2020年“いつもと違う夏”のメディア視聴行動を振り返る

コロナ禍で迎えた2020年の夏。「2020年“いつもと違う夏”の生活者行動を振り返る」では、生活者の買い物行動や内食行動がどのように変化していたのかを振り返りました。
続編となるこの記事では、在宅時間の増えたこの夏に、生活者のメディア視聴行動がどのように変化していたのか、インテージi-SSP(シングルソースパネル)のメディア視聴ログデータを使って振り返ります。
※スマホはAndriodのみ対象

【目次】

この夏のメディア接触行動 メディアに触れる時間は増えた?

はじめに、日常触れるデバイス(テレビ、パソコン、スマホ)の接触時間がどう変化したのかを見てみましょう。
図表1は、デバイス別の接触時間の変化を示しています。

図表12020summer-2_01.png

どのデバイスも、日本国内での感染拡大が実感され始めた2月24週頃から接触時間が増え、緊急事態宣言下でピークを迎えています。その後、夏にかけても元の水準より増えたままであることがわかります。
特に目立つのが、パソコンの接触時間の増加です。1月末を100とした水準値が6~8月時点でも110と、高いままとなっています。中でも、Amazon Prime VideoやNetflixなどの有料サービスが活性化している動画配信系サービスが伸びていました。増えた在宅時間を幅広い動画コンテンツで楽しむことにあてていたようです。

この夏のメディア接触行動 視聴する時間帯は変わった?

次に、1日のなかでのメディア接触行動の変化をみてみましょう。
今年の夏(7~8月)の、それぞれのデバイスの時間帯別の平均接触率を、昨年の夏の接触率と比較しました。

図表2は平日の時間帯別のメディア接触実態です。

図表22020summer-2_02.png

はじめにスマホの接触率を見てみましょう。今年の夏は昨年と比べ、朝9時頃や昼の13時から21時頃という、活動が活発になる時間帯で接触率が上がっています。勤務形態の変化などでライフスタイルが変わったことで、スマホを利用するタイミングが変わったり、スマホの利用機会が増えた可能性があります。
"コロナ前"と比べて電車通勤をする人が減ったことで、通勤の移動時間にスマホを見るという行動が減っていることが想定されましたが、実際には通勤時間帯のスマホ接触率は減っていないというのは興味深い結果です。朝のスマホチェックは移動時間がなくなっても習慣として根付いているということかもしれません。
次にテレビの接触率を見てみましょう。今年の夏は昨年に比べ、日中、特に12時台と18~19時台の接触率が昨年より上がっていました。
前回の「2020年“いつもと違う夏”の生活者行動を振り返る」では、7~8月の内食率(自宅で食事をする割合)が昨年よりも増加していること、特にその傾向が昼食で顕著であることをご紹介しました。家で食事をする機会が増えたことで、食事中のテレビ視聴も増えているようです。

この夏特に接触時間が増えていたパソコンは、日中を中心にほとんどの時間帯で接触率が上がっていました。パソコンで特に利用が増えているのは、ZOOMなどの通信コンテンツやYouTube、Netflixなどの動画コンテンツです。在宅勤務の影響はもちろん、在宅時間が長くなったことで、家で楽しむためのデバイスとしてパソコンが選択肢に新たに加わった、という変化もありそうです。

同様に祝日・休日の時間帯別のメディア接触実態を表しているのが図表3です。

図表32020summer-2_03.png

3デバイスとも、昨年の夏に比べて日中の接触率が上がっていました。第2波の到来や自治体からの外出・飲み会自粛要請などで、家で過ごすことの多かったこの夏の休日。各々が好みのメディア、コンテンツに触れて過ごしていたようです。

この夏のメディア接触行動 モバイルアプリ利用に見られた変化とは?

在宅時間の増加や、外食・旅行の自粛、買い物行動の変化などといった生活者の変化は、モバイルアプリの利用にどのような影響を与えているのでしょうか。
ここからは、いくつかのアプリに注目して、その利用実態の変化を追っていきましょう。

●動画アプリ

増加した在宅時間の過ごし方として、動画を見るという行動があります。また、今はテレビのコンテンツに飽きても様々な動画配信サービスを楽しむことができます。動画アプリの利用にはどのような変化が起きていたのでしょうか。

図表4はYouTubeのモバイルアプリの接触率です。

図表42020summer-2_04.png

これまでも徐々に接触率を伸ばしていましたが、緊急事態宣言下において大幅に伸び、8月にも緊急事態宣言下と同様の水準になっていました。この特別な夏の過ごし方にYouTubeが利用されていたことがわかります。

また、最近伸びてきているのが有料の動画配信サービスです。過去のドラマなど、良質なコンテンツが好きな時に楽しめるのが魅力です。在宅時間が増えたことで、ドラマのイッキ見といった楽しみ方もできるようになりました。ここでは、8月に「アンナチュラル」などの人気コンテンツが加わって話題になったAmazon Prime Videoの利用実態を見てみます。(図表5)

図表52020summer-2_05.png

やはり徐々に接触率が伸びていたところを、緊急事態宣言下に一気に伸ばし、8月に同様の水準となっていました。夏休みで家にいるタイミングで、コンテンツが拡充された効果でしょうか。

●フードデリバリーサービスアプリ

外食を自粛せざるを得なかったこの夏、家の中でも外食気分を味わえるように、Uber Eatsや出前館といったフードデリバリーサービスの利用が話題になりました。また、飲食店の側も工夫を凝らしたテイクアウトメニューに力を注いでいました。これらフードデリバリーサービスの利用にはどのような変化が起こっていたのでしょうか。

図表6はUber Eats・出前館アプリの一日平均接触率の推移です。

図表62020summer-2_06.png

いずれのアプリとも、コロナ禍が拡大する前の2020年2月までは接触率の伸びがゆるやかでしたが、緊急事態宣言が発令された2020年4月以降、接触率を急激に伸ばしています。特にUber Eatsは出前館に比べてサービス提供エリアが限られているものの、この夏に入ってからも接触率を順調に伸ばしています。
体感としても、Uber Eatsの配達員を街で見かけるようになったり、ニュースやバラエティ番組でUber Eatsが取り上げられたりすることが増えたように感じられます。フードデリバリーサービスは私たちの生活に一気に身近なものとなっているようです。

●キャッシュレス決済アプリ

図表7はPayPayアプリの一日平均接触率の推移です。

図表72020summer-2_07.png

2019年10月の消費税増税時に始まったキャッシュレス還元事業の影響もあり、PayPayは接触率を大きく伸ばしました。その後、2020年4~5月の緊急事態宣言下では、リアルな店舗での買い物回数が減ってECにシフトしたこともあり、PayPayも接触率を落としています。

ただ、この夏、キャッシュレス還元事業が2020年6月に終了したのにもかかわらず、PayPayは再び接触率を伸ばしています。徐々にコロナ禍の生活に慣れ、外での買い物機会が増えてきたことや、そのなかで小銭の受け渡しを減らせるキャッシュレス決済が、不必要な接触を避ける“ニューノーマル”な生活様式との相性が良かったことも理由の一つにあると考えられます。

新型コロナの影響で大きく変わった生活者のメディア接触行動やアプリ利用。デジタル庁の設置も決まり、さらにデジタル化が進む期待もある中、生活者のデジタル活用はどのように変化していくのでしょうか。知るGalleryでは今後も生活者のメディア接触行動を追っていきます。

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