【未知との遭遇】Vol.11 ~衣類用冷感ミスト~

この【未知との遭遇】は、インテージの男性若手リサーチャー伊東祐貴が女性向け市場について知るべく、世の女性方の趣向やトレンドを実体験して学びを得る様をコラムでお届けするシリーズです。

第11回は~衣類用冷感ミスト~です。2019年6月のレポートです。

第10回の「バスクチーズケーキ」の記事へはコチラから


【目次】

衣類用冷感ミストとは?

衣類に噴射することで、冷感効果を発揮するミストです。
記録的な暑さが続く近年の夏場において、着々とプレゼンスを高めています。

例えば冷たい枕でおなじみ「アイスノン」が提供する「シャツミスト」。
スーパークールな使用感を追求した同商品は、メントール、乳酸メンチルの2種類の冷感成分を配合。
汗をかくたびに強い冷涼感が得られる上に、衣類についた汗のニオイを消臭し、除菌します。

他方、可愛らしいデザインでまとめサイトやSNSで話題となっているのが、ときわ商会の「シャツシャワー」です。
500mとたっぷり使えるだけでなく、30分~1時間と持続的な冷感効果発揮。
消臭効果にも優れており、茶エキスと柿タンニンのダブルの天然由来の成分によって、衣類に付いた汗のニオイを95%以上カットします。

ますます熱く盛り上がりを見せる冷感商法。
ヒンヤリとした衣類を身にまとい、クールに夏を乗り切ってみてはいかがでしょうか。

体験レポートと今回の学び

仕事終わりに上野マルイの@コスメストアへ。
特にお目当てはありませんが、定期的な現場視察は欠かせません。

トレンドが最も反映されているであろう、激売れコスメのコーナーへ。

衣類用のスプレーがコスメに該当するのかはさておき、夏を控えた筆者が今、最も必要とする商品と言えるかもしれません。
営業部門へ異動するにあたり最も不安だったのは、名刺交換でも電話対応でもありません。
季節を問わず着用するジャケットの存在でした。

小学生の頃には短パンを愛用し、社会人となってからも率先してポロシャツを着用してきました。
慣れない服装と暑さで集中力が低下し、生産性が低下する恐れがあります。
最悪の場合、客先で熱中症となり、クライアントにご迷惑をおかけするかもしれません。

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即決でシャツシャワーを購入。

確実な涼しさを期待し、50円高いエクストラをチョイスしました。

暑そうな日を待ち、トライアルを行います。

~翌週~

週明け早々、夏日の予報が出ています。

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ハンガーにワイシャツを掛けたまま、リュックとの接地面にあたる、肩周りを中心に噴射。
制汗スプレーに近いツーンとした香りが、夏場の部活終わりに漂っていた空気を想起させます。

手で触れてみると、たしかに少し冷たくなっている様子。
いつもよりヒンヤリとしたワイシャツをインナーの上からまとい、最寄り駅を目指します。

強めの風を受けながら自転車をこぎ進めますが、思いのほか涼しさを感じません。
直接触れないことには効果はないのでしょうか。
その後もいつもと明確な違いが感じられぬまま電車に乗り込みます。

乗車して間もなく、肩周りが涼しくなってきました。
冷感成分がインナーに浸透し、地肌に触れているのかもしれません。
汗をまったくかかないわけではありませんが、電車内の暑さによる不快感はかなり低減されています。

その後オフィスについてからもしばらくの間、自宅での噴射時を起点とすると、およそ1時間強は冷感作用が続きました。
たしかな手応えを感じ、夏本番を前に一筋の希望が見えてきました。

しかし、まだ課題も残っています。
最も汗をかくであろう、自宅から駅までの移動時にこそ効果が求められるというもの。

~翌日~

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早く冷感効果を発動させるべく、インナーへのダイレクト対応を採用します。
従来、シャツとインナーでの連携に生じていた時間を省略することで、スピード感をもって冷却が行われるはずです。

理論上は正しいはずなのですが、やはり自転車をこいでいる最中には涼しさが感じられません。
ようやく冷たさを感じたのは、駅のホームで電車を待っている時でした。
昨日よりも広範囲が涼しく感じ、冷房の効いた電車内だと少し寒いくらいです。

~翌日~

二度の実験を経て、打開策が見えてきました。

初回と同様ワイシャツのみに噴射。
加えて、効果を感じられる時差を考慮して、家を出る10分前からはリュックを背負って過ごすことに

自宅から駅へ向かう間に冷感効果が発動し、なおかつ寒すぎなければ成功です。

涼しさを感じたところですかさず家を出て、自転車をこぎ始めました。

なんと気持ちのいい風でしょう。
気温が高く陽射しの強い朝ですが、ペダルをこぐ足はいつもより軽やかです。

まだまだ夏はこれからですが、もう怖いものはありません。

◆今回の学び

・多くの衣類用冷感ミストの仕組みは共通している。
 ミストを吹きかけると、メントールが布に染み込み清涼感を発揮する。
 その後、汗をかくとメントールが反応することで、再度効果が発生する。
 併せて配合されることが多いエタノールにより、気化熱※を利用して体温を下げる効果もある。
 ※液体が気体になるときに周囲から吸収する熱のこと

・成分の種類や配合量が専門的でわかりづらい商品群においては、
 連想しやすいモチーフを媒介することで、効能を効果的に伝達することができる。
 例、衣類用冷感ミスト
   なぜミストを噴射すると冷感効果が作用するのか、直観的に理解するのは難しい。
   あえて仕組みは説明せずに、極寒の北極が想起させる、
   シロクマをパッケージにあしらった商品が多い。

 例、フリスク
   長年築き上げてきた”強力な清涼感”という資産を起点に、
   フェイシャルシートや、ボディソープなどの別カテゴリへブランド拡張。   

今思えば、駅まで涼しさを感じなかったのは、自転車をこいですぐには汗をかかないからかもしれません。

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著者プロフィール

伊東祐貴
伊東 祐貴(いとう ゆうき)
20代の男性リサーチャー。入社当時、全国女性消費者パネル(SLI)の運用に関わった経験から、女性向け市場を知るための体験レポートを社内に継続的に発信。歳の離れたきょうだいの視点も取り入れ、「いまのワカモノ」視点で市場を追っています。
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