【未知との遭遇】Vol.9 クイックブロー・スプレー(ミスト)

この【未知との遭遇】は、インテージの男性若手リサーチャー伊東祐貴が女性向け市場について知るべく、世の女性方の趣向やトレンドを実体験して学びを得る様をコラムでお届けするシリーズです。

第9回はクイックブロー・スプレー(ミスト)です。2019年3月のレポートです。

第8回の「タピオカ」の記事へはコチラから


【目次】

クイックブロー・スプレー(ミスト)とは

頭髪の乾燥を早めるヘアケア製品です。
お風呂上がりのタオルドライ後、ドライヤーを掛ける前に頭へ噴射することで、乾燥に要する時間を短縮することができます。

”夜は早く寝たいし、朝は忙しい”

そんな現代女性のニーズに応える形で、商品ラインナップが増加しつつある同市場。
製品カテゴリの存在を広く知らしめたのが、SABORINO「速く乾かスプレー」です。

時短コスメの先駆けともいえる同ブランドが、バラエティショップ限定で販売する同商品。
タオルドライ後の頭に、数秒程度噴射してなじませることで、ドライヤーによる乾燥を短縮することができます。
美容成分の配合によりトリートメントも完了し、メントールの清涼感のおかげで、汗だくになる心配もありません。

他方、ミストタイプではより髪への優しさを強調するブランドが見受けられます。
その中の一つが加美乃素本舗の「Hairie(ヘアリエ)クイックブローミスト」です。

使用方法はSABORINOとおおむね同様。
タオルドライ後に髪全体にまんべんなくミストを行き渡らせ、いつも通りにドライヤーを掛けていきます。
2種類の濃密なトリートメント効果と、変化を楽しめる香水調のフレグランスが特徴です。

そもそもなぜ髪が素早く乾くのか

Hairieのブランドサイトによると、

(1)髪の水分に速乾成分のエタノールがくっつく
(2)ドライヤーでブローする
(3)速乾成分と一緒に水が早く蒸発する

といったロジックのようです。

お風呂上がりの時間をより充実させるために
あるいは1分でも早く眠りにつくために

いつものドライにササッとひと吹き加えてみてはいかがでしょうか。

体験レポートと今回の学び

「(今切ったら寒いだろうな…)」
そうやって散髪を踏み止まり続けて、はや1ヶ月が経ちました。
おかげで髪も伸びきり、洗髪に乾燥に時間を割く日々を過ごしています。
2,3月は、担当する車業界とCO2業界それぞれが活況とあって、わずかな時間であっても削っておきたいところ。
そんな折、メルマガの題材探しに閲覧していた@cosmeのサイトにて、気になる商品を発見しました。

早速、上野マルイ地下1階の@cosme storeへ

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出典:@cosme store HP

ドラッグストアでは見かけない商品や、工夫が凝らされた手書きのPOPなど、興味深く店舗を回っているとふと背後に気配を感じました。

「お客様、手の甲に化粧水をお試しになりませんか?」

不意な一言に、思わず肩をビクつかせます。
これまで幾度となく、買う予定の無かった商品を試した挙句、断りきれずに購入する結末を迎えていました。
油断した時にはすでに手遅れ、それこそが戦場であることを思い出させてくれます。

しかしながら、これまで幾多の死線を乗り越えてきたことで、いつしか自信が芽生えているのを感じます。
今回は毅然とした態度でお断りをしましょう。
決心を固めて振り返ると、スタッフの方が別のお客さんにトライアルを勧めていました。
少々自意識過剰になっていたことを反省しつつ、目的のヘアケア売り場を目指します。

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事前にネットで情報を仕入れていたSABORINOに加え、同店で取り扱っていたHairieのミストを購入しました。

今回は久しぶりに比較実験を通して、効果を検証していきます。
通常時と商品使用時の比較実験をしているブロガーの先行研究は、ネット上でいくつか見受けられます。
しかしながら、完全に条件を統制して効果を観測した実験は、管見の限り見受けられません。
ノープーや日焼け止めで実践してきた、左右比較実験法(特許取得検討中)にて確かめたいと思います。
※過去にノープー、日焼け止めでも実施

商品を頭の右半分のみに噴射し、非制御群の左半分とのドライ時間を比較します。
2日間かけて実験を行うため、湿度や紙を乾かすモチベーションなどの差異が生じます。
しかし、左半分のドライ時間が基準値となるため、その変動をもとに標準化を行えば問題ありません。

