既存研究 【レコメンド型チャットボットが導入ブランドに与える影響とそのメカニズムの解明Ⅱ】

この記事では、2019年の関東学生マーケティング大会でリサーチ賞を受賞した論文を紹介します。

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本章では、前述したRQを解明するにあたり既存研究をレビューする。

1. 経験価値に関する研究

CBにおいて顧客が得る経験の心理的価値を検討するために、「経験価値」という概念に着目した。
Schmitt[1999]は、経験価値を「利用経験を通じて得られる効果や感動、満足度といった心理的・感覚的な価値」と定義した。また、青木[2006]は、「経験価値をベースとして築かれる情動的な絆こそが、永続的な関係形成の基盤となる」と述べている。したがって、CBにおける経験価値がブランドに与える影響が、顧客とブランドの関係の基盤となると考えられる。

Brakus, Schimitt, and Zarantonello[2009]は、ブランド経験における経験価値は感覚的、感情的、認知的、行動的経験の4要素から成るとしている。本研究では、経験価値がブランドに与える影響を解明するため、この構成要素を参考にする。

2. ブランド・エクイティに関する研究

CBを通して顧客が味わう経験は、どのようにブランドそのものに対する態度へと繋がっていくのであろうか。
Yi[2015]は、航空サービスにおいて、サービス経験によって得られる価値がブランド・エクイティ(以下BE)に影響を与えることを明らかにしている。ここで、BEとは「あるブランドのマーケティング活動に対する消費者の反応に、ブランド知識が及ぼす効果の差異」(Keller[1998])である。つまり、個々の消費者が自身の中にそのブランドをどう位置付けているかが、マーケティング成果に影響を及ぼす、ということである。これらから、経験価値を利用してBEを向上させることで、導入企業に正の影響を与えることができることが分かる。

「新しい購買経験を提供する」と謳われているレコメンド型CBにおいても、そこでの経験は顧客にとっての価値となり、ブランド態度へと繋がるのではないか。と考えた。

3. 他者推奨に関する研究

Keller[1998]は、構築されたBEによってもたらされるベネフィットとして、強いブランド・ロイヤルティを第一に挙げている。そしてReicheld[2003]は実務的観点から、推奨意図こそがロイヤルティを計る上での最重要指標であると結論づけている。

また、ウェブコンテンツというCBの性質上、ブランド推奨意向が向上することで、ブランドの拡散に大いなる効果が期待できるのではないかと考えた。

よって本稿ではレコメンド型CBの実測可能な効果として、推奨意向の変化を取り上げ、調査することにする。

4. 既存研究まとめ

既存研究の内容を整理する。
経験価値とは、製品やサービス利用を通して得られる心理的・感覚的価値であることが分かった。
また、経験価値がBEに影響を与えることも明らかになった。しかし、CBにおいて、具体的にどのような経験がブランドに対する態度へと結びつくのか、未だ明らかにされていない。

そこで本稿では最初に、レコメンド型CBの利用による消費者行動の変化を「ブランドの推奨意向」という指標によって明らかにする。その後、具体的にCBでのどのような経験がブランドに対する態度へと影響を及ぼすのかを探っていく。既存研究より想定されるモデルは図表5の通りである。

■図表 5 レコメンド型CBによるブランド態度形成モデル(想定)

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(既存研究をもとに筆者作成)

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