高まる個人情報保護への関心 生活者が企業に求める対策は?

いまや様々な場面で提供を求められる個人情報。個人に最適なサービスを受けられる一方で、情報の外部流出や不正利用など不安要素も山積です。一方で改正個人情報保護法の全面施工やGDPR(EU一般データ保護規則)など、個人情報保護に関する動きも早まっています。
そんな中で生活者はいま、個人情報保護に対してどのように感じ、企業に何を求めているのでしょうか。

インテージグループでは入社直後の新入社員研修の一環として、新入社員が自分たちでテーマ設定をし、調査企画から結果の分析、プレゼンまでの一連の流れを経験します。そのうちあるチームは「生活者は自身の個人情報の取扱いについて、企業に何を求めているのだろうか」という疑問を持ち、研修の中で調査をしました。この調査の結果明らかになった、生活者の個人情報利用に関する期待と不安について、知るGalleryでご紹介します。


AIを搭載し、ユーザーの好みを学習して適切な情報を提供してくれるスマートスピーカーや、生体反応を測定して健康管理ができるスマホアプリなど、所有者の「情報」を集め、その情報を基に価値を提供するサービスはこの数年で劇的な進化を遂げ、そのスピードは今なお緩むことはありません。一昔前には考えられなかったようなサービスが次々と現れ、私たちの生活をより便利に、豊かにしてくれています。ただ、それらのサービスによる快適な生活を享受するためには、氏名や年齢といった属性情報を登録するだけでなく、検索履歴や商品やサービスの購買履歴、走ったルートと時間など、私たちの行動の履歴までもが個人情報に準ずる情報として企業に蓄積されていくことになります。

下の表は個人情報もしくは個人情報に準ずる情報を提供することによって受けられる新たなサービスについて、利用する意向があるかどうかを尋ねた結果です。(研修の一環としてアンケートを実施しているため、聴取するサービスの数を制限しています)

【図表1】図1.png

興味深いのは、いずれのサービスに対しても積極的な人と否定的な人が一定数存在するということです。それぞれ4割以上の人たちが使用意向を示しており、生活者にとって魅力的なサービスであることがうかがわれる一方で、程度の差はありますが、各サービスに否定的な人も一定数います。そもそもサービスに魅力を感じないという人もいるでしょうが、情報収集されることに対する拒絶反応も含まれているのではないでしょうか。

そこで、情報収集に対する拒絶反応が行動に表れるケースについて、実態を聞いてみました。

図表2は、個人情報管理に対する不安が原因で、インターネットで登録する過程でやめた、あるいは登録後に退会した経験があるかを尋ねた調査結果です。

【図表2】図2.png

実際に登録をしなかったり、退会するといった「行動を起こした」人は4割を上回る結果となっています。その理由を確認すると、以下のような声があげられました。

提供する個人情報と享受するサービスのアンバランス、情報の管理方法に対する不満、さらに説明のわかりづらさなどが離脱・離反につながっているようです。

さらに離脱・離反の理由だけではなく、個人情報に関する懸念や改善してほしい点を自由に回答してもらったところ、以下のような声があげられました。

あがった声の多くは、収集する情報の範囲や活用範囲が適切なものになっているかという不信感と、離脱・離反の理由でもあった「説明のわかりづらさ」に対する不満と言えそうです。個人情報の利用範囲や目的、管理体制といった情報は多くの企業側としては伝えているつもりの情報だと思われますが、生活者には理解されていなかったり伝わっていなかったりすることがうかがえます。

生活者は、預けた個人情報の管理について安全の確保を求めることはもとより、預けることに見合う対価が得られるかどうかをシビアに評価するための情報を求めています。不要な情報の提供を求めてくる企業に対しては不信感を抱く可能性もあります。企業には、個人情報を取得した後の漏洩防止管理に最大限の努力が求められるだけではなく、個人情報を取得するときや利用するときにも「生活者の理解を得られる情報提供」が求められています。

では、具体的に、企業がどのような対策を取っていると、生活者の不安は軽減されるのでしょうか。図表3は、企業が実施している主な個人情報管理の対策について、生活者がどの程度重視しているのかを確認した調査結果です。

【図表3】図3.png

提示した5つの対策のすべてで、重視する割合が6割を超える結果となっており、生活者が企業の情報管理に対して厳しい基準を求めていることがわかります。情報システム上の管理対策、生活者へのわかりやすい情報提供、プライバシーマークやISOといった認証制度の取得など、様々な側面での対策が求められているようです。

最後に、個人情報を収集し、その人に合ったサービスを提供するツールについて、どの程度魅力に感じるかを聞きました(図表4)。魅力に感じる人が3割近くいる一方で、不安を感じる人は2割程度と、両極に分かれる結果となりました。

【図表4】図4.png

生活者は技術の進歩とともに開かれる、よりよい社会に期待しています。同時に、自分たちの理解が及ばない、可視化されていない仕組みやプロセスに不安を感じているようです。生活者が安心して個人情報を提供することで最適なサービスを享受し、企業が生活者とともに社会を豊かにするため必要なことは、安心できるプロセスと個人情報を提供することの有意性を生活者にわかりやすく伝えることによる信頼関係の構築であることが、今回の調査結果から見えてきました。

データの量と質が広がることで大きく変わりゆく、情報・データを取り巻く環境。
日本政府では、生活者個人が自らの意思で自分のデータを管理する「パーソナルデータストア(PDS:Personal Data Store)」や、生活者個人の指示や指定した条件に基づいて、本人に代わって妥当性を判断して第三者にデータを提供する「情報銀行(情報信託機能)」といった、データ流通に個人が関与することで適切な本人同意に基づくパーソナルデータの流通・活用を実現するための仕組み作りの検討が進められています。企業のマーケティング施策が、マスから個々人に合わせた最適なサービスを提供する仕組みへとさらに進化するためには、パーソナルデータが欠かせません。個人情報をはじめとする情報の管理や取り扱いは、企業にとってますます重要な施策の一つとなるでしょう。
今まで以上にパーソナルデータに代表されるデータを扱うことの重要性を認識するとともに、国、法制度、社会、生活者個人など、様々な角度からの情報にアンテナを張ることが求められています。

関連記事:インテージ、DataSignと生活者起点のパーソナルデータ流通・活用の共同研究・実証を開始


今回の分析は、下記の設計で実施したインテージグループの自主企画調査結果をもとに行いました。

【自主企画調査】
調査手法 インターネット調査
調査地域:1都6県
対象者条件:20-69歳男女
標本抽出方法:弊社「キューモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2018年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=291
調査実施時期:2018年4月17日(火)~2018年4月19日(木)

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