モチベーションとは?仕事のモチベーションアップの要因を理論と意識調査の結果からわかりやすく解説

株式会社インテージは2020年6月、ビジネスパーソンを対象に「仕事のモチベーション」に関する意識調査を行いました。

ビジネスパーソンなら誰でも一度は、モチベーションが高まったときに着手した仕事が、思いのほか成功した経験を持っているのではないでしょうか。
しかし、高めようとしてもなかなか高まらないのがモチベーションです。

この記事では、モチベーションの基礎知識と理論を確認したうえで、意識調査から見えてきた、仕事の満足度と理由、満足度と意欲の関係を紹介します。
若い社員だけでなく、経営者や管理職にとっても「モチベーションを高める方法」は重大な関心事になっているのではないでしょうか。

【目次】

モチベーションとは?モチベーションを上げる効果

モチベーションとは?

モチベーションは、「意欲」「動機づけ」などと訳されます。
ビジネスにおけるモチベーションは、「仕事への意欲」と理解してよいでしょう。
営業担当者が「よし、モチベーションが高まった。お客さんのところに行こう」と言ったら、周囲は、その人の仕事意欲が高まっていることを知ることができます。
「モチベーションが高まらない」と頭を抱えている人がいたら、仕事の意欲が低下していることがわかります。

モチベーションには「外と内」がある

意欲はビジネス上の重大事なので、「モチベーションの正体」を探ることは、すべてのビジネスパーソンにとって有益なはずです。
心理学では、モチベーションを、外発的モチベーションと内発的モチベーションの2つにわけて考えています。

外発的モチベーションには、評価、報償、罰、強制などがあり、これらは「人為的」につくられます。
例えば、グループのリーダーが、メンバーたちのモチベーションが上がっていないことに気がついたら、評価制度を導入するだけでモチベーションが上がるかもしれません。

内発的モチベーションには、興味や関心、上昇志向などがあります。内発的モチベーションは、高めたいと考えている本人が能動的に取り組まないと上昇しません。

内発的モチベーションのほうが、外発的モチベーションより価値が高いと指摘されることがありますが、ビジネスでは必ずしもそうとは言い切れません。

外発的モチベーションは、カンフル剤のように短期間で一気に効果を出すことができます。例えば、「目標を達成したら100万円」というインセンティブが提示されると、スタッフたちの外発的モチベーションは一気に高まるでしょう。
ただ外発的モチベーションには、インセンティブなどの人為的な働きかけが中断したら、一気にしぼんでしまう欠点があります。

その点、内発的モチベーションは、永続的ですし、ビジネスパーソンとしての成長にも寄与します。しかし、内発的モチベーションを持つことは簡単ではありません。
例えばビジネスパーソンが「給料は高くなくてもよい。この仕事に携わることができるだけで幸せだ」と感じるまでには、10年以上かかるかもしれません。

モチベーションを上げる効果

企業の経営者や管理職は、外発的モチベーションと内発的モチベーションを組み合わせて、従業員たちを鼓舞することが理想です。
例えば、達成困難な目標を従業員たちに与えて、それをクリアしたら報奨金を支給するようにすれば、仕事の意欲が高まります。そのためには、一人ひとりに目標を与えたり、仕事の進捗状況をこまめに確認したりすることが必要になります。

しかし、報奨金は人件費の原資の範囲内でまかなわなければならず、無制限に支給することはできません。
そこで、長期的にみるとコストを抑えられる内発的モチベーションを高める取り組みが必要になってきます。

例えば、従業員に、他社が手掛けていない開発テーマを与えたり、初の海外進出のプロジェクトリーダーを任せたりすることは、彼らの内発的モチベーションを刺激すると同時に、売上高や利益に直結します。

外発的であろうと内発的であろうと、従業員のモチベーションが高まることは、経営者にも従業員自身にも「よいこと」といえます。
モチベーションが高まった従業員は、質がよい仕事をしたり、多くの仕事をこなしたりするので、生産性が向上し売上高が上がり、顧客の満足度も上がります。これは経営者にとって大きなメリットです。
そして、高いモチベーションで仕事をしている従業員は、やりがいや達成感を感じているはずです。それは幸福感を高めることにつながり、理想の働き方といえるでしょう。

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仕事におけるモチベーションの理論

「モチベーション」という言葉を目にすると、すぐに「高めたほうがよいもの」と連想するのではないでしょうか。
しかし、モチベーションの理論では「不満足」にも注目して「低くする」取り組みも考えます。

ハーズバーグの二要因理論

モチベーション理論として、アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグ氏の「二要因理論」を紹介します。

人生に満足している人は不満が少なく、不満が多い人は人生に満足していない――そのように感じている人は少なくないでしょう。
これは、「満足と不満足は、互いに干渉し合っている」という考え方です。つまり、満足が増えると不満が減り、不満が増えると満足が減る、という考え方です。

