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コロナが影響「2020年、今年苦戦したものランキング」

1年を通して新型コロナウイルスの影響を大きく受けた2020年。
コロナで激変「2020年、今年売れたものランキング」では、日用消費財市場が新型コロナの影響を大きく受け、衛生用品や食品を中心に売り上げを伸ばした実態が見られました。
一方、ニューノーマルとも言われる行動様式の変化によって、販売で苦戦したものもあります。全国約4,000店舗より収集している小売店販売データ、SRI®(全国小売店パネル調査)で振り返ります。

最も影響を受けた化粧品 比較的売り上げが落ちなかったのは?

図表1は、今年10月までの販売金額の前年比の下位ランキングです。

図表12020ranking-2_01.png

1位の口紅は、販売金額が前年比44%と半分以下になりました。マスクをするから口紅をつけない、という人も増え、コロナ禍の影響を受けた代表的なものとして挙げられることも多いカテゴリーですが、マスクにつきにくい口紅の開発など、メーカーも対応をしています。

化粧品では他にも苦しんだカテゴリーが見られました。4位・ほほべに(66%)、5位ファンデーション(68%)、6位・化粧下地(72%)、7位・おしろい(79%)と10位までに5つがランクイン。マスクに加え、4月に発令された緊急事態宣言や在宅勤務奨励のように外出機会が減少し、化粧自体をすることが減ったことも要因のようです。

一方で化粧品の中でも比較的売り上げが落ちなかったのが基礎化粧品です(図表2)。苦境の中でも全体で90%をキープし、クレンジングは92%、洗顔クリームに関しては100%となっています。また眉目料(眉や目周りに使われるメークアップ化粧品の総称)は全体で88%、アイブロウやマスカラなどは90%でした。マスクをして口元は隠れても、出ている部分については、化粧をしたいという人が多いようです。

図表22020ranking-2_02.png

人の移動が大きく制約された2020年 その影響で苦戦したのは?

市販薬のカテゴリーでも大きな変化が生まれていました。2位の鎮暈剤(ちんうんざい)はめまいなどの症状を抑える薬で、酔い止めなどが入りますが、こちらも前年比54%となりました。特に非常事態宣言と、本来多くの人が旅行などに行くゴールデンウィークが重なった4月後半から5月上旬に関しては、前年の2割にも満たない週もありました。

夏以降は感染が一段落し、Go Toトラベルなどの施策も打たれたことで、ある程度回復する時期もありましたが、全体としては前年の半分程度の水準となっています(図表3)。

図表32020ranking-2_03.png

コロナの影響で海外との行き来が激減し、来日する観光客も大幅に減少したことが苦戦の要因となっているカテゴリーが多いのも市販薬の特徴です。3位・強心剤、 8位・鎮咳去痰剤(ちんがいきょたんざい・咳をしずめて痰を出しやすくする薬)、10位・ビタミンB1剤、24位・目薬なども、海外からの旅行者がお土産に買っていくなどインバウンド熱も高かっただけに、影響を受けたと言えます。
国内外の移動、旅行の減少が周辺の分野にも大きな影響を与えることが、あらためて浮き彫りになりました。

「感染予防の徹底」効果が売上に表れたカテゴリーとは?

今年は風邪をひく人が少ないなどと報道されることも多かったですが、それを裏付けするように9位・総合感冒薬は79%の販売金額となりました。年代別で見ても、すべての年代で購入率が下がっていることも分かります(図表4)。マスクの着用や手洗い・うがいの徹底、3密の回避などのコロナ対策は、そのまま他の感染症予防対策にもなり、今年はインフルエンザの患者数も異例の低水準にとどまっています。今年、売れたものランキングではマスク、殺菌消毒剤、体温計、うがい薬、ぬれティシュなどの衛生系のカテゴリーが上位を独占していましたが、世相を反映した結果と言えます。

図表42020ranking-2_04.png

「外出機会の減少」「在宅勤務」 苦戦カテゴリーの背景にある生活様式の変化

11位・チューインガム(82%)、28位・キャラメル(91%)、29位・キャンディ(91%)といったお菓子類も苦戦となりました。移動中や外出先、オフィスで、ちょっと口に入れる、といった食べ方が多くされるこれらのカテゴリー。在宅勤務や移動の減少で食べる機会が減ったことが推察されます。14位のミニドリンク剤(85%)も都市部のオフィス街での売り上げが落ちたというデータもあり、ワークスタイルの変化が影響しているようです。

12位・コンタクト用剤(83%)、18位・制汗剤(88%)、19位・スポーツドリンク(88%)、21位・使い捨てカイロ(89%)、23位・外用鎮痛消炎剤(89%)なども外出の減少や、スポーツやレジャーの機会が減ったことが理由に挙げられそうです。

激動だった2020年。世界的規模の感染症で、人々の生活や行動も大きく変わりました。日本でも冬に向けて感染拡大が心配される一方で、世界ではワクチンの開発など明るいニュースも出てきています。これによりある程度元通りの生活に戻るようなら、販売で苦戦したカテゴリーでも需要が急回復することも期待できます。そうでなくてもマスクにつきにくい口紅など、withコロナと言われる時代に対応した新商品がどんどん開発されることにより、新たな需要を生み出す可能性もあります。
来年はどのような年になるのでしょうか。知るGalleryでは、2021年末にも買い物行動から世の中の変化を見ていく予定です。


今回の分析は、以下のデータを用いて行いました。
SRI®(全国小売店パネル調査)
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約4,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2019年3月現在

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