タオルドライは1分で統一
吸水力に差が出ぬよう、両日共に同じ材質のものを使用

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計測にはCASIO社製のストップウォッチを使用します。

~ 一日目 ~
全身を洗い、きき湯 カルシウム炭酸湯で約15分間入浴
その後1分間タオルドライをして、頭の右半分にスプレーを噴射していきます。

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ワンプッシュした瞬間に、痛烈な甘い匂いが漂ってきました。
初めは戸惑いましたが、慣れてくると癒される香りです。
指で髪になじませたのち、左右に偏りが出ないようドライヤーで髪全体を乾かしていきます。
乾き具合に大きな差は感じられませんが、スプレーを噴射したあたりだけ、やたら指通りがなめらかです。

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記録:1分47秒13

噴射していない左側は若干湿っていますが、1分58秒の時点で完全にドライとなりました。
何もつけないよりはわずかながらに早くなりましたが、時短と呼べるほどではありません。
ただし、右半分だけ髪がサラサラになっていましたので、どちらかといえばトリートメントとしての要素が強いのかもしれません。

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~二日目~
昨日と条件をそろえて入浴
入浴剤は「バスクリン カラダプラス アロマスパークリング ノーブルラベンダー」に変更し、約15分間浸かります。
1分間のタオルドライの後、スプレーを噴射

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メントールがスーッとします。
40秒を過ぎたあたりから、左右の乾き具合に差が出てきたのを感じました。

michi9_09.jpg

記録:1分20秒40

なかなかの好記録です。
左側はまだ乾いていません。
その後ドライが完了したのは、昨日よりも8秒早い1分50秒でした。
8秒は湿度や風呂上がりの時間経過などによるものかと思われますが、その条件の差異を考慮しても効果には差がある様子。

せっかく購入したので、休日には髪のケアのために前者のミストを、平日は時短ドライのために後者を使用していきたいと思います。
何はともあれ、明日から30秒は早く寝られそうで何よりです。

◆今回の学び

  • ECが活況を迎えたとしても、直ちに実店舗が消滅するわけではない。
    実物を手に取ることができる安心感、今まで知らなかった商品に出会った時のときめきなどにリアル店舗の利がある。
    ECが実店舗を駆逐するのではなく、両者がよりボーダーレスとなるマルチチャネル社会が到来している。

    例、@cosme store
    ただの化粧品販売店ではなく、”コスメのテーマパーク”を名乗る同店舗。
    ネット上の口コミデータを活用した魅力的な品ぞろえや、ストアオリジナルのPOP、コスメのトライアルなどリアル店舗ならではの楽しさを提供。
    他方、これまでネットに積み上げられてきた膨大な口コミ数を訴求したり、自社メディア上でのログデータを店舗戦略に活用するなど、webとの連動にも積極的。
  • 優れた商品であっても、生活者がその価値を容易にイメージできなくては手に取ってもらえない。
    あるいは、その価値を生活者に教育する努力をしていかなくてはならない。

    cf.生活者のエデュケーション
    革新的な技術や複雑な機能を持った製品・サービスは、生活者が理解するのに一定の負荷が掛かる。
    あるいは、生活者は自らのニーズに必ずしも気づいているとは限らない。
    そのような状況下においては、製品・サービスがいかなる価値を提供するのかを分かりやすく説明したり、気づいていなかった潜在的ニーズを意図的に自覚させることが、顧客の創造につながる。

    例、レイコップ:
    人々は布団に掃除機を掛ける必要性を感じていなかった。
    そこで、快眠といったポジティブな面、汚れた布団のネガティブなイメージを生活者に訴求し、布団用掃除機が必要な理由を生活者に気づかせた。
  • あまり髪が長くない人がクイックブローミストを使った場合、髪全体にミストをなじませる工程に掛かる時間で相殺されて大した時短にはならない。

そもそも髪を切れば済む話な気がしてきました。

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著者プロフィール

伊東祐貴
伊東 祐貴(いとう ゆうき)
20代の男性リサーチャー。入社当時、全国女性消費者パネル(SLI)の運用に関わった経験から、女性向け市場を知るための体験レポートを社内に継続的に発信。歳の離れたきょうだいの視点も取り入れ、「いまのワカモノ」視点で市場を追っています。
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