【未知との遭遇】Vol.8 タピオカ

この【未知との遭遇】は、インテージの男性若手リサーチャー伊東祐貴が女性向け市場について知るべく、世の女性方の趣向やトレンドを実体験して学びを得る様をコラムでお届けするシリーズです。

第8回はタピオカです。2019年1月のレポートです。

第7回の「WORKMAN Plus」の記事へはコチラから


【目次】

タピオカとは?

キャッサバというイモの根の部分を原料としたでんぷんです。

食品加工や工業に用いられることもありますが、
一般的に最もなじみ深いのは食品としての利用です。

もちもちした独特の食感は、菓子の製造時にも活躍。
ミスタードーナツのポン・デ・リングや、
白いタイ焼きの食感を生み出している事でも有名です。

また、近年では気分があがるオシャレドリンクとして、
タピオカ入りのカップ飲料が女性を中心に注目されています。

落ち着きの中にどこか神秘を感じさせるフォトジェニックなビジュアルにより、
SNSへ画像投稿する人々が続出。
急増する需要に応えるべく、専門店の出店も勢いを増しています。

2003年に創業のPearl Lady(パールレディ)は、
姉妹ブランド「SWEEETS TAPIOCA Pearl Lady」,「茶BAR」を含め、今もなお店舗を増加中。

中でも、マルイやイオンモールを中心に店舗を展開する茶BARは、
バリエーション豊富なドリンクを低価格で楽しめるとあって行列が絶えません。

また、” It’s time for Tea お茶に恋をする、美しい生活 ”をコンセプトに掲げる「THE ALLEY」は、
1月9日に秋葉原店をオープンしています。

台湾全土で20店舗を超える、話題のティースタンドが仕掛ける同チェーン
こだわりの手作り食材をふんだんに使用したドリンクに、
“ 初めて飲むと驚きを感じ、2回飲むと好きになり、3回飲むと恋しくなる”そうです。

同店の名物である「三食感ミルクティー」は、
タピオカやナタデココなどが入れられた至高の一杯。
飲んだ人を新世界へといざなってくれることでしょう。

一週間を乗り切りすり減って迎えた週末に、
あるいは仕事の気分転換をしたいお昼どきに、
タピオカドリンク片手にゆるりと過ごしてみてはいかがでしょうか。

体験レポートと今回の学び

夏も冬も、宿題は最終日に一気に片付ける人生を送ってきました。

年末年始休暇も残り2日で終焉を迎えますが、次号のテーマが決まっていません。
ボーッと生きてきたことを今更ながら後悔します。

スマートフォンを変えて久しく活動を休止していたInstagramを再インストール
何か題材になりそうな情報収集をしていると、同期の気になる投稿を発見しました。

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※投稿者掲載許可済み

隣町の北千住に、行列のできるタピオカティーのお店が現れていたようです。

2018年にタピオカが再ブレイクを果たしたことは耳にしていました。
ただ、飲んだことがあるので未知ではないと、どこかで避けてきた側面があります。

しかしながら、なぜ今になってタピオカが再度注目を集めているのか、
それは未だによくわかっていません。

ブームが去ってしまう前に、そして、平成が終わるまでにカタをつけたいところ
いきなり外出するのはしんどいので、気が向いたら出るとしましょう。

~年始休暇最終日~

日が沈み始めた陰鬱な日曜日の午後。さすがに覚悟を決め、自転車を走らせ北千住の現場へ

マルイの茶BARへやってきました。
昨年9月のオープンからすでに時間は経っていますが、噂通り多くの女性たちが行列を作っています。

並んでいるのは15人。そのうちの8~9割は女性です。
中には部活帰りと思しき女子学生の姿も見受けられます。

百貨店という比較的物価が高めな空間において、お財布に優しい価格設定は際立ちます。
自由に使えるお小遣いが限られている若年層にとってのオアシスとも言うべきなのでしょうか。

幅広い年齢層に受け入れられる=ターゲットの分母が大きければ、
必然的に列が長く伸びているということも納得です。

ガラスケース越しに展示されているバリエーション豊富なサンプルを目の当たりにすると、
どれにしようか迷ってしまうもの。
かなり悩みましたが、ミルクティーの味はおおよそ予想がつくので、
ローズヒップティーでいきましょう。

待つことおよそ15分後、いよいよ順番が回ってきました。
注文方法を確認しながら、ローズヒップティー 半糖・氷少なめ・大粒タピオカ・イチゴ&ブルーベリートッピングをオーダー
スタッフの方が手際よく具材をカップに詰め込んでくれます。

ドリンクを受け取り、前の女性2人組を真似てカウンター横のスタンドで撮影

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下からのライトアップが紅茶を透かし、幻想的な装いです。

最後に底に残ったタピオカを吸い取るに苦戦しつつも、
5分足らずで完飲しました。
おいしいがゆえに感じる物足りなさが、どこからともなくこみ上げてきます。

しかし、もう一度あの行列に並んでおかわりするのは得策に思えません。
「(もしかしたら内製化できるのではないだろうか・・・?)」
ダメ元で「北千住 乾燥タピオカ」で検索
ヤフー知恵袋でちょうどよい質問と回答を発見しました。

