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大掃除は、もはや師走の風物詩ではない!?(2006年12月)
PICK UP
  • 年末の掃除用品購入は、減少傾向
  • 「住居用クリーナー」「住居用ワックス」は、年末需要が高まるものの、対94年比では大幅減
  • 手作業の残る「ガラスクリーナー」「家庭用手袋」は、依然根強い消費
  • 年間の掃除用品購入金額は、94年比平均3割超減
マーケティングリサーチ最大手の株式会社インテージは、インテージが提供するパネル調査サーピスの一つであるSCI(※)の結果から大掃除用品に関する調査をまとめた。
年末も押し迫ってくると、年中行事のひとつが大掃除である。しかし一説によると、昔に比べて年末集中から分散化が進んでいるとも、前倒し傾向にあるとも言われている。果たして大掃除は分散化、前倒し傾向にあるのであろうか? インテージSCIをもとに、主婦のお掃除用品(主に住居関連のクリーナー洗剤などの12カテゴリー)の購買動向から検証を試みた。

■ マーケット・アナリスト 榎本哲也(株式会社インテージ パネルリサーチ部マネージャー)
SCI(全国個人消費者パネル調査) SCI (全国消費世帯パネル調査)は、わが国唯一の全国消費世帯パネル調査。2人以上で構成する12,008世帯のモニターをオンラインネットワーク化し、毎日の購入商品・購入ルート・購入金額などのデータを収集して、顧客企業に「マーケットシェア」、「ブランドスイッチ分析」、「購入価格分析」などのマーケティング情報を提供している。
調査結果

調査結果のポイント

  • 年末の掃除用品購入は、減少傾向 → 年末に大掃除をしなくなった!?
  • 若い主婦もやめた!年末の大掃除
  • 「住居用クリーナー」「住居用ワックス」は、年末需要が高まるものの、対94年比では大幅減
  • 手作業の残る「ガラスクリーナー」「家庭用手袋」は、依然根強い消費
  • 年間の掃除用品購入金額は、94年比平均3割超減

結論:住居環境の進歩や掃除用品の機能の向上が、主婦を年末の大掃除から解放した。

調査結果の詳細

図1は、主婦の掃除関連用品の購買動向について、年平均を100としたときの年末8週分のデータを、2005年と1994年で比較したものである。週単位比較の条件を揃えるため、曜日の並びが同じ2005年と1994年を比較年とした。
購買動向をみると、94年・05年とも、11月下旬から年末に向かうほどに購買金額が増えており、「年末の大掃除」をデータで裏付けたかっこうとなってい る。しかし、94年に比べて05年の増加率はなだらかとなっており、大掃除の12月年末への集中化を避けているようにみえる。一方、11月の水準も落ちていることから大掃除が前倒しで行われているわけではなさそうだ。

[図1] 
2005年と1994年の比較 :主婦の年末のお掃除用品購買水準


図2-1、図2-2は、1994年と2005年における主婦の年代別にお掃除用品の購買水準の変化を比較したものである。94年当時は、11月中・下旬から年末にかけて20代、30代の主婦を中心に購買水準が大きく上昇していた。05年になると、年代による較差が小さくなっている。特に、20歳代の減少率が顕著となっている。若い主婦も年末の大掃除を避けるようになってきているようだ。

[図2-1]
主婦年代別の年末お掃除用品購買水準(1994年)

[図2-2]
主婦年代別の年末お掃除用品購買水準2005年)


図3-1は、2005年の購買水準をカテゴリー別に比較したものである。12月に入って急上昇しているのがガラスクリーナーで、年末最終週には年平均の9倍もの購入水準に達している。次に換気扇・レンジクリーナーなどを含む「住居用クリーナー」、そして主に床用ワックスの「住居用ワックス」、ゴム・ビニール手袋などの「家庭用手袋」、「カビ防止剤」が年末最終週に向けて上昇している。

[図3-1]
主婦の年末お掃除用品のカテゴリー別購買水準(2005年)


図3-2は、2005と1994年の購買水準の差をカテゴリー別に示したものである。「住居用クリーナー」および「その他住居用クリーナー(洗濯槽クリーナー、除菌スプレー、風呂釜洗浄剤等)」は、94年に対する05年の減少率が特に大きくなっている。11月前半「住居用クリーナー」は水準がやや高いことから大掃除の早期化を感じさせるものがあるが、その後12月に向けて減少傾向はいっそう顕著となる。これは、IHクッキングヒーターや換気扇・レンジフード用フィルターの普及により、キッチン周りの掃除が軽減化していることが大きいと思われる。
また、「住居用ワックス」も一昔前に比べると落ち込んでいる。マンションの販売戸数が伸びてフローリングの世帯も増加しているはずだが、年末の大掃除に床のワックス掛け水準は低迷している。これもワックス掛け不要のフローリン一方、「ガラスクリーナー」や「家庭用手袋」などはあまり減っておらず、却って増加している週さえある。窓拭きや冷たい水(あるいはお湯)を使う掃除など、文字通り人手に頼らなければならない作業は、いまだ健在というところであろうか。

[図3-2]
主婦の年末お掃除用品購買水準の変化(05年水準-94年水準)


ちなみに、SCIの年間データによると、家庭の掃除用品の購入金額は、94年に比べて05年では34%減少している。また、単価も平均17%下落している。この減少は年末大掃除の購買水準の下落によるものだけでなく、年間を通して低下傾向にある。日ごろの掃除の簡便化・軽減化が進んでいることと、影響としては小さいかもしれないが、メディアで重曹やお酢を使用した掃除方法が取りあげられていることなど、エコロジカルなライフスタイルに関心が高まっていることも関係しているかもしれない。
05年で94年の購入金額を上回っているのは「その他住居用クリーナー」「パイプクリーナー」だけである。「その他住居用クリーナー」のカテゴリーでは、94年当時にはなかった洗濯槽クリーナー、除菌スプレーといった新しいコンセプトの商品が開発・発売され、マーケットを拡大している。掃除用関連市場の拡大には、掃除分野の中で新しい芽をいかに見つけ出すかマーケターの手腕が問われている。

[図4] 
年間の掃除用品購入金額・購入単価(94年基準)

[図5] 
掃除関連商品の月平均世帯購入金額

総括

住居環境の進歩や掃除用品の機能の向上が、主婦を年末の大掃除から解放した。
主婦が年末に大掃除用品を以前に比べて買わなくなってきているのは、主婦が年末の大掃除の集中化を避けて、大掃除を前倒しまたは分散化しているというよりも、住居関連機能の進歩等による掃除負担の軽減化が進んでいるためである。

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ex)
インテージ ビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』 2015年2月調査
株式会社インテージのビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』(2015年2月調査)によると・・

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調査会社概要

【株式会社インテージ】 http://www.intage.co.jp/
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石塚 純晃)は、「Create Consumer-centric Values 〜お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、様々な業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、ともに生活者の幸せに貢献することを目指します。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、お客様企業が保有するデータをアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点にたったマーケティングの実現を支援して参ります。

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