインテージでは、京浜エリアを対象にSRI(全国小売店パネル調査)のデータと、独自のネットリサーチ結果をもとに、花粉症対策の実態と市場を調べてみました。

半数以上の人が実行している「マスク着用」。そのほかの対処法は?

「自分は花粉症」と答えた人に、直近の発症時の対処として実行したことを尋ねてみたところ、やはり1位が「マスクの着用」。回答者の半分以上の56.5%の人がマスク着用を実行していました(図表1)。

続いて「処方薬」「うがい・手洗い」「市販薬」がそれぞれ、全体の4割程度。

以下、「顏や眼を洗う」「衣服の花粉を落とす」「外干ししない」「窓を開けない」など花粉を「落とす」「入れない」対策が続き、「花粉症に有効な食材」「花粉ブロックスプレー/クリーム」「健康食品/サプリ」といった食品やグッズの利用率はそれぞれ14%、11%、6%という結果でした。

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図表1 直近の花粉症発症時に実行した対策(性・年代別)

女性の方が積極的に対策している

男女差に目を向けると、対策の多くが、男性より女性の実行率が高いことがわかります。「何もしなかった」という人は女性では6%ですが、男性では10%超。特に、40-50代女性は「衣服の花粉を落とす」「外干ししない」「室内の掃除」といった室内に花粉を入れない対策をマメしている様子がうかがえます。「処方薬」「帽子着用」の実行率が高いのもこの層に特徴的です。

Key Point 1

首都圏の花粉症率は47%。花粉症対策の実行率トップ3は「マスクの着用」「処方薬の使用」「うがい・手洗い」で、男性よりも女性の方がいろいろな花粉症対策を実践。

京浜エリアだけで100億円に迫る勢いの市販薬市場。成長の背景とは?

述の通り、花粉症対策として全体の4割弱が頼りにしている市販薬。
2012年秋に、処方薬だったアレグラなどが薬局で買えるようになったことで市場環境も変化しているようです。では、実際の市場規模はどうなっているのでしょうか。インテージのSRI(全国小売店販売データ)で確認してみましょう。
全体的に右肩上がりになっていますが、2013年の市場規模が大きいのが目を引きます(図表2)。実は2013年は、花粉量が過去5年間で最も多かった年。市販鼻炎薬・アレルギー薬がよく売れたのも納得です。
一方、2016年は2013年の半分ほどしか花粉が飛散しませんでしたが、市販鼻炎薬・アレルギー薬の市場規模は2013年を上回り、100億円に迫る勢いとなりました。

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図表2 京浜エリアの市販鼻炎薬・アレルギー薬販売規模
データ:SRI エリア:京浜 集計期間:2012~2016各年の2月~4月

新たな花粉防止スプレーのヒットで市場活性化

市販薬以外の花粉除去・防止用品や鼻洗浄液・スプレー、鼻腔拡張テープといった対策グッズはどうでしょうか。これら対策グッズの2016年の市場規模は約12億円でした(図表3)。2013年には及びませんが、肌や髪用の花粉防止スプレーの新商品がヒットするといったように、バリエーションの広がりとともに市場の活性化が見られました。

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図表3 京浜エリアの花粉対策グッズ販売規模
データ:SRI エリア:京浜 集計期間:2012~2016各年の2月~4月

Key Point 2

処方薬の市販化で、市販鼻炎薬・アレルギー薬市場は京浜エリアだけでも100億円に接近。
市販薬以外の対策グッズ市場も商品バリエーションの広がりで活性。

花粉症対策の食材/サプリ、人気と効果のほどは?

