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シーズン2 第8話 そのCM、生活者に届いている?~広告クリエイティブ評価の落とし穴~

コンセプトテストで評価が高かった「3種のラインナップの『おとなグミ』」について開発を進めることになったパンダ製菓。着々と発売に向けた準備が進む中、TVCMについては、「目覚ましグミ」の失敗を繰り返さないために、事前の広告クリエイティブ評価調査を行うことに。表情解析も取り入れたクリエイティブ評価調査のポイントを見ていきましょう。
大人向けグミの商品コンセプト2案のうち、コンセプトテストの評価が高かったのは3種ラインアップの『おとなグミ』であった。
	
『おとなグミ』は開発の価値があると判断され、パンダ製菓は『おとなグミ』の開発を進めることになった。
	
【パンダ製菓にて】
	
◆半田「おかげさまで『おとなグミ』の開発は順調に進んでます!

プロダクトも固まってきてますし、パッケージとコミュニケーションの開発も進めています」

◆てーじ「わあ、楽しみです!」

◆半田「『目覚ましグミ』の時はCMも失敗したので…、今回はその反省も活かしてますし、ワークショップの時のペルソナも共有しながら進めてるんですよ」
◆てーじ「『目覚ましグミ』のテレビCMは、インパクトがあって認知率やCM好感度は高かったけど、商品コンセプトが伝わっていなかったんですよね…」

(※シーズン2第2話参照)

◆半田「はい…。

ですから今回は、商品コンセプトがしっかり伝わることを大事にしてます!

もちろん、ご提案いただいてた通り事前のクリエイティブ評価調査も行おうと思ってます」

◆てーじ「ありがとうございます!」

◆半田「ただ…。宣伝部はあまり乗り気じゃなくて…。

調査の結果がピンとこないことも多いし――」

◆てーじ(「ハッ」)
◆半田「調査でダメだってわかっても制作に活かせるわけじゃないからって…」

◆てーじ「あっ…。あの…。それは…。

…あらためて提案させてください」

【インテージオフィスにて】

(ひたすら悩むてーじ君)
	
◆たかやま「(ずいぶんたくましくなったと思ったけど、まだまだだったわね…)」

◆たかやま「どう? 企画進んでる?」

◆てーじ「いえ…。なかなかいい質問の仕方を思いつかなくて…」

◆たかやま「定量調査の調査内容を工夫するだけでは解決できないこともあるわよ」
◆てーじ「え?」

◆たかやま「調査でCMを見て評価してもらおうとすると、すごく真面目にしっかり見て、論理的に理解して考えて答えるってことになりやすいの。

実際の普段の生活のなかでテレビCMを見る時ってそんな風に見るかしら?」

◆てーじ「そんな100%の姿勢でCM見ないし、気に入らなかったら最後まで見なかったりしますよね…」

◆たかやま「そ。ちゃんと見てもらえば商品のことをすごく理解できて高評価になるものも、実際の生活のなかでは心に刺さらないとスルーされたりする。

そういうタイプのCMは調査での評価と実際に放映された際の効果とにギャップが出やすいの」
◆てーじ「なるほど。宣伝部の方がピンとこないっておっしゃってたのはそういうことがあるからか…」

