【未知との遭遇】Vol.7 ワークマンプラス(WORKMAN Plus)

この【未知との遭遇】は、インテージの男性若手リサーチャー伊東祐貴が女性向け市場について知るべく、世の女性方の趣向やトレンドを実体験して学びを得る様をコラムでお届けするシリーズです。

第7回はWORKMAN Plusです。2018年12月のレポートです。

第6回の「次世代型小売店」の記事へはコチラから


【目次】

ワークマンプラス(WORKMAN Plus)とは?

株式会社ワークマンが展開する、アウトドア・スポーツ・レインウエアの専門店です。

運営元の同企業は、オレンジと黒のスケッチブックで有名ですが、
実は作業服市場で圧倒的なシェアを誇っています。

「働くプロの過酷な使用環境に耐える品質と高機能をもつ製品を、
値札を見ないでお買い上げいただける安心の低価格で届けたい」
そのメッセージの通り、同社が長年培ってきた高品質な作業着のノウハウを、
一般向けのカジュアルなウェアに転化しています。
品質と圧倒的な低価格、それでいて最低限のデザイン性を併せ持つという、
”機能性ウェアの新基準”は多くの生活者の心を捉えたようです。

2018年9月5日に立飛のららぽーとで1号店をオープンして以降、
店舗は常に混雑し、各種メディアでも盛んに取り上げられています。

日テレにて放送中のZIP!のコーナー<流行ニュースBOOMERS>で特集が組まれ、
日経トレンディ【2019ヒット予測】では栄えある1位
SNSでは多くの女性が商品の画像をアップロードし、
「#ワークマン女子」なる言葉が生まれるなど、その勢いはとどまることを知りません。

12月10日現在は、東京・神奈川・埼玉に一店舗ずつですが、出店計画は着々と進んでいる様子。
突き抜けるような厳しい冬の風が襲い掛かるこれからの季節、
たしかなコストパフォーマンスで日本を温めてくれることでしょう。

ヒートテックのごとく、必需品として市民権を得る日もそう遠くは無いかもしれません。

体験レポートと今回の学び

益々寒くなってきたので、さすがに冬物コートの出番でしょうか。

例年の冬場はチェスターコートと薄手の撥水コート、時々スーツ用のコートでローテーションを回していました。
どれも悪くないのですが、隙間から入ってくる風と重量感に課題を感じます。

「もっと軽くて温かいウェアで通勤ができないものか」
ちょうどそんなことを考えていた折、ワークマンプラスの存在を知りました。
プロ仕様の機能性と品質、なおかつ低価格でデザイン性に富んだウェアとは、
まさに筆者が求めていたものです。

立川(立飛)のららぽーとへやってきました。

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施設3Fの奥の角に位置する店舗へさすがは一号店
かなりの混雑模様に貫録を感じさせます。

なぜ男性のマネキンが服を着せてもらえていないのかはわかりませんが、
男女共にカジュアルなウェアが所狭しと揃えられています。

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こちらの店舗は一般向けのカジュアルウェアに品ぞろえを特化しており、多くの女性客も見受けられます。

早速ウェアを吟味していきましょう。

今回重視したのは、軽さ、ストレッチ性、温かさの観点
あまりに派手なものは会社に着ていくのがはばかられるので、
デザインもそれなりに考慮します。

熟考の上、下記の2点を購入しました。

全方向ストレッチタイプの防寒レインジャケット STRETCH Perfect 税込3,900円
防風素材で保温性に優れた STORM SHIELD WARMジャケット 税込2,900円

WARMジャケットはサイズが切れていましたが、自分の伸びしろを信じてワンサイズ上のLLをチョイス
いずれもしっかり温かい上に着心地がよく、なかなかのコストパフォーマンスを発揮してくれそうです。
特に後者は、上半身をくまなくカバーしてくれる設計が気に入っています。

雨風が冷たい冬の夜道であっても、これさえあれば心も身体も晴れやかです。

デザインも価格の割にはチープな感じがしませんし、
わざわざワークマンプラスで買ったことを公言しなければ、
OUTDOORやColemanのようなスポーツブランドのウェアの一種だと思ってもらえそうです。

懲りずにまたもブルー系を選んでしまったのは反省点ですが、
平成最後の冬はこれで乗り切るとします。

◆今回の学び
・業界の常識を覆し、市場の境界線を引き直せれば、
 争いの無いブルーオーシャンにて利を得ることができる。
 例、ワークマンプラス:
  高機能×高価格、高いデザイン性×高価格、
  高いデザイン性×低価格が主流だった機能性アウターの市場に、

  高機能×低価格のラインナップで切り込んできた。

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 例、QBハウス:
  10分1000円で散髪が可能な理髪チェーン。

  これまで技術力やメニューなどでしのぎを削っていた理美容業界に、
  スピードと圧倒的な低価格で参入し、成功を収めた。

・人々は製品やサービス自体に魅力を感じるのではなく、それらを通じて何が果たされるのかこそを重視する。
 現状自社へのロイヤルティを持っている顧客がいたとしても、
 同じ目的を解消してくれる、「安くて、質が良くて、入手しやすいもの」が現れれば、平気でスイッチを起こしかねない。

 例、ワークマンプラス:
  低価格×高品質×デザイン性を兼ね備えたウェアを市場に投下。

  「温かくて、かつダサくない格好で外出したい」だけの層は、
  スポーツブランドのウェアから、より低価格な高機能ウェアにスイッチングを起こす可能性がある。

 cf.ジョブ理論:人々はある”ジョブ”をこなすために特定の製品やサービスを”ハイア(雇用)”するという考え。
  製品の消費やサービスの享受そのものではなく、それらを通じて何が成し遂げられるかといった、
  より本質的な観点から生活者の行動のメカニズムを探る理論である。
  例、朝の時間帯にミルクシェイクを購入する顧客は、
   「安さ」や「美味しさ」を求めているのではなく、

   「通勤の退屈しのぎ」と「腹持ちの良い、手が汚れない間食」といった”ジョブ”をこなすために、
   ミルクシェイクを雇っている。

・ファッションにおける普及は、ブランドやモデルからの一方的なトップダウンとは限らない。
 労働者階級の作業服が浸透し、現在のスタンダードとなっている歴史的側面もある。
 例、ジーンズ:
  元々、1870年代のゴールドラッシュに沸く北米の鉱山の鉱夫が着用していた作業服。

  その後カウボーイが着用し、続いて庶民や上流階級へファッションとして定着していった。
 例、チノパン:
  インドに駐屯していたイギリス陸軍のカーキ生地の軍装が起源。

  当時の白い軍服が敵に目立つとの懸念から、ズボンをカレーやコーヒーにより着色していた。
  後に、安くて丈夫な服装として一般市民にも広がっていった。

Vol.6 次世代型小売店へ

Vol.8 タピオカへ

著者プロフィール

伊東祐貴
伊東 祐貴(いとう ゆうき)
20代の男性リサーチャー。入社当時、全国女性消費者パネル(SLI)の運用に関わった経験から、女性向け市場を知るための体験レポートを社内に継続的に発信。歳の離れたきょうだいの視点も取り入れ、「いまのワカモノ」視点で市場を追っています。
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