リーダーシップを身につけたいときに知っておきたいこと

リーダーシップを発揮するのは苦手だけど、その必要性はひしひしと感じている…という人は多いのではないでしょうか。ビジネスにおけるリーダーシップを身につけるには、まずリーダーシップをどう捉えるかをクリアにする必要があります。今回はそのポイントを、ビジネスパーソンを対象にした意識調査の結果とともにご紹介します。

【目次】
・リーダーシップの必要性と理想のリーダーシップ
・リーダーシップを発揮することは苦手?
・ビジネス以外で活用できるシーンも!
・リーダーシップ豆知識

■リーダーシップの必要性と理想のリーダーシップ

まずは、ビジネスパーソンを対象にした意識調査の中でリーダーシップの必要性を聞いてみた結果から見てみましょう。

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「常に求められている」「一部の業務において求められている」あわせて6割以上の人が業務においてリーダーシップが必要とされると回答しています。

また、「どのような状況でリーダーシップが求められますか」という自由回答形式の問いでは、以下のような回答があがりました。

「新入社員に対して指導をする立場になった」(40代・女性・会社員)
「リーダーとしてプロジェクトを推進している」(30代・男性・会社員)
「生産現場のリーダーとして指示出し、状況の把握と報告を担当」(20代・男性・会社員)
「管理職として、顧客との折衝の指示、トラブルに関する事案について解決方法を指導する」(50代・男性・会社員)
「部門方針を策定する」(50代・男性・会社役員)

この結果から、会社における立場の変化によりリーダーシップが必要になったことがうかがえます。

では、「リーダーシップ」と聞いてイメージするのはどのようなリーダーでしょうか。

ワンマン社長という言葉が残っているように、日本ではかつて、「支配型リーダー」が主流だった時代があります。しかし、それも過去の話。いまではリーダーシップには様々なタイプがあると考えられています。
メンバーの育成を優先するコーチ型リーダーシップ、メンバーの意見を聞いて反映させる民主型リーダーシップ、リーダーが模範を示して引っ張る模範型リーダーシップなどは新しいタイプのリーダーシップ観を示しています。
近年、注目されているリーダーシップには、ロバート・グリーンリーフが提唱した「サーバントリーダーシップ」があります。その哲学は「リーダーは部下に奉仕や支援をし、その後、部下を導く」というものです。なんとリーダーは奉仕役だと言うのです。サーバントリーダーには傾聴、共感、癒し、気づきといった資質が求められます。支配型リーダーの対極にあるリーダーであり、重視されるのはチーム内のコミュニケーションです。

リーダーシップを発揮するために必要な要素を聞いてみた結果は以下の通りです。

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最も票が集まったのは「コミュニケーション能力」。十分な説明をすること、意見を聞くことが必要と考える人が多いようです。

このようにリーダーシップの概念は変遷し、多様化しています。ゆえに「理想のリーダーシップとは」という問いに答えることは簡単ではありません。現代は理想のリーダーシップをひとつに決めることが難しい時代とも言えるでしょう。
しかし、リーダーは「人の上に立つ者」であることに変わりはありません。なにか共通した重要な役割があるはずです。経営学の父と言われるピーター・ドラッカーは、「プロフェッショナルの条件」という著書の中で、次の印象的な一言でそれを表現しています。

「リーダーの仕事は、明快な音を出すトランペットになることである。」

この意味を考えることで、リーダーシップについて深く考察することができるのではないでしょうか。

■リーダーシップを発揮することは苦手?

よく、「日本人はリーダーシップを発揮するのが苦手」だと言われます。指示されたことを忠実に守って努力することは得意でも、自らリーダーとなって先頭に立とうとする人は少ない、という話には確かに思い当たる、という人も多いのではないでしょうか。

再び調査の結果から、「自分にリーダーシップがあると思いますか」と聞いてみた結果を見てみても、「あると思う」と答えた人は4.4%とごくわずかで、半数以上の人はは自分にはリーダーシップが「あまりない」「全くない」と考えています。

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しかし、苦手意識を持つ人の頭の中にあるリーダー像は、もしかすると昔ながらの「みんなを引っ張るバイタリティ溢れた指導者」かもしれません。それとは異なるリーダー像、たとえば先述したサーバントリーダーなら、印象は変わってくるはずです。
リーダーシップという言葉には、持って生まれた才能というイメージもつきまといます。このことも誤解を招きがちです。多くのリーダーシップ論は、リーダーシップは先天的才能に縛られるものではないと指摘しています。ドラッカーは「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである。」と述べています。
いまではリーダーシップは才能と言うよりスキルの一種と捉えられています。少なくともビジネスの世界では、そのほうがリーダーシップを身近に引き寄せて考えやすいはずです。

