本研究の意義 【ブランド・コミュニティにおける顧客間コンフリクトのマネジメントⅧ】

この記事では、2017年の関東学生マーケティング大会でリサーチ賞を受賞した論文を紹介します。

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1. 学術的意義

本研究には3つの学術的意義がある。第1の意義は顧客間コンフリクトという現象をモデル化したことである。これまでのコンフリクトの研究では、企業と企業や企業と顧客の関係に終始し、顧客間に言及した論文は存在しない。本研究が顧客間コンフリクトの影響とマネジメント方法を明らかにしたことによって、実務的にも重要な研究領域を新たに拓くことに成功した。

第2の意義は、ブランド・コミュニティ研究において正当性概念を用いた点である。既存研究ではブランド・コミュニティと正当性概念は別の文脈で研究されており、双方を考慮した研究は存在しない。本研究はブランド・コミュニティと正当性概念を関連づけた。この点は大きな学術的貢献と言えるであろう。

第3の意義は、ブランド・コミュニティの正の影響だけなく、負の影響に着目したことである。ブランド・コミュニティの既存研究では、コミュニティの正の影響のみに焦点を当てている。しかし、本研究ではコミュニティの負の影響を発見し、その負の影響をコントロールしなければ、他の変数に大きな影響がもたらされることが示唆された。

2. 実務的意義

本研究は、顧客間コンフリクトの正しいマネジメントが、既存顧客の離反防止だけでなく、新規顧客の獲得につながることを明らかにした。これまで企業は既存顧客の獲得と、新規顧客の獲得がトレードオフであると考えてきた。しかし、本研究はこうした知見が誤りであることを示している。さらに、本研究はブランド・コミュニティの規模によって、企業が訴求すべきブランドイメージが異なることを明らかにした。よって、本研究は今後の企業のマーケティング戦略立案に一石を投じるものである。

3. 今後の課題

本研究では、コンテンツビジネスである「三代目J Soul Brothers」を題材に用いて実験を行った。しかし、Apple製品のような、強力なブランド・コミュニティを持つ製品にまで一般性があるかを直接的に実証することはできていない。したがって、本研究の結果が製品におけるブランド・コミュニティ内でも当てはまるかについて、更なる研究が必要である。

また、本研究はヘビーユーザーがライトユーザーに反発しているという現象をモデル化した。しかし、これがコミュニティに生じる顧客間コンフリクトをすべて捉えているかは不明である。ヘビーユーザーの反発に対するライトユーザーの視点も研究する必要がある。

さらに、本研究ではライトユーザーがコミュニティ内において、正当性を容易に獲得するための施策を提案した。しかし、企業側の彼らに対する操作は、新たな反発を生む可能性がある。この点に関しては実証的に検討できておらず、具体的な解決策も明示できていない。そのため、ユーザーに与える影響について今後の研究課題としたい。

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