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シーズン2 第6話 みんなで“強い”コンセプトを創る方法はグループワーク? ~「商品開発ワークショップ」の落とし穴 その2~

生活者の間食ニーズ理解を目的に実施したパンダ製菓社内ワークショップは無事成功し、次はそこから絞り込まれた3つのターゲットニーズに対して、コンセプトをつくるためのワークショップへ。ニーズに対して、どのようにコンセプトをつくりあげて行くのか、その流れを見ていきましょう。
大人向けグミのターゲットとする情緒ニーズをえがくパンダ製菓社内ワークショップは無事成功――
	
引き続き、そのワークショップで絞り込まれた有望ニーズから商品コンセプトにつくり込むワークショップを行うことに…

【インテージにて】
	
◆てーじ「よし!コンセプト作りワークショップのプログラム完成。どんなコンセプトができるか楽しみだなあ」

(たかやまがやってくる)
	
◆たかやま「明後日はパンダ製菓さんのワークショップ第2弾ね」

◆てーじ「はい。プログラムはこれでいこうと思ってます!」

(プログラム提示)
◆たかやま「プログラムの仮コンセプトブラッシュアップのところのワールドカフェ形式って具体的にはどうするの?」

◆てーじ「ワールドカフェ(※)形式をちょっとアレンジしまして…。

仮コンセプトができたら各グループひとりを残し、他の人はバラバラに別のテーブルに移ります。

で、残った人が新しくテーブルに加わった人達に対して、仮コンセプトのプレゼンをするんです。

そして、皆で仮コンセプトをブラッシュアップすべく、よい点・改良が必要な点を挙げて書きとめていきます。

15分経ったら、またテーブルを移って同じことを繰り返します」

※話し合いの手法の一つ。参加者の積極的な対話により限られた時間の中でも幅広い視点の議論ができる。
◆たかやま「なるほど。ワークショップは盛りあがるほどに雰囲気でコンセプトつくっちゃったりするから、こういうパートが入るのはいいわね。

ひとつには、簡潔にプレゼンすることで、自分達が考えたコンセプトのコアが何か客観視できるし、曖昧なところも自覚できる。

そして、コンセプトづくりに参加していなかった人達が新しいアイディアを加えてくれたり、客観的なツッコミを入れてくれる。

それが何組分も積みあがることでコンセプトの厚みが増すし、テーブルをまわる人達も互いにいろんな人の視点を吸収できるのね」

◆てーじ「そうなんです! (…そこまでいろいろ考えてなかったけど…)」
◆たかやま「(ふーん、てーじ君ずいぶん成長したじゃない…)

最後のコンセプトの絞り込みはどうするの?」

◆てーじ「ワークショップ内の投票で何案かに絞り込みます。その後、コンセプトテスト(※)にかけるつもりです」

※商品サービスのコンセプトに対して、対象となる消費者がどのように反応するかを調査するテスト

◆たかやま「投票基準は?」

◆てーじ「え?」

◆たかやま「『自分がいいと思うもの』ってわけじゃないでしょ?」

◆てーじ「……」

◆たかやま「(図星か…。前言撤回。まだまだ修行が必要ね…)

まず『魅力度』、すなわち生活者にとって魅力がありそうかという視点と――、『新奇性(しんきせい)』これまでにない新しさがあるかという視点は必須よ。
◆たかやま「このふたつが十分でないと新商品として成り立たないから、コンセプトテストでもこれは必ず聞くでしょ?」

◆てーじ「そうですよね…」

◆たかやま「社内ワークショップだからこそ入れたほうがよいのは、『自社ブランドとの親和性』と『実現可能性』かな。

自社ブランドの資産を活かせるか、自社に必要な商品かという視点は生活者では持ち得ないし、社内各所のプロが集まってるんだから実現可能性もチェックできるでしょ」

◆てーじ「なるほど。ありがとうございます!」
【ワークショップ当日】

(【導入】ターゲットとする『シーン/オケージョン』と『ニーズ』)
	
◆司会「前回のワークショップで、皆さんがターゲットニーズとして選んだのはこの3つでした」

(ニーズシート提示)

◆司会「今日は、このニーズを満たす商品のコンセプトをつくっていきましょう」

◆てーじ「皆さんが見つけてくださったニーズの切り口で、もう一度日記調査を集計しなおしました。

各ニーズのボリュームや、具体的なシーンなども確認できるようにしていますので、参考にしてください!」
【1―1.商品アイデアを考える(個人ワーク→グループワーク)】

