【未知との遭遇】Vol.1 ダンシングクラブ

この【未知との遭遇】は、インテージの男性若手リサーチャー伊東祐貴が女性向け市場について知るべく、世の女性方の趣向やトレンドを実体験して学びを得る様をコラムでお届けするシリーズです。
きっかけは入社当時、全国女性消費者パネル(SLI)の運用に関わったことでした。データの動きの裏にある女性のトレンドを実際に体感するため、2015年のクリスマスコフレ売場に潜入。その後定期的に体験レポートを社内発信しています。このシリーズでは多様なテーマから、選りすぐりのレポートを抜粋して紹介していきます。

第1回はダンシングクラブです。少し前になりますが、2017年12月のレポートです。

第2回の「ロボット掃除機」の記事へはコチラから


こんにちは。愛するJリーグクラブの初優勝に感無量の伊東です。
来週の半ばくらいまでは高いモチベーションが保てそうです。

【目次】

ダンシングクラブとは?

アメリカ南部のケイジャン料理をアジア風にアレンジしたシーフードを、ナイフやフォークを使わず手づかみで堪能できるレストランです。

2014年4月、シンガポールで創業したのち、同年10月に東京に上陸しました。

単にシーフード料理を提供するだけでなく、にぎやかで活気のある雰囲気の空間を通じて、「美味しくて楽しい」時間を過ごすことができます。

おしゃれなメニューや、殻付きの豪快なシーフードはフォトジェニックに長け、
ちょっと贅沢な女子会の会場としても人気を誇っています。

常に混み合っており予約が必須ですが、たまには思いっきり手を汚して本能のままに食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。

体験レポートと今回の学び

大学時代の友人と忘年会にいきました。

例年開かれる同会ですが、今年のお誘いは少し衝撃を受けました。

「ダンシングクラブに行こうと思ってる」

忘年会でクラブへ行くという発想が理解できない筆者でしたが、他の参加者から好意的な反応が出ている以上覚悟を決めるしかありません。

当日の3日ほど前に勘違いだと気づいたときには、既に心の準備は整いつつありました。

しかしこのレストラン、結局のところあらゆる意味で普通ではありませんでした。

①非日常

予約した時間まで外で待っていると、突如近づいてきた店員にカチューシャを渡されました。

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日本人は食事の際にカニのカチューシャを着用する習慣がありません。

日常と非日常のスイッチとしてカチューシャを提供することで、金銭感覚を麻痺させる見事な戦術です。

また、薄暗い店内には大音量の洋楽が流れており、
まるで海外のレストランにいるかのような錯覚に陥ります。

これにより、旅行先でつい浪費してしまう感覚で、
高額な料理を注文してしまいます。

②食器

テーブルにはお皿も箸もフォークもありません※。

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紙のシートが敷かれ、その上に運ばれてきた料理を手づかみで食べます。

インスタ慣れしていない筆者はこのサラダで両手を汚してしまい、以降の料理を撮影することができませんでした。

客が帰った後はシートをそのまま破棄するだけなので、食器を洗浄するコストがかかりません。

さらには、カニやエビはすべて殻が付いたままやってきます。

調理工程を省略し、有効に人件費を削減しています。

※シーフードを注文した場合、キッチンバサミが渡されます

③イベント

突如店内のBGMが大きくなり、ダンスタイムが始まります。

キレキレの踊りを披露する店員さんたち

ダンスが終わると、サングリアやテキーラを乗せたカートが店内を回ります。

アップテンポなBGMとダンスに気分が高まったところで追加注文を促すねらいでしょうか。

飲み放題のコースだったのですが、気分を良くした友人が全員分のテキーラを追加注文してしまいました。

④設備

店内中央には手洗い場が用意されています。

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自動でハンドソープが出て来る上に、全てDysonの送風機が備え付け

きれいな手で安心して手づかみができ、食事で手を汚しても再びきれいな手で帰れます。

一見過剰な投資に見えますが、このレストランを通して得る経験ををトータルで見ると、極めて合理的な戦略と言えるでしょう。

◆今回の学び

・タブーを犯した商品やサービス、プロモーションは注目を浴びる。
 例)手を思いきり汚すダンシングクラブ、咀嚼音満載の『味の素 CookDo』のCM

・成功する飲食店は顧客を中心に置いた視点から、人、金、時間のコストを配分している
 例)食器洗いや調理のコストを削減
   直接お金にならないカチューシャ、設備、ダンスに投資

・インスタグラマーは常に片手をきれいに保つすべを知っている

Vol.2 ロボット掃除機へ

著者プロフィール

伊東祐貴
伊東 祐貴(いとう ゆうき)
20代の男性リサーチャー。入社当時、全国女性消費者パネル(SLI)の運用に関わった経験から、女性向け市場を知るための体験レポートを社内に継続的に発信。歳の離れたきょうだいの視点も取り入れ、「いまのワカモノ」視点で市場を追っています。
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