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男性の化粧品購入の実態と美容に関する意識調査
PICK UP
  • 40~60代男性の5割強が「美容に関心あり」
  • 美容で気になっていることは多いが、「対処法がわからない」
  • スキンケアに期待する効果は「清潔感を与えること」
  • 商品を選ぶ際に最も重視するのは「効果が高いこと」

株式会社インテージは、40~60代男性のスキンケア化粧品の購入実態と美容に関する意識について、当社の全国個人消費者パネル調査「SCI-personal」[*1]の購買データおよびインターネットによる「SCI-personalアドオンリサーチ」の調査結果をもとに分析しました。

[*1]SCI-personal
SCI-personal(全国個人消費者パネル調査)は、食品(生鮮・惣菜・弁当などを除く)・飲料・日用雑貨品・医薬品の消費者購買パネル調査です。消費者購買パネルモニターが購入した商品のバーコードを携帯端末でスキャンし、インターネット調査画面から、その商品を購入したルートや個数・金額などを入力することで、日本全国の男女50,000人の消費者購買行動が分析できます。
調査概要
調査方法
インターネット調査
調査地域
全国
調査対象者
全国のSCI-personalモニター 40~69歳の男性
サンプル構成
集計サンプル数 22,515s ※国勢調査の人口構成比に合せ、エリア×年代でウェイトバック集計し分析
調査期間
2012年5月11日(金)~5月14日(月)
調査実施機関
株式会社インテージ
分析者
Shazadigul Shawut(シャザディグリ シャウティ)(マーケット・アナリスト。FMCG事業本部カスタマーサービスユニットカスタマーサービス4部)
調査結果

1.はじめに

近年、男女の性差意識が薄れ、商品の“ボーダレス化”が進行するなか、男性消費者の美容意識が向上し、女性向けに開発された商品を男性が使用する傾向もみられる。 そこで、このような社会変化のなかで男性の化粧品購入や美容意識について、特に40~60代の男性に注目してその実態を調査・分析した。 さらに、一定金額以上のスキンケア化粧品を購入している層を「市場牽引者」としてフォーカスし、その特性の一端を探った。

2.男性の化粧品購入傾向【市場動向(SCI-personalデータ)】

2-1 誰が買っているのか?

年代別のスキンケア化粧品購入状況を確認すると、20代の購入率が最も高く、年代が上がるにしたがって低くなる傾向が見られる。
購入者当りの年間購入金額も20代が最も高いが、40代以上をみると、年代が上がるにつれて高くなっている[図1]。

[図1]
年代別スキンケア購入状況

2-2 購入傾向はどうなっているのか?

40~60代のスキンケア購入金額分布を見ると、スキンケア化粧品を購入している人の中で、年間5000円以上購入している人は全体の7.6%。この層が購入金額の43.7%を占めている [図2]。

[図2]
年間スキンケア購入金額分布

2-3 どのようなスキンケア化粧品を買っているのか?

購入カテゴリーをみると、スキンケア化粧品の年間購入金額が2,000円未満と2,000円~5,000円未満の男性が、最もよく購入しているのは洗顔料であり、次いでメンズスキンケア商品、化粧水となっている。「メンズ(男性用)」として販売されている商品の中から各スキンケアカテゴリーを選択・購買・使用している様子がうかがえる。

一方、年間購入金額が5,000円以上の男性は、化粧水(21.0%)、美容液(15.0%)、メンズスキンケア商品(11.3%)、栄養クリーム(9.6%)、乳液(8.0%)と女性顔負けのラインナップでケアをしていることがわかった。 また、メンズスキンケア商品よりも女性向けの化粧水、美容液の割合が高いことから、男性用、女性用にこだわらず、各スキンケアカテゴリーの中から各商品を見極めたうえで購入していると思われる[図3]。

具体的にどのような視点で商品を選択しているかは、後半の意識調査で検証するが、今後の男性スキンケア化粧品市場においては、若年層に継続的な購入を促しつつ、40~60代では美容意識と商品コンセプトを合致させ、購買意欲を高めることが非常に重要であろう。

[図3]
スキンケア化粧品購入カテゴリー金額構成比

※「メンズスキンケア商品」とは、男性専用の主に顔に使用する化粧水、乳液、クリームを示す。
※「化粧水」「美容液」「栄養クリーム」「乳液」「パック」は、一般的に女性向けの商品を示す。

3. 40~60代男性の美容意識【意識調査(インターネット調査)】

3-1 美容に関心をもっている?

「美容への関心」を聴取したところ、全体で14.1%が「関心がある」と答えており、「どちらかといえば、関心がある」と答えた人も39.6%いる。40~60代男性の5割強が美容に関心をもっていることがわかる[図4]。

[図4]
Q:あなたは自分の外見を整えること(スキンケア、ヘアケア、おしゃれ、身だしなみなど)に関心がありますか。(回答はひとつ)

3-2 自分の外見ではどのような点が気になっている?

