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i-SSP分析レポート『広告接触と認知のギャップに関する考察』
PICK UP
  • 生活者の広告接触と広告認知が同一対象者でわかる「i-SSP」
  • テレビCMの接触と認知の間には、一定量のGAPが存在
  • テレビCMのクリエイティブによって、「接触かつ認知」「接触かつ非認知」の割合は異なる
  • 広告効果をトラッキングする際に、従来の認知ベースの聴取に加えて、広告接触もシングルソースで統合的に確認することも重要

株式会社インテージは、インターネットやテレビなどの広告・情報接触と購買行動や生活者の関係性を捉えることができる「i-SSP」(インテージシングルソースパネル)(*1)を2013年5月より提供しております。今回、広告接触ログと広告認知を組み合わせた形での分析を行い、広告接触と認知の関係性についての分析事例をご紹介します。
 

*1:i-SSP(インテージシングルソースパネル)
当社の主力サービスであるSCI(全国個人消費者パネル調査)を基盤に、同一対象者から新たにパソコン・スマートフォン・タブレット端末からのウェブサイト閲覧やテレビ視聴情報に関するデータを収集するものです。当データにより、テレビ・パソコン・スマートフォン・タブレット端末それぞれの利用傾向や接触率はもちろん、同一対象者から収集している購買データとあわせて分析することで、消費行動と情報接触の関係性や、広告の効果を明らかにすることが可能となります。また、調査対象者に別途アンケート調査を実施することにより、意識・価値観や耐久財・サービス財の購買状況を聴取し、あわせて分析することも可能です。
※ i-SSP(読み方:アイエスエスピー)/シングルソースパネルは株式会社インテージの登録商標です。
 

調査概要
分析対象
下記を満たし、インターネット調査に回答した877サンプル
●i-SSPエクストラTVパネル協力者でテレビCMの接触を判定する3/16〜5/10の期間中にアクティブのモニター
●関東(1都6県居住者)の男女20~69歳
分析内容
●インターネット調査による広告認知×i-SSPの広告接触ログにて分析を実施
※広告接触ログの集計期間はインターネット調査開始前の2か月間を利用

●集計時ウエイトバックあり。母集団(*2)構成比にあわせ、性年代の構成比を補正
*2:母集団は、2010年度(平成22年度)実施の国勢調査データをベースに、人口動態などを加味して2015年度(平成27年度)バージョンに修正したものです。消費者パネルで用いられている母集団と同じテーブルを元にしています
調査期間
i-SSP TVログ:2015年3月16日〜5月10日(2ヶ月)
Web調査:2015年5月14日〜5月19日

調査結果

実施概要

普段の生活でテレビを見ている中で、私たちは多くのCMに接しています。マーケティングリサーチにおいて広告効果を確認するための多くの調査が実施されていますが、多くのCMに触れる中で、どの程度のCMが頭の中に残っているのか?といった、「接触」と「認知」の間では、ギャップが存在します。今回、「広告接触」と「広告認知」の関係性について、(株)インテージの保有する、インテージシングルソースパネル(以下、i-SSP)を活用して分析を行いました。


分析結果サマリー

「接触・認知」が全体の47%を占めているが、接触しているのに認知していない「接触・非認知」が21%、そのCMに接触していないのに認知している「非接触・認知」が18%となり、接触と認知の間にはギャップが一定存在する

実際にCMに接触している人のうち、そのCMを認知している割合は、CMのクリエイティブによって差異が大きく、接触者のうち9割以上が認知しているクリエイティブがある一方で、接触者のうち5割程度しか認知していないクリエイティブも存在する。

シングルソースパネルを用いれば、消費者の記憶[認知]をベースにしたリサーチに、接触情報を組み合わせることで、広告出稿から購買行動までを統合的に分析できるとともに、広告クリエイティブを評価する新たな指標となる可能性がある。

調査結果の詳細

1.はじめに

インターネットの浸透やモバイルシフトなどマルチデバイス化を背景として、生活者が接する情報量は飛躍的に増加しているのに対して、生活者の処理できる情報量は変わっていないと言われています。
このように現代は、いわゆる「情報洪水の時代」と言われており、生活者が接する情報は大量の情報のごく一部であり、そのうち興味を持たれた・記憶された情報となるとほんの一握りであろうことが容易に想像されます。
それでは、普段の生活の中で、テレビ番組の中で放映されている無数のCMに接していますが、実際にどのくらいの割合で覚えているのでしょうか?
本レポートでは、同一対象者ベースで、広告接触と認知を捉えることができるi-SSPデータを用いて、テレビCMの接触と認知意識の関係性について考察を試みました。