しかし、二要因理論は、満足と不満足は、別個に独立して存在していると考えます。
ハーズバーグ氏は、満足に関わる「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」などのことを「動機づけ要因」と呼びました。
そして不満足に関わる「会社の方針と管理」「会社や上司からの監督」「監督者との関係」「労働条件」「給与」などを「衛生要因」と名づけました。

motivation_01.png仕事で達成感を感じると、その人は満足しやすくなります。しかし、仕事で達成感を持てなくても、すぐに不満足を感じるわけではありません。

会社の方針が悪いと、従業員から不満が噴出しやすいのですが、だからといって、会社の方針をよくしても、従業員の満足度が高まるわけではない、といえます。

この二要因理論は、モチベーションの考察に大きく関わってきます。

動機づけ要因を満たしても、衛生要因を満たしても、モチベーションは高まります。しかし、どちらを満たすかによって、モチベーションの質が変わります。

動機づけ要因は、主に内発的モチベーションに関わるので、こちらを満たすことができると、そのモチベーションは持続しやすいでしょう。ただ、会社の経営者が、従業員一人ひとりの動機づけ要因を満たすことは簡単ではありません。

衛生要因は、主に外発的モチベーションに関わるので、こちらは速効性があります。ただ、持続性があるとはいえません。

経営者や管理職は、衛生要因を高める施策を講じたうえで、動機づけ要因を高める仕組みをじっくり仕込んでいく、という順番で取り組んでいってはいかがでしょうか。

【実例】仕事の満足度とその理由について意識調査をしてみました

それでは、インテージが2020年6月に実施した「モチベーションに関する意識調査」の結果を紹介します。
対象者は「会社員」、「会社役員・管理職」、「派遣・契約社員」、「公務員・団体職員」で、回答者数は994人でした。

仕事の満足度

仕事の満足度に関する回答は以下のとおりです。

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「とても満足」(3.8%)と「満足」(11.5%)と「どちらかといえば満足」(29.2%)を合わせた「満足グループ」は44.5%でした。
「とても不満」(6.4%)と「不満」(7.8%)と「どちらかといえば不満」(11.6%)を合わせた「不満足グループ」は25.8%でした。

「満足グループ」が半数(50%)に届きませんでしたが、「不満足グループ」より多い結果になりました。

満足している理由

「満足グループ」の人たちに、満足している理由を尋ねました。

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「仕事が自分に適している」がトップで46.3%を獲得しました。業務内容が満足度に大きな影響を与えることがわかりました。
そして2番目に多かったのは「休日や残業時間が適切」(37.8%)、3番目は「職場の人間関係が良い」(34.1%)でした。
1位から3位を合わせると、「自分に適している仕事をして、休日数と残業時間が適切で、職場の人間関係が良い」となります。これが「理想の働き方」の1つの姿なのかもしれません。

不満足な理由

「不満足グループ」の人たちに、不満足な理由を尋ねました。

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「給与・賞与が良くない」が1位になりました。しかも48.7%とかなりの高率です。給与・賞与が良くないことは、不満足に直結することがわかります。
ただ、「満足グループ」の満足理由では、「給与・賞与が良い」は5位で24.6%でした。このことから、給与・賞与が良くないと、すぐに不満につながるが、良くしても、必ずしも満足につながるわけではないことがわかります。

「仕事がおもしろくない」(39.8%)が2位になったのは、満足グループの1位が「仕事が自分に適している」(46.3%)だったことと考え合わせると、順当といえそうです。
仕事の中身は、満足にも不満足にも大きく関わる重大事であることがわかります。

3位の「上司・先輩・同僚に魅力的な人がいない」(33.3%)も、満足グループの3位が「職場の人間関係が良い」(34.1%)だったことから、順当と考えることができます。
どのような仕事をするかだけでなく、誰と仕事をするかも重視していることがわかります。

理論と意識調査の結果の比較

先ほど紹介したハーズバーグの二要因理論と、今回の「モチベーションに関する意識調査」の結果を比較してみましょう。

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二要因理論の満足に関わる「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」などの「動機づけ要因」は、「やり遂げたときに達成感を感じる」、「自分が会社で役割を果たせている」、「仕事が自分に適している」、「責任のある仕事を任せてくれる」と解釈でき、理論通りの結果になりました。

一方、不満足に関わる「会社の方針と管理」「監督」などの「衛生要因」は、「会社に将来性がない」、「会社の示すビジョンに共感できない」が「会社の方針と管理」に該当します。「給与」も衛生要因ですが、調査結果では不満足を強く高める要因になっています。

「職場の人間関係が良い/良くない」は満足と不満足の両方の大きな要因になっていて、理論との違いも見られました。二要因理論は1959年のアメリカで提唱されたものなので、「現代日本」に合致しない部分もあるかもしれません。

モチベーションアップのヒント

今回の「モチベーションに関する意識調査」からは、モチベーションを上げるためのヒントも見つかりました。

仕事の意欲

現在の仕事の意欲に関する回答は以下のとおりです。

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この質問は、満足ではなく意欲にフォーカスしているところがポイントです。
「とても意欲が高い」(2.8%)、「意欲が高い」(10.1%)、「どちらかといえば意欲が高い」(26.9%)を合わせた「意欲高いグループ」は39.8%でした。
「とても意欲が低い」(5.2%)、「意欲が低い」(6.7%)、「どちらかといえば意欲が低い」(11.5%)を合わせた「意欲低いグループ」は23.4%でした。

