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最適化問題へのデータサイエンス導入のコツとは?~データサイエンスのチカラでビジネス課題を解決③

・はじめに

本コラム、前編では「当社のデータサイエンス取り組み事例」、中編で「データサイエンス人材育成のコツ」についてお伝えしてきましたが、今回のテーマはデータサイエンスの強みが発揮される「最適化問題」です。
(以降、データサイエンスもしくはデータサイエンティストをDSと表記)

・実は身近な「最適化」の考え方

「最適化問題」と聞くと、なんだか難しそうだなあと思うかもしれませんが、実は生活の身近に「最適化」の考え方が活用されています。たとえば、
・ ルート案内アプリで、最も早く目的地にたどり着く道順を検索する
・ 遠足のおやつを予算300円以内で最も満足度の高い組み合わせを考える
といった例です。DSの最適化計算は、こういった組み合わせや量が無数に考えうるものから、「適正解」を探索するために用いられています。

皆様も、常日頃からいくつかの選択肢の中からどの行動を選ぶのが最も適正かを考えて行動しているかと思います。たとえば、
・ 今期の営業目標を達成するためには、自ら営業に動くか、後輩のバックアップに回るか
・ キャリア形成において、スペシャリストを目指すかゼネラリストを目指すか
・ 新しいマーケティング施策に投資するか、既存の施策を強化するか
このような判断を、得られる結果を最大化すべく合理的に行えるのが、「最適化」です。

・適正なDS導入・活用とは?

はじめに、企業のマーケティング業務にとって適正なDS活用とはどのようなものかを考えてみましょう。この点を熟慮するかどうかで、DS導入の成否が左右されます。

DS導入にあたっては、まず「費用対効果に見合うか」という問題があります。ベンダーによるDS導入提案を受ける際、「精緻な需要予測により年間○○円の売上増加!」「広告投資の適正化によって○○円のコストダウンが可能!」といったセールストークをよく耳にするかと思います。しかし、先行きの見通しが難しいマーケティングという世界において、理論通りの解が得られるかどうか不安を持つ方がほとんどなのではないでしょうか。実際、当社のお客様からも「DS導入費用に見合う効果が得られるか確信が持てないので、もう少し安価でお試し導入できないか」というお声を多数いただいております。
この「費用対効果に見合うか」を判断する上でも、「適正な活用」をイメージとしておく必要があるのです。

DS活用をスタートするための手段として下記3パターンが考えられますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

① DSツール導入:様々なアルゴリズムがツール上で実装可能だが、マーケティングのようにDSの用途が限られている場合はオーバースペックと見なされがち

② DS人材育成・採用:自社課題解決に特化させることが可能だが、ノウハウが属人化しやすく、技術蓄積・継承が難しい

③ DSベンダーにスポット分析を発注する:DSベンダーにスポット分析を発注する:分析の質は担保されるが、社内に報告書しか残らず、ノウハウも蓄積されない

こういったメリット・デメリットと、DS活用に求めるもの(要求する分析精度やスピード感、DS人材育成意向など)とのバランスを踏まえ、適正なDS導入を判断する必要があります。
とはいえ、これは至難の業です。当社では、それぞれのメリット・デメリットやお客様のコンディションを熟慮したうえで、お客様にとって適正なDSをご提供しています。

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・最適化計算の適用例:マーケティング投資の適正化

ただ、DS手法には専業DSでないと実施が難しい分析手法もございます。「最適化計算」はその最たる例です。その理由は、データの集計・統計解析によって正しく現状を把握したうえで、複雑なアルゴリズムを実装する必要があるからです。そのような場合は、我々のような専業DSにすべて任せるのも一手です。

近年、広告をはじめとしたマーケティング投資の適正化に関するお客様からのご相談が増加傾向にあり、当社でも注力して取り組んでおります。
マーケティング投資の適正化は、「投資対象となるブランドの現状を正しく把握し、施策の効果を定量的に把握した上で、今後どの施策に注力すると利得が大きいかを考える」というプロセスで行います。ここで難しいのが、ブランドの現状を「正しく」捉えたり、ブランドの現状に合わせてどの成果指標を見るべきかを定めたりといった点です。この壁を乗り越えるため、当社ではお客様の課題・現状をしっかりと把握したうえで、その後の打ち手につながる最適化計算を実施しております。

ここで、当社における最適化計算の直近の事例として、3つの取り組みを紹介します。

1  テレビのタイムCM出稿枠 組み合わせ適正化

テレビのタイムCMは出稿契約期間や出稿量の柔軟性が低いため、投資効率を高める枠選定が肝要です。本取り組みでは、ターゲットへの広告リーチ効率を最大化できる様に、タイムCM枠の組み合わせを探索しました。
具体的には当社のメディア視聴ログデータi-SSPのモニタから性年代・価値観を基にターゲットを定義してテレビの視聴ログを分析し、そのターゲットに対して低コストで高いリーチ率を実現するための枠の組み合わせを、最適化計算によって探索いたしました。複数枠への出稿による重複リーチも加味して最適な組み合わせを探索した本取り組みは、まさにDSの最適化計算の強みが発揮された事例といえます。

2  テレビCMエリア配分適正化

エリアによってテレビの視聴者層の分布は異なるため、ターゲットへの広告リーチを効率化するためには、出稿金額のエリア配分を適正化することが求められます。
ただし、現状は、前例踏襲や主要エリア基準で決定されることが一般的かと思います。理由として、効果検証に用いられるデータのサンプルサイズや対応エリアが限定的であることがあげられます。

そこで、人ベースの豊富なテレビ接触データ「Media Gauge® Dynamic Panel®」を用いてDS最適化計算を行うことで、エリア配分を適正化できるようにし、AREA Optimizerというサービスで提供しています。

3  広告媒体の配分適正化

マーケティングのデジタルシフトが加速する中、マスメディアとデジタルメディアにどの程度予算を割くべきかは、広告主にとっては避けられない課題かと思います。
当社では、各媒体の出稿が商品の売上や、広告認知・利用意向といったKPI向上に対してどの程度貢献しているかを定量的に把握し、広告投資の効果を改善する媒体配分を最適化計算によって算出し、提供しています。

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・おわりに

ご紹介した様に、最適化計算は、データとDSの力で一つの適正解を与えてくれる強力なツールとなります。(※)当社では、ご紹介した以外にもテレビ広告の最適フリークエンシー算出やテレビスポットCM枠最適化など、最適化手法を様々な課題解決に活用する取り組みを行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

前編の「2020年の新型コロナウイルス感染拡大を契機に顕在化したお客様課題とその解決方法」、中編の「DS人材育成のコツ」、そして今回と、3編にわたってDS活用についてお話いたしましたが、お読みいただくなかでDS活用についてご興味お持ちいただけましたら、ぜひご相談いただけますと幸いです。お客様のマーケティングが「適正解」に近づくようご支援いたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

(※)1点だけ付け加えるとすれば、最適化計算によって導き出される解は、あくまでも「数理計算上の最適解」となります。実務においてなかなか実現が難しい解が導出される場合もあり、現実的な落としどころを踏まえてアクションプランを練る必要がある点も留意が必要です。

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