Intage 知る Gallery

生活者のいま、マーケティングの明日が見えるサイト

シーズン2 第7話 その商品開発、本当に生活者視点?〜新商品上市前評価の落とし穴〜

パンダ製菓社内の関連部門のメンバーが集まって実施した商品開発ワークショップの結果、有力候補2案に絞り込まれた大人向けグミの商品コンセプト。商品化に向けて、半田さんとてーじ君は、そのコンセプト2案に対して生活者の評価を確認するための一連の調査を実施することに。上市前の商品評価の方法やポイントを見ていきましょう。
大人向けグミの商品コンセプトをつくり込むパンダ製菓社内ワークショップは大盛りあがり。

最終的には、参加者の評価にて2案に絞りこまれた。
	
半田さんとてーじ君は、そのコンセプト2案を今度はコンセプトテストにかけて生活者の評価を聞くことに…

【インテージオフィスにて】
	
(コンセプトテストの企画を立てているてーじ。たかやま先生がやってくる)
	
◆たかやま「パンダ製菓さんのワークショップ、手応えあったみたいね。お疲れ様」

◆てーじ「はい! 皆さんの熱意とか引き出しの多さとか感動しちゃって。

パンダ製菓さんにしっかり伴走したいってあらためて強く思いました!」

◆たかやま「そう。(てーじくん、いい顔になってきたじゃない…)」
◆てーじ「それで、さっそくコンセプトテストとプロダクトテストの企画を考えてるんです!

パンダ製菓さんは、コンセプトテストもプロダクトテストも決まった形があって、ノルム値もあるので、今回もそれをベースにするつもりです」

◆たかやま「パンダ製菓さんのプロダクトテストって、CLT(※)だっけ?

※CLT:会場テストのこと。調査協力者を会場に集め、アンケートやインタビューを行う調査手法

◆てーじ「はい。いつも複数のプロダクト案を試食してもらうので。

今回も、まずはコンセプトテストで1案に絞り込んで、

そのコンセプトのプロダクト案を何パターンかプロダクトテストにかけることになると思います」
◆たかやま「その後のC/Pテスト(※)は?」

◆てーじ「うーん…。パンダ製菓さん、ふだんはC/Pテストはされてないんですよね」

※C/Pテスト:C=コンセプトを見て購入意向を尋ねるパートの後に、P=プロダクトを利用して継続購入意向を尋ねるパートを設定することで、新商品の『トライアル喚起力』と『期待が満たされることによるリピート喚起力』とを総合確認するテスト

◆たかやま「今回もそれでいいの?よく考えて」

◆てーじ「(ハッ!)」

(そうだ、そういえば――…)

(回想①たかやま シーズン2第2話参照。「満足度はC=コンセプトとP=プロダクトのバランス…

すなわち期待値が満たされたかということに影響されるから――

――ということは、目覚まし効果を期待して買われていたわけじゃないということね」)

(回想②熊田 シーズン2第6話参照。「オフィスに置いておいてさ、皆が仕事の手を休めてやってきて

その時になりたい気分に合わせたグミを選んでいくんだよ」)

◆てーじ「あ! 必要、必要です!」
◆たかやま「どうして?」

◆てーじ「今回の商品は、情緒価値、生活者にとってのベネフィットを重視した商品です。

『仕事中の間食によって“なりたい気分”ニーズ』からコンセプトを考えてます。

ということは、そのコンセプトへの期待を満たす商品になっているかどうかが満足度を決めるってことなので…。

おいしさとかモノそのものを評価してもらうプロダクトテストだけでなく、

コンセプトの実現度を評価するC/Pテストが必要ですね!」

◆たかやま「そう、その通り(すらすらと語れるようになってきたじゃないの、てーじ君)」
◆てーじ「あ!ってことは、C/PテストはCLT(会場テスト)じゃなくてHUT(ホームユーステスト)にすべきですね!」

◆たかやま「はい、正解。では確認。

プロダクトテストであれ、C/Pテストであれ、プロダクトを評価するのにCLTとHUTはどう使い分けるのか端的に述べよ」

◆てーじ「はい!高山せんせい!