「北千住にあるマルイってタピオカありますか??至急です!」の投稿情報を頼りに、
コーヒーと輸入食品のワンダーショップカルディへ
店内をくまなく探しましたが、どこにもタピオカは見つかりません。
少し情報が古いので、現在は取り扱っていないのでしょうか。
仕方ないので紅茶だけ購入し、店をあとにします。

明日からまた仕事が始まることを考えると、なんとか今日中に取材を完了したいところ。
絶望している暇はありません。
もう少し詳しく調べてみると、それなりの規模の輸入食品屋ならば、取扱いの可能性がある様子。

LUMINEの輸入食品店「TOMIZ」へ。
店内の棚という棚すべて、くまなく探していきます。

ありました。カラフルと黒のタピオカを調達。
同じ棚に置かれていた太めのストローも購入します。

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マルイ4Fの100円ショップ「seria」にて容器を購入したところで、とうとう役者が揃いました。

家まで自転車を走らせ、すぐさま大きめの鍋を引っ張り出します。
まずはパッケージに書かれた調理法を確認。
お湯を沸騰させた鍋にタピオカを投入し、およそ1時間から1時間半程度茹でるとのこと。
長い戦いになりそうです。

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吹きこぼれないように見守りながら、じっくりゆでていきます。
何度か試食もし、待つこと小一時間。とうとうアルデンテを迎えました。
はやる気持ちを押さえつつ、鍋からザルにあけて冷水でしめます。

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どこからか湧いてきたヌメヌメ成分に、年末に大掃除したばかりのシンクがやられました。
流しはベタベタする上に、水が上手く流れてくれません。
後のことを思うとくじけそうなので、余計なことは考えずに調理を続行。

家でのアフタヌーンティー体験のために購入して以降、しばらく眠っていたティーポットで紅茶を淹れます。

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タピオカと氷を底に沈めたフタ付きのカップに、紅茶を注ぎ込みいよいよその時を迎えます。
カラフルな色合いを最大限活かすために、ここはあえてストレートティーで仕上げましょう。

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まさしくタピオカティーです。
強いて言うならば、タピオカ自身に味が付いていないのが、お店の味との違いでしょうか。

かなり夜も深まってきているため早々に飲み干し、この調子で次の一杯を製造します。

次に続くのは電球タピオカミルクティーです。
2018年を彩ったドリンクと容器による夢のコラボレーション。

タピオカが黒くないためミルクティーに隠れてしまう、
ストローの直径が太すぎて差し込み口に入らないなど
いくつかの想定外に直面しながらなんとか形になりました。

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作っている時は楽しかったのですが、あまり気分があがってきません。
それに、本日3杯目のタピオカドリンクにかなり腹が膨れてきました。

SNS映えだけでなく、この腹持ちの良さも秘訣なのかもしれません。
「お腹が空いたから何か甘いものでも食べたい・・・」
「でも、この後夕飯を食べに行くし、ケーキやクレープなどの重いものは避けたい・・・」
そんな時に都合のいい食材がタピオカなのでしょうか。

ブームを巻き起こした理由の一角にたどり着いた満足感を得つつ、
デンプンでヌメヌメした鍋、ザル、シンクと向き合う決意を固めました。

◆今回の学び
・行列に並ぶ行為は、心理学的な知見から解明が試みられている。
 同調行動:
 無意識のうちに、多数者やすでに先んじて何かをやっている人の行動に思わずならってしまうこと。

 バンドワゴン効果(勝ち馬効果):
 ある製品や事柄に対し、大勢の人がそれを支持している場合、
 その製品や事柄への支持がよりいっそう高くなるといった現象。
 
・成功する商品はそれ自体が優れているだけでなく、マーケティングミックスが有効に作用していることが多い。
 例、茶BARのタピオカ
   腹持ちがよく、ヘルシー(そう)で罪悪感が少ない上に甘くておいしい、
   それでいてSNS映えするといった複数の価値の集合体である。
   それをデパートで安く取り扱い、かつSNSでの拡散も活かすことで、
   行列ができるほどの販売が実現されている。

・生半可な気持ちでタピオカを茹でてはいけない。
 焦がさぬよう長時間見守る忍耐力、ヌメヌメした容器や流しを片付けるメンタル、
 大量に茹で上がったタピオカを胃に収める責任感など、さまざまな素養を必要とする所業である。

紅茶のカフェインのせいか、しばらく寝つくことができませんでした。

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著者プロフィール

伊東祐貴
伊東 祐貴(いとう ゆうき)
20代の男性リサーチャー。入社当時、全国女性消費者パネル(SLI)の運用に関わった経験から、女性向け市場を知るための体験レポートを社内に継続的に発信。歳の離れたきょうだいの視点も取り入れ、「いまのワカモノ」視点で市場を追っています。
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