◆たかやま「インパクトとか、感情の動きとかって、定量調査が苦手な領域なのよね。

半田さんのおっしゃるように“失敗を活かして商品コンセプトがしっかり伝わることを大事にして”いるCMだと、その罠にかかりやすいんじゃないかしら。

だから表情解析なんかと組み合わせたほうがいいわよ」

◆てーじ「…そうか!表情解析ですね!」

【――翌週、パンダ製菓にてクリエイティブ評価調査の提案】
◆てーじ「というわけで、『表情解析』を取り入れた提案をしたいと思います」

◆半田「表情解析…!はじめての試みです」

◆てーじ「表情解析とは顔の筋肉の動きから、その人がどのような感情を抱いているかを分類する学問(FACS理論)がベースになっています。

インテージでは主にテレビCMやWEB動画のクリエイティブ評価に活用しています。

専用のソフトウェアを使って顔の表情筋500ポイントの動きをとらえることができるため、日本人の微細な表情の変化もとらえることができます。

このようにモニターの視聴中の表情をカメラで録画するだけなので、他のノンバーバル調査(※)と比較して、

調査対象者に負担がなく、定量的な調査ができます」

※表情や視線、脳血流など、非言語情報を計測・分析することで、対象者の意識下を明らかにする調査手法
◆てーじ「広告評価に適したインテージ独自の表情指標を開発しており、以下の3表情で広告を多面的に評価します」

【注目顔:気になる、関心がある、ハッとさせられるシーンなどで対応】

【笑顔:ポジティブな感情の際に見られる反応。面白いだけでなく、心が穏やかになるような場面でも反応が見られます】

【思案顔:シーンで伝えていることを理解しようとしたり、何を伝えているか考えているときに見られる反応】

◆てーじ「表情反応が高いシーンと、反応がないシーンが秒単位でわかるため、どのシーンを改善すべきかがわかります」

◆半田「では、現時点でのクリエイティブ。制作したCMを見てください!」

【CM映像】

(デスクで忙しそうに仕事をする女性。グミを食べて幸せな表情)
(会議室に入る前の男性。グミを食べてやる気十分)

(デスクで時計を見る女性。グミを食べて眠気リフレッシュ)

(働く人の『おとなグミ』3種のラインナップ)

◆てーじ「調査の結果が楽しみですね」

【数週間後、パンダ製菓にて表情解析によるクリエイティブ評価調査の結果報告】
◆てーじ「アンケートの回答では、確かに商品コンセプトはしっかり理解されていました。

一方、表情解析では…。このような反応になりました」

(表情解析のアウトプット提示)
		
◆てーじ「「注目顔」が全体的に低迷。商品が映るシーン(最後の大写しなど)でも「注目顔」が低く、商品が伝わらない。

CM自体の面白さはあり、中盤から『笑顔』がやや反応。

冒頭の表情反応は低く、注目・関心のひきつけが弱い」

◆半田「へー!表情からこんなことが分かるんですねえ…」
◆てーじ「弊社の経験から、この反応は、注目してもらえるようなインパクトに欠け、

考えさせすぎで実際の購入意向にはつながりにくいパターンだといえます」

◆半田「うーん。『目覚ましグミ』の失敗から、逆方向に振りすぎたってことですね…」

◆てーじ「定量調査でCMの印象を聞いた結果でも、冒頭のシーンについては、ほとんどコメントがあがりませんでした。

まずは、開始2秒以内に何らか強い反応を呼ぶようなインパクトが必要です」
◆半田「へー、2秒以内ですか…。宣伝部と改善の方向を検討してみます!

あ、あと、今回はターゲット考えて、デジタル媒体も積極的に使ってみようと思ってるんです。

サポートよろしくお願いしますね」

◆てーじ「デジタル媒体ですか…。(うう…、超アナログ派のボクにはまた難題だ…)」
第8話のツボ

●その広告は、ターゲットに'届き''気持ちを動かす'ものになっているか要チェック

→「狙ったターゲットに届くように」「メッセージが伝わるように」と制作したCMが、必ずしも意図した通りに伝わるものになっているとは限らない。事前にクリエイティブ評価を行い、改善点を発見、クリエイティブに反映、ノウハウを蓄積することで広告効果を高めるべし

●クリエイティブ評価の手法は、調査票による「アスキング」のみにあらず

→広告を視聴した際の直感的な反応を、調査票によるアスキング方式のみで捉えるのは難しい。「表情解析」など、ノンバーバル手法も活用して、より自然状態に近い反応を収集し、クリエイティブの改善に活かすべし
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