既存研究 【ライブコマースの利用体験が商品選好に与える影響とそのメカニズムの解明Ⅱ】

この記事では、2018年の関東学生マーケティング大会でリサーチ賞を受賞した論文を紹介します。

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先述したリサーチ・クエスチョンに関して、既存研究を整理する。

1. 経験価値に関する研究

LCの特徴としてリアルタイムの双方向コミュニケーションが挙げられ、これらは利用体験における「経験価値」を作り出していると考える。したがって経験価値に関する既存研究を整理する。

Schmitt [2000]は経験価値を「(例えば、購買の前や後のマーケティング活動によってもたらされる)ある刺激に反応して発生する個人的な出来事」と定義している。さらに鈴木 [2012]は、「経験価値は顧客側の視点が強く、顧客の主観的な経験を通じて形成されるものである」と述べている。つまり、商品を提供する際には、提供者側は商品自体の魅力のみならず、消費者が商品選択に至るまでの過程や使用する際の感情を重視し、提供者は消費者に対しコミュニケーションなどを通して有用な経験価値を与える必要があると考えられる。

また白石 [2013]によると、「製品を購入する際に販売員と交わしたコミュニケーション上の経験(会話)は、その人にとっての当該製品の価値を高めうる」と述べられていることから、コミュニケーションが経験価値をもたらしうると考察することができる。

2. コミュニケーションに関する研究

先述の既存研究において、販売員と交わしたコミュニケーション上の経験が経験価値をもたらし、商品の価値を高めうることが分かった。それを踏まえて、対面のコミュニケーション同様にライブ環境下のコミュニケーションは経験価値をもたらし、商品の価値を高めると考えられる。以上のことから、ライブ環境下のコミュニケーションについて既存研究を整理する。

Simon, Christian, and Hess [2017]は「ソーシャルライブストリーミング放送は双方向的なメディアである」と述べている。つまり、ライブストリーミング放送には配信者と視聴者の間で双方向性があり、それがライブストリーミング放送の大きな特徴であることが分かる。

さらに、同じくSimon et al. [2017]は「ライブストリーミング放送において、視聴者のチャットでのコメントのやりとりは視聴者をより楽しませている」と述べている。

また、Hamilton et al. [2014], は「配信者は視聴者と対話をし、また視聴者は他の視聴者と同じ放送を見ることで経験を共有でき、それぞれの関係が構築される」と述べている。我々はこれらの要素はLCにも存在すると考える。

3. 既存研究のまとめ

既存研究の内容を整理する。
まず、モノが溢れている現代において、経験価値が重要視されている。そして、コミュニケーションを通して商品を購入すると、その商品の価値が高めうることが確認された。

また、コミュニケーションがライブ環境下というデバイスを通した特殊な環境においても、視聴者に対して経験価値を与えることが分かった。

以上の既存研究を踏まえて、本研究を進める。

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