2.「接触」と「認知」、ギャップの存在

[図表1]は、i-SSPのテレビデータ収集に協力いただいている方に対してアンケート調査を依頼し、テレビCM(12素材)の動画を呈示した上で「テレビCMの認知」を聴取した結果と、常時収集をしているテレビ視聴データから、過去2か月間の該当テレビCMの接触有無情報をマッチングし、同一対象者における認知と接触の関係について分析を行った結果です。

[図表1]
広告接触と認知の分布状況 ※対象12クリエイティブの積み上げ構成比


テレビCMに接触をした上でテレビCMを見たことがあると回答した人(接触・認知)は全体のうち47%、接触はしていたものの見たことがないと回答した人(接触・非認知)は21%、接触はしていないが見たことがあると回答した人(非接触・認知)は18%、接触しておらず見たこともないと回答した人(非接触・非認知)は14%という結果となっています。
つまり、テレビCMに接触している人(接触・認知+接触・非認知)のうち、広告を覚えていない人が、3人に1人は存在することになります。また、テレビCMに接触していなくても広告を覚えていた人(非接触・認知)も18%存在しますが、3か月前以上から該当のテレビCMへ接触していた記憶から回答したケース、同種類・ブランドの広告と誤認したケースなども考えられますが、事実ベースの「接触」と意識ベースの「認知」には一定程度ギャップが存在するということがわかります。


3.「接触」と「認知」のギャップ度合いは、クリエイティブによって異なる

[図表2]
ログデータにおけるテレビCM接触者をベースにした、テレビCMの認知状況


[図表2]は、先ほどと同じ調査結果をクリエイティブ別で確認したものです。テレビCMに接触し認知していた割合は、最大92%から最少60%までとなり、クリエイティブにより大きく異なることがわかります。
なお、最も高い92%となった消臭芳香剤のCMは、クリエイティブ力を計測することを目的とした別の調査でも高い評価を獲得しており、クリエイティブ力のあるテレビCMであったということができます。
[図表2]はあくまでも接触者の中での認知率を示したものですが、当然のことながら覚えられやすいテレビCMほど対象者が商品を購入する際に考慮される可能性が高く、購買効果への影響が高いことが容易に想像されます。


4.おわりに

上記分析のように、接触と認知の間には一定のギャップが生じますが、従来のアンケート調査で主流となっている「認知」に、「接触」情報も加えていくことで、企業の実際の広告投下量とも連動した分析が可能となり、広告認知を高めるためには何回接触させればよいか?どのくらいの人たちに届けていけば、態度変容につなげやすいか?等の考察も可能になってきます。
また、少ない接触回数でも記憶に残していくための広告クリエイティブ評価の重要性も改めて示唆できると思います。

[図表3]
i-SSPのリサーチ領域


広告キャンペーン評価におけるマーケティングリサーチ領域では、広告認知をベースにしたアンケート調査が主流ですが、i-SSPを活用すれば、広告接触もシングルソースで分析することが可能となり、広告出稿量の情報とも組み合わせて、[図表3]のように、広告出稿から購買行動までが統合的に確認できます。また、広告接触1回でどの程度の人が記憶に留めたか?といった指標も作ることができ、広告クリエイティブの力を測っていくことも可能になってくるものと考えられます。

今回は、テレビCMを対象としましたが、i-SSPではパソコンやモバイルによるインターネット広告への接触も計測が可能なため、昨今増加しているクロスメディアキャンペーンの効果測定に非常に有効です。
例えば、テレビCMは平均3回接触させると覚えてもらいやすいのに対して、インターネット広告は何回接触させる必要があるか等の分析も可能です。

i-SSPは、「行動接触ログ」、「広範囲で詳細な粒度のシングルソース」という強みを最大限に発揮し、引き続き企業の広告コミュニケーション活動のプランニング~評価までを全方位で支援していきます。


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インテージ ビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』 2015年2月調査
株式会社インテージのビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』(2015年2月調査)によると・・

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調査会社概要

【株式会社インテージ】 http://www.intage.co.jp/
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石塚 純晃)は、「Create Consumer-centric Values 〜お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、様々な業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、ともに生活者の幸せに貢献することを目指します。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、お客様企業が保有するデータをアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点にたったマーケティングの実現を支援して参ります。

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