九州・熊本地震に見られた生活者の変化【情報編】
PICK UP
  • 1か月半後には情報の量が大幅に減少するも、九州では「今を伝える情報」に継続的に接触
  • 接触するメディアによって「繋がる支援行動」に違い
  • 情報感度が高い人にはネットで醸成された価値観が浸透?
  • 寄付の次に必要性を感じられているのは「支援物資の分配」
  • 正しい・直接役に立つ情報発信の必要性が感じられている

このたびの九州・熊本地震で被災された皆様、ならびにご家族、ご関係者の皆様には謹んでお見舞いを申し上げます。
被災地におかれましては、一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。

株式会社インテージは、調査データによる「ファクト」をベースとして、生活者の消費行動・意識などの変化を捉え、「生活者の声」として届けることで、お客様企業・自治体の活動にお役立ていただいております。更にはそれによって、お客様の先にいらっしゃる生活者の皆さまの暮らしを豊かにするお役に立つことを目指しております。

この活動の一環として、多様化するメディアが生活者に今回の震災に際してどのような情報を与え、その結果どのように捉えられているのかといった、生活者にとっての各メディアの役割について探りました。

調査概要
調査方法
インターネット調査(インテージ・ネットモニター)
調査地域
熊本県および大分県を除く全国
対象者条件
18~69歳の男女
職業除外条件
本人および同居家族が次の職業に従事している場合は除外:マスコミ・広告/市場調査
標本抽出方法
・弊社インターネットモニターより適格者を抽出(設定各セル内での等確率抽出)
・回収目標3,000s(エリア×性別×年代で母集団準拠)
※母集団構成比にあわせてウェイトバック集計
有効回収数
配信数:13,387s、有効回収数:3,228s、有効回収率:24.1%
調査実施時期
2016年6月3日(金)~2016年6月6日(月)
調査実施機関
株式会社インテージ

調査結果

1.震災関連情報の量と内容はどう変化した?

◆1か月半後には情報の量が大幅に減少するも、九州では「今を伝える情報」に継続的に接触

地震発生後10日間の主な支援・復旧関連の報道をカレンダーに表示しました。
地震発生直後は、周辺自治体や企業による支援が中心で、ボランティア受け入れが可能になったのは、物流や交通機関の復旧がある程度進んだ、約1週間後でした。
そこで、現地の状況変化に伴って生活者が触れた情報がどのように変わっていったのかを、以下の3つの期間について追いました。


期間①
震災発生から1週間程度(震災直後)

期間②
震災発生1週間後~1ヶ月程度(ボランティア受入も始まり、生活者が直接的に支援できるようになってきたタイミング)

期間③
震災発生から約1か月半後(6月頭の本調査実施時点)

[図表1]
地震発生後10日間の主な支援・復旧関連の報道


生活者が接触した震災関連情報の量と内容はどのように変化していったのか、それぞれの時期(*1)で1人が接触した情報の幅を、『よく見た震災関連情報の種類数』という指標で確認しました。

*1:調査回答者が対象となる時期を想定しやすいことを優先し、長さが異なる期間について質問しています。

震災発生1週間後~1か月後程度の期間が最も多様な情報に触れており、その後6月頭時点には触れる情報の幅が大きく減っていました。
情報の内容としては、震災発生直後の時期は「被害状況」や「避難所の様子」が中心で、震災発生1週間後~1か月後の期間は「現地の課題」や「支援活動の様子」、「支援に役立つ情報」といった情報への推移が見られました。
被災地に近い九州の方が報道の量が多かったと想定され、それぞれの情報への接触が多く見られました。また、九州では他のエリアと異なり、 1か月半後にはほとんどの情報との接触率が落ちる中、「現地の課題」や「学校再開や店舗再開などの復興情報」といった『今を伝える情報』の接触率が最も高い水準になっており、ここに近隣エリアと他エリアの差が見られています。


[図表2]
よく見た震災関連情報の種類数/よく見た震災関連情報


2.メディアによる「生活者が触れた情報」の違いは?

多様な情報に接触していた「震災発生1週間後~1か月後」において、「それぞれの情報に、どのメディアを通して触れたのか」を見てみました。各メディアの情報内容の違い(参考データ欄参照)から、下図の様に整理されました。

[図表3]
メディアによる情報内容の違い


3.震災情報に接触したメディアによる支援行動の違いは?