取り入れ率のトップ3は「ヨーグルト」「甜茶」「乳酸菌」

「自分は花粉症」と答えた人に、花粉症対策としての食材やサプリメント摂取について聞いたところ、約6割の人が取り入れた経験があることが明らかになりました。
そのなかで最も取り入れ率が高かったのは「ヨーグルト」。(図表4)。2位には「甜茶(てんちゃ)」が入るといったように、サプリメントより気軽で、生鮮食材よりも手軽に取り入れられるアイテムが選ばれているようです。

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図表4 花粉症対策に取り入れたことのある食材/サプリメント

花粉症対策で取り入れたことのある食材1位のヨーグルト。それでは実際に試してみた人は、ヨーグルトの摂取にどの程度の効果を感じているのでしょうか。
前述の食材・サプリメントを取り入れたことがある人のうち「効果を感じられた」という人の割合を見てみると、取り入れ率でトップだったヨーグルトは効果実感でもトップ。45%の人が「効果を感じられた」と回答。
味や価格のハードルが高いためか、取り入れ率としては低いプロポリスですが、試した人の4割に効果実感あり。
これに乳酸菌、茶カテキンのサプリメントが続き、生鮮食材のたまねぎも3割の効果実感が。
取り入れ率が2番目に高かった甜茶は、効果実感としては26%にとどまっています。

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図表5 花粉症対策に取り入れたことのある食材/サプリメントで効果を感じられたもの

Key Point 3

花粉症対策に取り入れたことのある食材/サプリメントの取り入れ率トップ3は「ヨーグルト」「甜茶」「乳酸菌」。1位の「ヨーグルト」は約半数の人が取り入れ経験あり。
効果実感トップ3は「ヨーグルト」「プロポリス」「乳酸菌」。「プロポリス」は取り入れ率は低いが、取り入れた人の4割は効果実感。

注目の高い「舌下免疫療法」と「減感作療法」とは?

近年、次々に新しい花粉症対策が登場し、市場も活性化しています。実際にどのような対策が注目されているのか、「最近注目している花粉症対策」として挙げられた回答のうち50人以上の人が回答したワードと、それに関連するものをグルーピングしてみました。すると、やはり「薬」「ヨーグルト/乳酸菌」「マスク」関連に多くの回答が挙げられました(図表6)。
「マスク」とほぼ同数の回答を集めたカテゴリーがあります。それは「治療/受診」で、その中で最も回答が多かったのは「舌下免疫療法」関連。100人以上の人が注目している対策として挙げています。より広義なワードである「減感作療法」関連も31人、「エキス/花粉の接種/注射」にも12人の回答がありました。
アレルギーの免疫療法は減感作療法とも呼ばれ、症状を薬で抑えるのではなく、アレルギーの原因を少しずつ摂取して体質を変えていく新しい治療法です。注射だけでなく、2014年秋には舌下に含んで摂取する療法が保険適用となり、自宅で継続できる手軽さから注目が高まっています。
免疫療法は3~5年という長いスパンの治療。舌下療法が保険適用になって今年で3年目ですから、そろそろ効果のほどが分かってくるころかもしれませんね。
首都圏ではおよそ2人に1人が患う花粉症。自分にあった対処法に出会って少しでもラクに、せっかくの春を満喫できるといいですね。

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図表6 最近注目している花粉症対策(自由回答を集計)


今回の分析は、インテージの小売店販売データ「SRI」および自主企画調査結果をもとに行いました。

SRI」は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約4,000店舗より収集している小売店販売データです。このデータからは、「いつ」「どこで」「何が」「いくらで販売された」のかが分かります。

自主企画調査は下記の設計で実施しました。
調査手法 インターネット調査調査地域 京浜エリア(1都6県:東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬)
対象者条件 20~59歳の男女
標本抽出方法 弊社「マイティモニター」より抽出、県別人口構成比にあわせて調査票配信
ウェイトバック 性×年代構成比にあわせてウェイトバック集計 
サンプルサイズ n=5816
調査期間 2016年12月26日~2016年12月28日

参考:東京都健康安全研究センター|健康危機管理情報課 環境情報担当のページ|東京都の花粉情報-花粉症患者実態調査|花粉症患者実態調査報告書(平成19年9月発行)PDF

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