既存研究 【商品話者広告が消費者の商品選好に与える影響とその要因の解明Ⅱ】

この記事では、2020年の関東学生マーケティング大会でリサーチ賞を受賞した論文を紹介します。

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前述したリサーチ・クエスチョンに関連した既存研究を示すため、まず商品話者広告の構成要素を整理する。我々は商品話者広告の構成要素として2点挙げられると考えた。

1点目は擬人化である。広辞苑[2008]によると、擬人化とは「人でないものを人に擬して表現すること」である。これより商品話者広告は、非人間である商品に対し、「人間の話す能力」を付与している点において、擬人化の要素を含んでいると言える。

2点目は、商品推奨者と商品イメージが一致している点である。本来、商品は第三者によって紹介される立場であり、広告内において、商品推奨者と商品は分離している。しかし、商品話者広告は、商品自身が話すことで商品推奨者と商品イメージが同一化される。ゆえに商品推奨者と商品イメージが一致している点も商品話者広告特有の要素であると言える。

そのため我々は、擬人化及び商品推奨者と商品イメージの一致度の2点に関する既存研究を整理した。

1. 擬人化に関する研究

まず、擬人化に関する既存研究を整理する。
関沢[2012]によると、擬人化は情報を圧縮して複雑性を縮滅させ、送り手と受け手の関係を強化する効果があると述べている。つまり擬人化は、受け手に複雑な情報を理解させるうえで有効な手段であると言える。また山根ら[2016]は、人々は擬人化された物から意思を読み取ることで、感情移入すると述べている。さらに感情移入し、共感することで親しみが湧き、結果的に擬人化された物から肯定的な印象を受けることも示唆している。これらの研究から、擬人化は複雑な情報の理解を容易にし、人々に感情移入させることで、肯定的な印象を与えると考えられる。

2. 商品推奨者と商品イメージの一致度に関する研究

次に、商品推奨者と商品イメージの一致度に関する既存研究を整理する。Kahle and Homer[1985]は、広告に出てくる商品推奨者と商品イメージの一致度が高い場合、一致度が低い広告よりもブランド再生、広告態度、購買意図への反応がポジティブであったと述べている。

商品話者広告は、ナレーターや有名人など第三者が商品を推奨する広告と比較して、商品自身がPRする点に特徴がある。つまり、限りなく商品推奨者と商品イメージの一致度が高いと言える。ゆえに、商品話者広告は消費者の商品選好に影響を与えるのではないだろうか。

3. 既存研究まとめ

既存研究をまとめると以下の通りになる。
はじめに擬人化は情報を単純化する効果を有し、情報理解を容易にさせる有効な手段である。加えて、人間は擬人化された物に対し、親しみを感じることで肯定的な印象を抱く。そして商品推奨者と商品イメージの一致度が高いほど、商品に対するポジティブな反応が見られる。これらのことは、擬人化の要素を持ち、商品推奨者と商品の一致度が限りなく高い商品話者広告においても当てはまると考えた。そこで以上の既存研究を踏まえ、本研究を進める。

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