◆接触するメディアによって、「繋がる支援行動」に違い
メディアによって触れた情報の内容が違う、ということは、触れたメディアによって行動も違うのでしょうか。
それぞれのメディアで震災関連情報に接触した人がどのような支援行動を取っていたのかを比較してみると、『生活者が行動に繋がる情報に触れたメディア』の中でも、メディアによって繋がる行動に違いが見られました。

[図表4]
接触メディア別の支援行動実施率[%]


支援に繋がりやすかったメディアと個別の特徴は以下の通りです。

【まとめサイト】
支援に必要な情報がまとめられているためか、薄く広く、一通りの支援行動に繋がっていたようです。

【周囲の人から直接聞いた情報】
情報の内容が「他地域でもできること」に寄っていましたが、実際、「被災地の産品購入」といった遠くからできる支援行動に繋がりやすかった様です。

【自治体の発信情報】
直接的・具体的に行動に役立つ、信ぴょう性のある情報のため、金銭的支援、物質的支援だけでなく、受け入れなどの直接的なサポートまで、幅広い支援活動に繋がっていたようです。

【個人や芸能人のTwitter】
支援方法についての情報発信が多いメディアではありますが、情報接触後の行動としては主に共有・拡散にとどまり、支援行動にまで繋がる程ではない様です。

※書籍・雑誌接触者の行動率の高さは、メディアの掲載情報が行動につながったというよりは、有償で情報を得るほど情報感度が高いためと考えられます。

4.情報感度が高い人が必要性を感じた情報は?

◆情報感度が高い人には、ネットで醸成された価値観が浸透?

震災情報に接触する主なメディアはテレビ(NHK・民放)・新聞・ネットニュースであり、自治体や個人、芸能人や文化人の発信情報といった“行動に繋げる情報を発信するメディア”に触れている人は一部ですが、この人たちは幅広く情報に接触する情報感度の高い人だと考えられます。そこで、震災情報に接触したメディアの数で人を分類し、幅広く情報に接触した人が情報発信の必要性を感じていることは何か、を見てみました。
最も幅広く情報に接触していた人には、「個人の心構えや有り方の発信」「義援金・支援金への協力呼びかけ」の必要性を感じ、「応援メッセージの募集・発信」の必要性は特に感じないという傾向が見られました。震災発生後にSNSなどで話題に挙がり、収斂されていった、『個人ができる、合理的に被災者に役立つこと』の情報や価値観が共有され、浸透している様に思われます。

[図表5]
接触メディア種類数別の発信の必要性を感じた情報


5.震災を通し、必要だと感じられた支援活動は?

◆「物資の偏り」の課題を受け、寄付の次に必要性を感じられているのは「支援物資の分配」

多様な特性を持つメディアで多様な情報に触れ、生活者は今何を感じているのでしょうか。
企業や自治体、NPOなどの様々な支援活動を見て必要性を感じたことを聞いたところ、近隣エリアで関連情報への接触も多かった九州エリアの方が、全般的に必要性を感じているという傾向が見られました。
また、全国、九州共に寄付の次に「支援物資の分配」が多く見られましたが、「物資の偏り」に関する報道が目立ったためでしょうか。

[図表6]
必要だと感じた支援活動[%]


6.様々な情報に触れ、今感じていることは?

◆正しい・直接役に立つ情報発信の必要性が感じられている

最後に、「今回の震災を通じて感じたこと」を自由回答で聞きました。
最も多かったのは「どこでも起きてもおかしくない」「自分の住んでいるところで起きるかもしれない」といった不安です。東日本大震災から間を空けず、地震は起きないと思われていた場所で起きたことで、他人事ではないと感じ、備えの必要性も改めて感じた人が多かった様です。

また、マスコミ各社の避難所取材や報道内容に対して不快感を感じたという人が一定数いた一方で、デマの拡散や不謹慎狩りといったインターネット上の動きに対して不信感を持った人も一部見られました。
このような人のSNS利用実態を見てみるとほとんど使っていない人も多く、SNS上の情報の動きに直接触れなくても、ネットニュースやマスメディアを介して拡散された情報に触れた結果、情報への不信感が増していると思われます。

震災を通じて多様な情報に触れた結果、改めて正しい・直接役に立つ情報発信の必要性が感じられている様です。

[図表7]
震災を通じて感じたこと(自由回答よりコーディング集計)[%]



【参考データ】メディアによる「生活者が触れた情報」の違い

2.の“メディアによる情報内容の違い”のチャートは、下表のメディア別の“生活者が触れた情報内容構成比”を基に、知るための情報/行動に繋げるための情報、自分の生活に役立つ情報/被災地・被災者の生活に役立つ情報の構成比を算出し、偏差値化した数値を基に作成しています。

[参考図表]
生活者が触れた情報内容構成比


※同じ内容をPDFでもご覧いただけます。
九州・熊本地震によって見られた生活者の変化【情報編】(PDF)

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インテージ ビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』 2015年2月調査
株式会社インテージのビジネスパーソン意識調査『男性の美容意識』(2015年2月調査)によると・・

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