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見えて来た202X年 ASEANの『暮らし』とは~ASEAN New Normal②

2020年5月、コロナパンデミック期に、インテージは株式会社TNCと共創でASEANの3カ国(タイ、ベトナム、インドネシア)および米国での自主企画調査を行い、ASEANの生活者に起きている変化を捉えてASEAN New Normalについて考察しました。
前回の記事:新型コロナウイルスの感染拡大はアセアンの生活者をどう変えた?各国比較調査から見えたASEAN New Normal

その後、ベトナム、タイでは感染者数が抑制されているのに対し(12/7時点での感染者数はそれぞれ1,366名、4,086名)、インドネシア、米国では感染の拡大が続いています(12/7時点での感染者数はそれぞれ57.6万名、1,480万名)。このように環境が異なる中、各国の生活者にはさらにどのような変化が起きているのでしょうか?

インテージでは2020年10月に改めて自主企画調査を行い、2020年5月からの約半年で消費者の生活はどのように変化したのか、New Normalな暮らしとして残るモノ・サービスとは何かを、『衛生・健康』をはじめとした6つのテーマで現地を深堀りすべく、3種の調査(Webアンケート、SNSデータ分析、現地定性調査)を組み合わせてレポートを作成しました。
このレポートから、複数のテーマについて、New Normalな暮らしとして残るモノ・サービスを紹介します。

202X年New Normalな生活(予測)

はじめに、今回の調査結果を基に、新型コロナウイルス収束後の202X年のタイのNew Normalな生活を描いたイメージを紹介します。

タイにおいては、コロナ禍に生まれ、今後も残るものとして、以下の様なものがあげられました。
●コロナ禍で高まった、仏教に根ざした相互扶助精神
●自宅に緑を取り入れる生活
●ハンドメイドで気分の上がるマスクストラップ
●免疫力を意識した食生活
●オンラインフェス・イベントを始めとしたVR空間の浸透

これらの価値観や習慣が残った202X年のNew Normalな生活は、図表1のようになるのではないでしょうか。

図表1aseannewnormal202x_01.png

相互扶助の精神で地域産品をD2Cサイトで直接購入する、個人に最適化したジョギングと食の管理アプリで免疫力を高めることが習慣化するなど、オンラインを活用したポジティブなライフスタイルが想像されます。

New Normalとして残存する 健康・衛生習慣

ここからは、今回の調査結果から想定される「New Normalとして残存するもの」を紹介します。まずは健康・衛生習慣についてです。

図表2は1日に手を洗う回数を各国間で比較した結果です。5月時点では、インドネシア、タイで8.1回、アメリカで1日に9.4回という高い水準が見られていました。

図表2aseannewnormal202x_03.png

注目は感染拡大の続くインドネシアです。10月の調査では、もともと高水準だったタイやアメリカで手洗い回数が大きく減る中で、1日に7.7回と高い水準を維持していました。

インドネシアでは、「マスクの着用」「こまめな手洗い」「消毒液の自宅での使用」「除菌洗剤の使用」「電車バス利用を控える」「在宅勤務」といったそれぞれの防疫行動について、『今行っていて、コロナ後も行いたい』という継続意向が他の国より高いという傾向がみられており、衛生意識がコロナ禍で急速に向上している様子が伺われます。

この衛生意識の高さは、街中でも見られています。インドネシアのショッピングモールでは、駐車券発券や、検温、エレベーターをすべて非接触(タッチレス)で操作できる設備や、レストランでもスマホでメニューを注文するなど、非接触オペレーションが普及しつつあります。

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また、店頭でも家庭向け消毒・除菌商品のラインアップが急速に増え、家庭内に浸透しました。

New Normalとして残存する 食習慣

タイでは、ビタミンウォーターが人気となり、コロナにならないための「免疫力」に注目されました。もともと、ビタミンドリンク市場は、美容目的のユーザーに支持されていましたが、コロナを機に免疫力向上など健康需要を取り込み、市場が拡大しました。飲料業界では、免疫力への意識の高まりに応える形で、ビタミンウォーターやビタミンドリンクを新たに販売するメーカーも出てきています。

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同様に、インドネシアにおいても伝統生薬JAMU(ジャムウ)が注目、現代風に再解釈されて若い世代にも人気となりました。今後も栄養摂取、免疫力向上など健康需要が消費者に訴求すると思われます。

New Normalとして残存する 消費行動

図表3は2020年8月以降にECで購入したサービス・商品を聞いた結果です。

図表3aseannewnormal202x_05.png

タイ、ベトナムでは感染状況は落ち着いているものの、積極的なEC活用が見られます。フードデリバリーのオンライン利用が過半数を超え、コスメや生活家電のオンライン購入も浸透しつつあるようです。一方、インドネシアでは、自炊のための食材や、通常はリアル店舗で主に購入される家具のオンライン購入など、感染が続く中での巣ごもり消費が見られています。

New Normalな生活者が憧れるライフスタイル

まだ続くことが想定されるこのコロナ禍において、各国の生活者はどのようなライフスタイルに憧れるのでしょうか。図表4はその調査結果です。

図表4aseannewnormal202x_06.png

各国共に、“身近な人とのつながりや、家族を大切にする生活”がトップとなりました。コロナ禍による危機的状態で、家族との絆が見直されています。また、インドネシアでは“社会課題を意識して行動する生活”が19%となり各国より高い関心を得ています。背景にはコロナの収束が見えない中、エッセンシャルワーカー等への関心が高まっているのではないかと考えられます。

2020年5月、10月の2回の調査からは、各国において消費者の生活習慣、価値観がスピード感をもって変化していることがわかりました。コロナ禍に生まれ、今後もNew Normalな暮らしとして残るモノ・サービスは202XのASEANの暮らしを大きく変えることになりそうです。

本調査は、AsianPanelを活用したASEANのWeb調査、及び、北米のWeb調査、各国現地語でのSNS投稿の定量・定性分析、株式会社TNCのライフスタイル・リサーチャーのレポートから成っております。詳しい調査設計・内容については、こちらからご確認ください。

今回の分析は、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。
【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】
調査地域:アメリカ(全米)・タイ(グレーターバンコク)・ベトナム(ホーチミン、ハノイ)・インドネシア(ジャボデタベック)
対象者条件:20-49歳の男女、アメリカは世帯年収$40,000以上、ASEANはSEC(社会経済クラス) A,B
標本抽出方法:タイ、ベトナム、インドネシアはインテージのASIAN PANELより、アメリカはdataSpringのパネルより対象者を抽出し、アンケート配信
標本サイズ:n=415(アメリカ)n=422(タイ)n=423(ベトナム)n=423(インドネシア)調査実施時期: 2020/9/30~2020/10/8

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