満足と同様に、意欲高いグループは、意欲低いグループを上回っていました。

満足度と意欲の関係

以下は、満足と意欲の関係を調べたものです。

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「とても満足」している人のうち、「意欲がとても高い」人は45.4%にも達しました。これに「意欲が高い」(33.6%)と「どちらかといえば意欲が高い」(12.5%)を足すと、「とても満足」している人のなかの「意欲高いグループ」は91.5%にもなります。
満足度の高さと意欲の高さは、かなり強く関係しているといえます。

「意欲の高さ」を「モチベーションの高さ」に置き換えると、満足している人ほどモチベーションが高く、モチベーションが高い人ほど満足していることがわかります。

そして興味深いのは「とても不満」、「不満」、「どちらかといえば不満」に感じている人たちに、わずかですが意欲が高い人がいることです。
「とても不満」に感じている人でも、「意欲が高い」は1.9%、「どちらかといえば意欲が高い」は5.7%でした。合わせると7.6%になります。
不満を感じながら、意欲を失わない人がわずかながらいます。

ここにモチベーションを高めるヒントが隠れていそうです。

不満足なのに意欲が高い人

仕事に不満を抱きながらも、高い意欲を持っている人にその理由を尋ねました。
その回答をながめると、「仕事はやらないと」派や「職場を変えたい」派など、一定の傾向が見つかりました。

<不満を抱きながら高い意欲を保つことができる理由>

「仕事はやらないと」派

  • 仕事は仕事、と考えている
  • 不満と仕事は別の問題だから
  • 仕事をしなければ、収入が得られないから
  • 会社に在籍している以上は、仕事の目標に向かって全力でやる。不満を言い訳にして、仕事を真剣にやらないなら転職すべきだ
  • やるべきことはちゃんとやりたいから。何かしら得られることがあると思うから
  • 目の前にある仕事は「やらないと」と思うから。しかし、それに見合った対価がないから不満に感じている

「職場を変えたい」派

  • 自分の力で職場を変化させたいから
  • 業務効率をよくするために、あれこれ変えたいと思っている。でも、上司が変化を好まず、変えられない

「やりがいがある」派

  • 職場環境に不満はあるが、仕事は好き
  • 仕事内容にやりがいを感じる
  • やりたい仕事には就いているので(不満はあるが意欲は高く維持できている)
  • 仕事自体は自分に合っていると思える。ただ、上司が変わらない、環境も変わらないから不満が募っている。うちの会社は離職率が高いのに対応しないことが残念
  • 経営者がダメなだけで、社員は良い人が多い。一緒に仕事を達成したときの達成感が心地よい

「成長できる」派

  • 成長できる部分があるため
  • 自分のスキルを高めたいから

彼らの声のなかにヒントがある

不満を持ちながら高い意欲を持ち続ける人たちは、モチベーションが低下してもやむを得ない環境にいながら、モチベーションを高めに維持できている人です。
そのため、彼の声のなかには、モチベーションを高めるヒントが隠れているはずです。

「何かしら得られることがあると思うから」という意見がありました。
この方はこれまでに、仕事を通じてさまざまなことを得てきたのでしょう。仕事から吸収できるものがあれば、モチベーションを維持できることがわかります。

「モチベーションを高めたい」と感じているビジネスパーソンは、仕事の意義を探すとよいのかもしれません。

根拠のあるアプローチを心がける

従業員も経営者も、ビジネスに携わる人なら誰でも「モチベーションを高めたい」と考えているはずです。そのほうが仕事に前向きに取り組むことができますし、成果が出やすいですし、何より幸福感が得られます。経営者も従業員たちの幸福を願っているはずです。
しかし、「モチベーションを高めなければ」と必死になったり、「モチベーションを高めなさい」と叱責したりしても、モチベーションは高まりません。
「外発的モチベーションと内発的モチベーション」「動機づけ要因と衛生要因」「満足と意欲の関係」といった根拠のあるアプローチをして、効率的かつ効果的にモチベーションを高めていくとよいでしょう。


本記事でご紹介した仕事のモチベーションに関する調査レポートは、以下からダウンロードいただけます。
経営者や管理職には従業員のモチベーションアップの参考に、モチベーションを上げたい働く人には、モチベーションを下げる要因を特定して、対策を行う参考にしてください。

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「仕事のモチベーションに関する調査」について
調査手法:インターネット調査
対象者条件:
・全国20-59歳男女
・職業:「会社員」、 「会社役員・管理職」 、「公務員・団体職員」、「派遣・契約社員」
標本抽出方法:弊社「マイティモニター(弊社キューモニター+提携モニター)」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=994
調査実施時期: 2020年6月26日(金)~2020年6月29日(月)

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