CLTは、試食・試用してもらう条件を統一することで、プロダクトそのものが想定通りの評価を得られるものになっているかを確認できます。

一方、HUTは、普段の生活環境のなかでその人なりの使い方をしてもらうことで、発売後に購入された際の反応に近いものを得ることができます」
◆たかやま「よろしい。例をあげると?」

◆てーじ「CLTではドレッシングだったら、何にどれくらいかけるかとか、温度とか、全ての条件を統一しコントロールして試食してもらいます。

ドレッシングの味を邪魔しない素材にするとか、ベストの用量、温度にするとか、『食べ方が想定通りじゃないから評価が悪かった』ということのないようコントロールしてプロダクトそのものの評価をとって改善します」

◆たかやま「ふむふむ」

◆てーじ「でも、実際に買ってもらったあと、そんな想定通りの食べ方をしてもらえるわけじゃありません。

ドバドバかける人もいれば、ちょっとしかかけない人もいる。

いろんな素材にかけるし、炒めものなんかに使う人だっているかもしれない。

そういう普段通りに使ってもらったうえで、再購入意向やその理由を確認しないと、リピートしてもらえそうかどうかは分かりません…」
◆たかやま「だから?」

◆てーじ「今回の商品は、仕事中の間食を想定しています。まずは、本当にそういう食べ方をしてもらえるのかどうか、想定通りにフレーバーを使い分けてもらえるのかを知ることが大事です!!

そしてその結果、期待は満たされたのか、どういう気分になれたのかを知りたいです!」

◆たかやま「素晴らしい。はい、じゃあさっさと企画書いてね」

◆てーじ「はい!(あれ…?さっきボク、調子に乗って本人に対して『高山せんせい』って呼んだよね…。まずくない…?)」

◆てーじ(高山の様子を確認し)「(気づいてないか…。よかったあ…)」
【コンセプトテスト――】

(各々がスマホ、パソコンやタブレット等でテスト(※インターネット上で調査))

【パンダ製菓にて】

◆てーじ「半田さん!コンセプトテストの結果報告にきました!」

◆半田「おお!アソートタイプの『幸せ応援“Bonne humeur”』と、3種ラインアップの『おとなグミ』と、どっちが評価高かったですか!?」
◆てーじ「――結果が良かったのは…

『おとなグミ』のほうです」

◆半田「おお、僕らのワークショップとは逆の結果ですね!

僕らはアソートタイプの『幸せ応援“Bonne humeur”』のほうが、

ひとつでいろんな気分の使い分けができるから便利だし楽しんでもらえるんじゃないかって

思ったんですが」

◆てーじ「はい。でも生活者の評価では、気分別に商品を分けた『おとなグミ』のほうが明確に高いです。

『こういうアソートタイプって一見魅力的だけど、結局特定の味を残しちゃって気分が下がる』という声が挙げられました」
◆半田「なるほど…。言われてみれば…。

やっぱり、どんなにいいコンセプトができたと思っても、最後は生活者の声を聞くことが大事ですね…」

◆てーじ「はい。失敗を回避して成功確率をあげるのには調査は有効ですから。

『おとなグミ』のほうは、ノルム値に照らし合わせても十分評価高いですから、開発進めていいと思います!」

◆半田「分かりました!

実はワークショップに参加してた研究所のメンバーが、

『テンションアップ』が一番難しそうだって燃えて、既にいろいろ考えてくれてるらしいんです」

◆てーじ「どんな商品になるのか楽しみです!」

◆半田「今度こそ、リピートしてもらえる商品にしたいです…!」
第7話のツボ

●開発を進める上でコンセプトの評価は必須

→生活者のニーズから生み出したつもりの商品コンセプトが、本当に生活者に受け入れられるものになっているとは限らない。商品コンセプトの魅力度や購入意向を定量的に評価し、ノルム値とも比較して受容性を判断、改善点を確認して商品化を進めるべし

●プロダクトの評価=CLT(会場テスト)、のみにあらず

→会場テストで試用・試食・試飲できる商品であっても、自然な生活環境の中で想定したニーズに対して商品が使われ、そのニーズを満たすことができているか、といった内容を評価する場合にはHUTが向く。商品コンセプトに立ち返り、商品化を判断する上での重要な確認ポイントはドコなのかを明確にし、そのためにはどのような状況下で評価するのが適切なのかを十分に考慮して、手法を選択すべし
前の話 次の話

こっそり知りたいマーケティングリサーチのツボ! TOPページへ

インテージのソリューションはこちら インテージのサービスはこちら