顧客間の反発 【ブランド・コミュニティにおける顧客間コンフリクトのマネジメントⅡ】

この記事では、2017年の関東学生マーケティング大会でリサーチ賞を受賞した論文を紹介します。

目次はこちら


1. 定義

本研究では、「ある集団に属する消費者が、同じ集団に属する他の消費者に対して不快感を与えること、そうした不快感を言語化して発する行為」を反発と定義する。

この定義を行う上で、チャネル研究のコンフリクトの定義を参考にした。チャネル研究における定義によると、コンフリクトは「人や集団が自身の目的を達成するにあたり、他の人間や集団を邪魔だと知覚している状態」として定義される(Stern and El-Ansary [1977])。コンフリクトとは、実際の状態と望んでいる状態がかけ離れていることによって、二つ以上の個人、グループ、組織などの社会的な存在の間で生じる緊張である(Gaski [1984])。コンフリクトの発生する原因として、二者間の目標や目的、価値の不適合性が存在する。コンフリクトが行動として表出する場合は、相手の行動を妨害する、相手を傷つけるなどの敵対的な行為として観察される(Stern [1971])。
コンフリクトと反発の最も大きな違いは、反発行動の対象が反発行動の主体の属する集団のメンバーであることである。

■図2 コンフリクト及び反発の概要

この関係を図2に示す。自覚の有無を問わず、反発の主体は集団から反発の対象を追い出す意図をもって反発行動を行うのである。
本研究が対象とする反発行為は、反発の主体を特定ブランドのヘビーユーザー、反発の対象を同一ブランドのライトユーザーとし、ブランド・コミュニティ内における顧客間の対立構造を取り扱う。

2. ブランド・コミュニティにおける反発

ブランドのヘビーユーザーが反発行為を行う背景として、社会的アイデンティティがある。特定の集団の成員である個人は、自己と所属する集団を同一視することで自己概念として社会的アイデンティティを形成することが知られている。社会的アイデンティティを形成した個人は、自尊心を維持するために、自身の属する集団をひいきすると同時に、外集団に対して差別的な対応をとる(Tajfel and Turner [1979], 久保田・吉田 [1995])。そして、ブランド・コミュニティは、社会的アイデンティティを形成する同一視の対象になる(Algesheimer, Dholakia, and Herrmann [2005])。社会的アイデンティティはコミュニティへの参加欲求、コミュニティへの参加意図、参加行動を媒介して最終的なブランド行動に到達する(Bagozzi and Dholakia [2006])。

しかし、ユーザーがブランド・コミュニティ内で仲間として認められるには、ブランドの愛好以外にも何らかの条件があると考えられる。同一のブランド・コミュニティ内では、ブランドのユーザー全員が必ずしもひいきされていないからである。現実には反発行為は同一ブランドを愛好するユーザー間でも発生している。

そこで、本研究では、アイドルや音楽や創作などのコンテンツビジネスを研究対象とする。なぜなら、コンテンツは複数のユーザーが時間、空間を共有する場をもっている場合や、ユーザーの関与が強い場合が多いからである。そのためユーザー同士の接触の機会が増え、反発行為は発生しやすくなる。

【続きへ】Ⅲ 既存研究レビュー

【目次へ】


本レポートに関するお問い合わせはこちらへお願いいたします。