(テーブルで各自がふせんにアイディアを書き出している)

(書き出したふせんをホワイトボードに貼り、皆でグルーピングしている)

【1―2.商品の『仮コンセプト』をつくる(グループワーク→全体シェア)】

◆熊田「大仕事の前ってさ…。

テンションを高めたい時もあれば、一方で気持ちを落ち着けたいっていうのもあるんだよ。

それってつまりさ、『ベストパフォーマンスを引き出す』ってことだと思うんだ…」

(別テーブルにて)

◆女性1「その時になりたい気分にあわせて選べるアソートタイプはどうかな?

アラサー女子向けの、お洒落な感じでネーミングもこだわりたいよね。フランス語とか?」
【2.『仮コンセプト』をブラッシュアップする(ワールドカフェ形式)】

◆司会「みなさん席を移動してください」

(1ラウンド目)

◆女性1「名前に『仕事』って入ってるとそれだけでテンション下がっちゃうと思うな」

◆女性2「あー、そっか。とすると…」

◆女性1「『オトナの』とかどう?」

(2ラウンド目)

◆男性1「プラスチックケースかあ。スタイリッシュで面白いね! ただ、グミが劣化しそうだなあ…」

◆女性2「なんか、解決策ない?」

(3ラウンド目)

◆熊田「これだけだと売り場どこに置いてもらうか難しいよね」

◆女性2「確かに。ガム、タブレットの売り場にあえて置いてもらえると思う?」
【3.『コンセプト』を完成させる(グループワーク)】

(コンセプトシートにパッケージデザインのイメージを書いている参加者)
	
【4.『コンセプト』を評価する(全体シェア→投票)】

(貼り出されたコンセプトシートに皆が投票シールを貼ってまわっている。

シールは4種類。

1.魅力度:生活者にとって魅力的!

2.新奇性:これまでにない新しさがある!

3.親和性:パンダ製菓のブランド資産が活かせる!

4.実現可能性:新しい“グミ”として開発できる!)
【ワークショップ終了後】

◆半田「熊田、今日もありがとな。助かったよ。

お前のグループの考えた商品『マキシマム パフォーマンス』、新奇性はダントツだったんだけどなあ」

◆熊田「まあな。でも、他のチームのアソートとかラインナップ展開とか勉強になったよ。確かに仕事中にどう気分を変えたいかはいろいろなんだからな。

営業提案のイメージも湧いてきたよ。

なあ、半田」

◆半田「うん?」

◆熊田「この商品が皆に喜んでもらえて、定番になって、いつかオフィスに常備されるようにできたらいいよなあ」
◆熊田「オフィスに置いておいてさ、皆が仕事の手を休めてやってきてその時になりたい気分に合わせたグミを選んで行くんだよ。皆の気持ちの薬箱みたいなさ。

そんな風に育てていきたいよなあ」

◆半田「(!!)」

◆熊田「まあ、それぞれの場所で頑張ろうぜ(去る)」

◆半田「おお。ありがとな(見送る)」

◆てーじ「…半田さん! ボクも頑張ります!!」

◆半田「わっ。は、はい…。よろしくお願いします」
◆てーじ「絞り込まれたコンセプトはこのふたつ。さっそくコンセプトテストの準備しますね!」

(コンセプトシート提示)
	
◆半田「はい! 生活者目線で練り直したコンセプト。果たして生活者の皆さんに喜んでもらえるのか、ドキドキします…」
第6話のツボ

●固定メンバーでのグループワークにはリスクあり

→コンセプトづくりは、その場の盛り上がりや時間的な制約の中で、客観的な視点が不足したまま突き進んでしまうことも。他グループへの共有・フィードバックをプログラムに加え、客観的な反応をもとに代替案や修正案を議論し反映することで、より強いコンセプトへと磨きあげるべし

●コンセプト評価の基準は「生活者」視点のみにあらず

→生活者視点は必須。されど生活者視点のみに偏らず、企業視点での評価も必要。生活者にとって魅力的でも実現できないコンセプトに意味はなく、自社と合わない商品は逆効果の可能性あり。『生活者の視点』たる「魅力度」や「新奇性」に、『企業の視点』たる「親和性」や「実現可能性」等も加えて評価し、有望なコンセプトを絞り込むべし
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