ドラッカーによれば、「リーダーシップとは組織の使命を考え抜くこと、それを目に見える形で定義し、確立すること。」です。また、リーダーとは目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者だとも述べています。リーダーは状況によって妥協することもありますが、妥協する前に何が正しく望ましいかを考え抜きます。その上で、「明快な音を出すトランペットになる」(目標や優先順位や基準を示す)わけです。簡単なことではありません。しかし、これなら努力できると思えるのではないでしょうか。

再び調査の結果から、「リーダーシップを養うために何をしていますか」という自由回答形式の問いでは、

「従業員に自分のやり方についてどう思うか常に聞くようにしている」(50代・女性・会社役員)
「自分自身の引き出しを増やすために業務の経験を積むようにしている」(30代・男性・自営業)
「身近なロールモデルの方の日々の対応から学ばせていただいています」(30代・女性・派遣・契約社員)
「仕事でのトライアンドエラーの繰り返しで学ぶしかない」(30代・女性・会社員)
「人の意見を聞くこと、察する心を大切にする」(50代・女性・専門職)
「全体を見渡すこと、個別に信頼して仕事を任せることを意識している」(30代・女性・会社員)

などがあがりました。それ以外ではセミナーに参加する、本を読むという人が多く、中には通信教育を受講している人もいるようです。

■ビジネス以外で活用できるシーンも!

リーダーシップが役立つのはビジネスの場だけではないはずです。こんな時にも役立つのではないでしょうか?

▼幹事にもリーダーシップが必要

調査の中で、「どのような状況でリーダーシップが必要か」という問いに対し、「宴会の幹事を任された時」という回答が複数ありました。「結婚式の二次会幹事を頼まれた」という回答も。確かに、宴会は一種のプロジェクトです。プロジェクトを成功に導くにはリーダーシップが必要です。幹事がリーダーシップのある人物であれば、みんな安心してお酒が飲めるに違いありません。プライベートな飲み会でもリーダーシップは役立つはずです。

▼家庭におけるリーダーシップ

家庭でもリーダーシップは求められます。現代の父親像がワンマン型から変化していることは明らかです。サーバントリーダーは家庭でも求められているかもしれません。調査では「育児で学んだ“いろは”が(職場でのリーダーシップ発揮に)役立っている」というコメントもありました。これはこれで深掘りしたくなる話です。職場のリーダーとしての経験が育児に役立つこともあるのでしょうか。

■リーダーシップ豆知識

最後に、リーダーシップについて知っておくと得するかもしれない豆知識もご紹介します。

▼リーダーシップとマネジメントは違う?

建築物を建てる時の設計士がリーダー、大工の棟梁がマネージャー、というたとえがあります。ビジョン、目標、設計図面を提供するのがリーダーシップで、それを現実化するのがマネジメントです。

▼有名人の中で理想のリーダーは?

この手の調査でよく名前が挙がるのがスティーブ・ジョブズです。しかしジョブズは自分の要求を満たさない部下は、その場で即クビにしていたそうです。アップル社では「スティーブされる(リストラされる)」という隠語もあったとか。また、政治家では小泉純一郎、田中角栄の名前もよく出てきます。少し異色と言えるくらいのリーダーのほうが、人の記憶に残るようです。

▼リーダーシップの「-ship」って?

シップは英語の接尾辞です。フレンドシップ、スポーツマンシップ、ハードシップなど、名詞や形容詞に付いて性質・状態、身分・地位、能力・技能を表す抽象名詞を作ります。チャンピオンシップは選手権大会、決勝戦のことで、これも地位を表す意味から来ています。

■まとめ

リーダーシップを発揮するのが苦手だと感じている人も、みんなを引っ張っていくカリスマ的存在をイメージするのではなく、目標を定めそれに向かって進んでいくための決断や調整をする役目だと考えれば、苦手意識が薄れていくのではないでしょうか。リーダーシップは身に備わった才能ではなく、スキルのひとつです。ぜひ、リーダーシップを習得し、仕事の幅を広げていってください。

※参考書籍
P・F・ドラッカー「プロフェッショナルの条件:いかに成果をあげ、成長するか」ダイヤモンド社 2000年


今回の記事には、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果を用いました。

調査手法 インターネット調査
調査地域:全国
対象者条件:20-59 歳の有職男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代別の有職者の構成比にあわせてウェイトバック集計
標本サイズ:826
調査実施時期:2017年6月2日(金)~2017年6月6日(火)

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