自分の外見で気になっていることのTOP3をみると、「髪の毛が少ない」(35.1%)、「白髪が多い」(34.8%)「口臭」(29.2%)と、頭髪に関わる項目が上位を占めた。さらに、「スタイル・体型」(25.7%)、「たるみが目立つ」(20.5%)、「歯の黄ばみ」(20.4%)、「しみ・ソバカスがある」(20.2%)と続く[図5]。

[図5]
Q:あなたがご自身について、気になっていることを全てお答えください。(回答はいくつでも)

次に、「気になっていること」に対して『対処しているかどうか』を聴取した。
「肌がかさつく・乾燥する」(50.8%)、「体臭(ワキガも含む)」(49.6%)、「敏感肌(かゆみ、乾燥など)」(49.1%)、「髪型・ヘアスタイル」(48.2%)、「口臭」(48.2%)と、肌の乾燥や臭いに関してはなんらかの対処をしている割合が大きいことがわかる。

一方、気になっていても『対処していない』ことについて、その理由も聴取した。
「くまが目立つ」(93.9%)、「背中のニキビ・吹き出物」(89.8%)、「たるみが目立つ」(88.2%)、「むくみ」(87.8%)、「シミ・ソバカスがある」(87.5%)、「毛穴が目立つ」(86.2%)、「髪にハリ・こしがない」(78.6%)、「ニキビ・吹き出物が出やすい」(75.3%)について、対処していない理由として、「対処方法が分からない」人が3割前後いるという興味深い結果となった[図6、7]。
この結果は、スキンケア市場において男女の美容が同等の位置づけではないことや、男性を対象とする美容カウンセリングや商品・情報提供が少ないことを物語っているのではないだろうか。

[図6]
Q:上記でお答えになった「気になっていること」に対して、あなたは何らかの対処をしていますか。(ベース:気になっている人)
[図7]
Q:「対処していない」とお答えの方におうかがいします。あなたが「気になっていること」に対処していない理由として、最もお気持ちに近いものをお答えください。

4. 40~60代男性のスキンケア意識【意識調査(インターネット調査)

4-1 顔のお手入れにどのくらい時間を使っている?

『顔のお手入れ時間』は、「5分以内」が86.7%、「15分以内」が11.9%だった。
一方、年間購入金額が5,000円以上の男性では「5分以内」が76.3%と最も多いが、「15分以内」が20.3%、「30分以上」が3.4%おり、お顔のお手入れ時間が比較的長いことがわかる[図8]。

[図8]
Q:あなたは「お顔のお手入れ」に毎日どのくらい時間をかけていますか。(回答は1つ)

4-2 スキンケアに何を求めている?

スキンケアに期待する効果は、「清潔感を与える」(44.5%)が最も多く、「健康的にみえる」(32.3%)、「身だしなみが整う」(31.3%)、「若々しくみえる」(30.8%)が上位となり、マナー・礼儀としてスキンケアを行っていることがうかがえる。
また、「特にない」は22.9%存在し、期待することは特にないが、習慣としてスキンケアを行っていることが想像できる。

年間購入金額が5,000円以上の男性では、「老化を遅らせる」(32.7%)、「現状を維持できる」(28.6%)の割合も高く、スキンケアによるアンチエイジング効果を期待していることがみてとれる[図9]。

[図9]
Q:あなたは「お顔のお手入れ」をすることによって、どのような効果を期待していますか。
3つまでお答えください。(ベース:お手入れしている人)

4-3 スキンケア商品を購入する決め手は?

スキンケア購入者に『商品を選ぶ際の重視ポイント』を聞いたところ、最も重視するのは、「効果が高いこと」(51.3%)、「自分の肌に合っていること」(49.5%)、「価格が安いこと」(49.2%)であった。「男性用であること」を重視する人は14.0%と低い。

年間購入金額が5,000円以上の男性は、「自分の肌に合っていること」(67.7%)、「効果が高いこと」(52.9%)を重視する割合が高いのが目立つ。 また、「信頼しているブランドあるいはメーカーであること」(27.9%)、「使い続けている商品であること」(23.9%)を重視する割合が高いのも特徴的である。一方、「価格が安い」(36.4%)はトータルと比べて低い。[図10]

[図10]
Q:あなたが「お顔のお手入れ」のための商品を選ぶ際に、参考にする情報を全てお答えください。
(回答はいくつでも)(ベース:お手入れしていれしており、かつ商品を自分で選択する人)

5. 総括

男性のスキンケア化粧品の購買傾向では、年間購入金額が2,000円未満の少額層が75.0%と、市場拡大の余地は十分にあるものと推察される。
なお、このレポートの調査対象者は一般的には中高年と呼ばれている40代~60代であるが、生涯発達論的観点から人生を4区分した時のサード・エイジ(達成・充実・完成)の期間にあたる『サード・エイジャー』の概念を導入することを提案したい。

サード・エイジャーは便宜的には40代あるいは50代以降を指す、いわば中高年の代名詞として使われることも多いが、労働状況が大きく変化して実年齢とライフスタイルや価値観、関心事との関連性が希薄になった現代において、中高年の存在が多種多様であることを意味する概念でもある。

サード・エイジャーの男性を新たなターゲットと考えた場合、今回の調査結果によって「アンチエイジング」など特定の効果訴求化粧品についての啓蒙が重要であることが示されたといえる。 また、美容の悩みに応じた適切な商品を提供すると同時に、男性を対象とする美容カウンセリングや商品情報を提供し、「自分に合った」商品に出会うきっかけを作り、消費を促し、そして、お気に入りとして使い続けてもらえるような施策が今後のマーケティングのキーになるのではないだろうか。

さらに、当たり前の傾向であるともいえるが、「低価格」を強調するもの(品質差があまりないと思われている商品)と、高価格だが高効果という「品質機能」を強調する商品の差異化も検討すべきと考える。

上記で述べてきたように、『サード・エイジャー』の多様な考え方やライフスタイルに着目することは、マーケティング戦略にとって意義のある考え方であろう。今後、こういった視点から調査分析を行い、彼らのニーズに沿った商品開発や情報提供に役立つ提案に繋げていきたい。

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ex)
インテージ ビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』 2015年2月調査
株式会社インテージのビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』(2015年2月調査)によると・・

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調査会社概要

【株式会社インテージ】 http://www.intage.co.jp/
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石塚 純晃)は、「Create Consumer-centric Values 〜お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、様々な業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、ともに生活者の幸せに貢献することを目指します。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、お客様企業が保有するデータをアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点にたったマーケティングの実現を支援して参ります。

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