アンケート調査の質問例と活用例③「確実に伝わる広告クリエイティブかどうか」を評価するアンケート調査のコツ~広告クリエイティブ評価のポイント~

近年、テクノロジーの進化により、テレビCMを効果的に出稿したり、リーチやフリークエンシーといった指標の効果測定を精度高く実施することが出来るようになってきました。一方で、最も売上に貢献する広告要素と言われているのはクリエイティブの質、メッセージ内容であり、その貢献度は約5割にも上るというデータもあります。そのため、生活者に認知されやすいか、また伝えたいことがわかりやすく表現できているか、といったことを、できる限りオンエア前に確認し、改善することが重要です。
本記事では、広告への投資対効果を最大化するために、生活者に確実に伝わる広告クリエイティブかどうかを評価するポイントや評価方法を紹介します。

【目次】

広告クリエイティブの持つ役割

広告クリエイティブには、大きく2つの役割があると考えられます。1つは、短期での売上増加、もう1つは長期的にブランドエクイティを高めることです。前者は、新商品の上市、既存商品のリニューアル、キャンペーンを伝えることでオンエア期間の直接的な売上増加を期待するものであり、後者はブランドに対する愛着度や信頼度、認知度などを高めることで、生活者の頭の中で想起されるブランドのラインナップに入りやすくなり、店頭における当該商品の選択率を高める効果があります。購買に即時性が期待されない商材については、普段よりブランドエクイティを高めておくことが重要となります。
また、ここ数年で、スマートフォンの普及などが生活者の消費行動に大きな変化をもたらしており、グーグルが発表した「パルス消費」のように、突発的に、製品を発見した瞬間に購入するという行動は珍しくなくなっています。この状況を踏まえると、クリエイティブに接触したときに購買の気持ちを高め、態度変容を促すこと、つまり短期での売上増加への役割は、今後よりウェイトが高まっていくと思われます。

広告クリエイティブの評価ポイント

広告クリエイティブの持つ役割から考えると、広告に接触した際に、1)接触したクリエイティブが認知されやすい(ブランドと共に記憶に残る)と、2)態度変容を促す力がある、の2点を満たすクリエイティブが良いクリエイティブということができます。ブランドエクイティを高める目的においては、上記に加え、一貫性を持った共感・自分ゴト化できるメッセージ内容であるかという視点も重要となります。

① 認知されやすさを評価する

認知されやすさを評価する視点として、①広告のわかりやすさ、②魅力度、③ブランド、商品の広告であることが強く記憶に残るか、の3つがあります。
特に①の「広告のわかりやすさ」は重要な指標となります。一言で「わかりやすさ」と言っても様々なことが関係しています。伝えている内容、伝える順番、その表現の仕方、というものは想像するよりも全体の理解度に大きく影響します。②の魅力度の高さは、例えば、CMに対する好意度、ストーリーが楽しめるか、音楽、出演者への好意度といった内容が関係しますが、ブランド関係なくクリエイティブそれ自体の魅力度が高いかということを、「興味がわく」、「おもしろい」、「インパクトがある」といったイメージ項目でも確認します。広告自体に魅力がなければ、見たい、見続けたいと思うことは少ないと考えるからです。最後に、③の「そのCMがそのブランド、商品のものであることがどのくらい強く記憶に残っているのか」、を確認します。

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② 態度変容を促す力を評価する

視聴後に「利用したい(食べたい、飲みたい、使いたいなど)」と思えるかどうかの、「利用意向」を確認します。よく「購入意向」を確認することもありますが、購入意向は価格によるところが大きいため、オンエア後の結果と少し乖離する可能性もあります。
「利用意向」が高い/低い要因を分解するためには、さらにいくつかの指標を確認する必要があります。広告されていた商品が、「自分にふさわしい商品である」と思えるかどうか、伝えている内容の信頼性、新奇性、役に立ちそうか、そして、他の同じカテゴリの商品と比べて独自性があるかどうか、といった内容を深堀することで、なぜ高い/低い利用意向につながったのかを総合的に評価していきます。
態度変容を促す力は、あくまでも、広告が伝えている内容が伝わり、理解したという前提に立った上での評価になるため、認知段階において大きな問題がある場合は、必然的に態度変容を促す力も低くなってしまうことがあります。

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近年の視聴環境の変化に合わせた評価方法

スマートフォンの普及などにより、テレビの視聴環境も大きく変わってきています。平均して視聴者の20%前後がインターネットとの並行利用の「ながら視聴」であり、場合によっては、そこにさらに食べながら、話しながら、といったよりマルチタスクな状況になっている可能性があります。そのような状況の中、「ながら視聴」であっても効果的に伝わる、印象に残るクリエイティブを作る必要性が増しています。
アンケート調査だけでは具体的にクリエイティブのどのシーンや要素が印象に残っているのか、残っていないのか、またそこからどのような感情を引き出されていたのか、ということを調べるにはどうしても限界があります。また、最近ではアンケート調査では捕捉できない感情の効果があることもわかっており、生体反応や動画テクノロジーを使った評価方法を合わせて実施することで、クリエイティブのより具体的な改善につなげられています。

● 生体反応を使った評価(表情解析、脳波、アイトラッキングなど)

表情反応や脳波を測定することで、クリエイティブに対する感情の想起度、共感度を確認する方法です。アンケート調査で魅力度を聴取するよりも、リアルタイムで感情がどの程度揺さぶられたのか、その感情はポジティブなのか、ネガティブなのかを確認でき、さらにシーンと組み合わせてみることができるため、クリエイティブ改善にもつながりやすいのが特長です。
表情反応の測定は、CMを見ているときの表情を捕捉するだけなので、通常の会場調査と同じ環境で実施が可能で、対象者への負担が少ないというメリットがあります。脳波の測定では、表情解析に比べて多くの感情を捕捉することができます。

アイトラッキングは視線計測をすることで、具体的にどの要素を見ていたのかを確認することができます。認知効率を高めるためには、感情想起は欠かせないものであり、広告効果(ROI)を高める上では今や必須の評価指標です。

● 動画テクノロジーを使った評価(リアルタイム動画評価)

動画画面をタップすることで、動画を見ながらリアルタイムにクリエイティブを評価する方法です。

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例えば、「この広告について、印象に残った部分をタップしてください」という質問に対し、対象者には動画を再生しながら、該当する画面の部分をタップしてもらいます。事前に各要素にタグを埋めておくことで、アウトプットの際に、どの要素にどのくらいタップが発生したのか、どのシーンでタップされているのかを見ることができます。アンケート調査だと、すべてのシーンを見終わってから評価をしますが、こちらはリアルタイムに評価をすることで、それぞれどのシーンが評価されているのか、ということを見ることができます。また、質問を変えることで、好きなシーン、嫌いなシーンなど、どのように評価しているのかを知ることもできます。

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また、この結果とアンケート調査でのブランド印象度や興味喚起、利用意向などをクロスすることで、どのシーンをタップした人の利用意向が高いのかが見えてきます。

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この手法はウェブ調査に組み込むことができるため、クリエイティブ制作プロセスのPDCAを高速化したいとき、またはスケジュールに余裕がないときでも具体的な改善につながる回答を聴取することができます。

テレビCM以外でも様々なクリエイティブがあふれているこの時代に、直感的に理解でき、態度変容につながるクリエイティブの重要性はさらに高まっています。本記事で紹介した評価方法を複合的に活用し、広告の投資対効果(ROI)を高めていきましょう。

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