【図解】タイムシフト視聴率とは?視聴率測定の考え方の変化と視聴行動の分析

視聴率の測定方法には、従来の「リアルタイム視聴率」と新しくできた「タイムシフト視聴率」があります。そしてこの2つを合わせた「総合視聴率」もあります。この記事では、図解を用いながら視聴率測定方法の考え方や変化についてわかりやすく解説します。さらに、視聴ログデータ「Media Gauge TV」による視聴行動の分析やそこからわかることについて、これまでにご紹介した2つの記事(「いよいよ広告の取引指標にも反映へ 「タイムシフト視聴」のいま」「動画配信サービスにはない『テレビらしい』楽しみ方とは?」)の内容を一部取り上げながらご紹介します。

【目次】

タイムシフト視聴率とは?

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タイムシフト視聴率とは、リアルタイムでの視聴の有無にかかわらず、放映後に録画しておいた番組を視聴(タイムシフト視聴)したら「見た」としてカウントする視聴率の新しい指標です。ではなぜ新しい視聴率の指標が必要になったのでしょうか。

「視聴率」をめぐる最近の動きと、その背景

近年ではDVDやブルーレイ、HDレコーダーなど録画機の普及に加え、単身世帯や共働き世帯の増加といった社会的な変化も背景に、テレビ番組をリアルタイムで視聴しない人が増えています。そこで登場したのが、「タイムシフト視聴率」です。

それに伴って、「総合視聴率」という新たな指標も登場しています。これは、リアルタイムとタイムシフトの両方で視聴(重複視聴)した場合は「1カウント」として集計することでタイムシフト視聴も加味したより正確な視聴率を算出する指標です。

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視聴率の測定が始まった1962年当時は、「テレビは一家に一台」「家族みんなで同じ番組を見る」というのが主流でした。しかし現在では「一家に複数台」「家族の構成員それぞれが異なる時間帯に異なるテレビ番組を見る」ことが多くなっています。それに伴い、「その番組を何人の人が見たか」を示す「個人視聴率」という考え方も新たに登場しました。

一般的な視聴率は「世帯視聴率」で、「その番組をテレビ所有世帯のうちの何世帯が見たか」を示す数値です。しかしテレビCMの広告効果としては、4人で見る場合と1人で見る場合では4倍の差があります。そうなると世帯視聴率では広告効果を正確に測れないことになり、効果を正しく測ることができません。また世帯のテレビ所有台数も複数あるのが一般的になっているため、家族それぞれが異なる番組を見ている状況では「世帯視聴」とは言えません。

このように、生活者のテレビ視聴の状況が変化したことにともない、「リアルタイム視聴」から「タイムシフト視聴」、「世帯視聴」から「個人視聴」へと、より正確な状況が把握できるよう視聴率の考え方も変化しています。

次の章では、視聴行動のデータ収集方法を工夫することで、より正確な視聴行動を捉えようという試みを紹介します。

具体的な視聴行動の分析でわかること

より正確な視聴行動を捉える試みのひとつに、ビッグデータの活用があります。そのひとつであるインテージの「Media Gauge」では、日本全国のインターネットに結線されているスマートテレビと録画機から「視聴ログ」を収集し、これを分析することで視聴実態を明らかにします。これよって、どのようなことがわかるのか見ていきましょう。

①テレビ番組の観点からわかること

視聴データを分析することで、リアルタイム視聴されやすい番組とタイムシフト視聴されやすい番組や、細かい地域単位での視聴行動がわかります。

リアルタイムまたはタイムシフトで見られる番組の違い

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※この表では、番組ごとの視聴行動の傾向を「接触率」という指標で示しています。「視聴率」が対象地域の世帯のうち何%が視聴したかを示しているのに対し、「接触率」はスマートテレビや録画機の端末のうち何%が視聴したかを示しており、そのため両者では同一の番組であっても数値が異なります。

「コード・ブルー」「陸王」「ドクターX」といったドラマは、他の番組に比べてタイムシフト視聴されている割合が高くなっています。そして「FIFAワールドカップ最終予選」は、リアルタイムで多く視られ、なおかつタイムシフトで視られることが少ないという特徴がみられます。「ドラマ」と「スポーツ中継、ニュース」の違いは、ライブ性に価値を置く番組かどうかです。ライブ性に重きを置かず、録画で視ても番組の価値が損なわれない番組はタイムシフトで視聴され、ライブで視ることに価値がある番組はリアルタイム視聴されやすいことがわかります。また、「アメトーーク!」と「マツコの知らない世界」は、タイムシフトもリアルタイムも高めに出ています。この両番組の特徴は、コアなファンが多いことです。コアなファンはリアルタイムでも録画でも視たいと考えるのでしょう。

このように視聴データを分析することで、テレビ番組の性質や内容が視聴方法に影響することがわかるのです。

>詳しくはこちらの記事をご覧ください。

細かい地域単位での視聴行動

テレビ番組の地域性を調べたいときも、視聴データの分析が活用できます。

ある日の「アド街ック天国」の関東広域の接触率(5分以上視た人の割合)は4.4%でした。この数字だと「低い」という印象を持つでしょう。ところが八王子市の接触率は17.1%に達しており、八王子市に隣接しているあきる野市と相模原市緑区の接触率も10%を超えていました。この日のアド街ック天国が、八王子を特集していたことが理由であると推測できます。

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このように視聴データのようなビッグデータを分析することで、「視聴者は自分の住む地域に特化した番組に興味を示しやすい」といった、かなり細かい地域単位での視聴行動までとらえることができます。それにより、番組制作サイドやスポンサー企業は「狙っていた地域に視られたかどうか」を知ることができます。

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②テレビCMの観点からわかること

視聴データには早見再生やCMスキップの機能が使われたタイミングが記録されるので、「CMがどのように見られているか」もわかります。

CMのスキップ状況・見られ方

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2016年に大ヒットしたアニメ映画「君の名は。」が2018年1月3日にテレビの地上波で初めて放映されときの視聴行動を視聴データで調べたところ、「どのようなCMがスキップされないか」がわかりました。CMのスキップ状況には、次の2つの傾向がみられました。

  • 全時間帯にかけて2~3%の人が早見再生していた
  • 一部の人は、最初のほうはCMも視聴したが、途中からCMスキップをすることが多くなった

「君の名は。」の放映から20分過ぎに最初のCMが入りました。これはZ会が「君の名は。」とコラボしたCMで、アニメのキャラクターが登場する内容でした。このCMは75%の人がスキップせずに見ていました。また、2回目のCMも、他の時間帯のCMよりスキップされる率が低かったのですが、これも「君の名は。」とコラボしたソフトバンクのCMでした。

このことから、番組と関連性を高めるCMを制作するとスキップされないということが推測できます。

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人々の視聴スタイルが変化し、テレビを見る機器の種類が増えると、視聴行動の捉え方にも新たな考え方や方法が必要になってきます。タイムシフト視聴率の登場は、その一例といえるでしょう。企業(広告主)は、ビッグデータを解析した新しいテレビ視聴計測サービスを活用することで、移ろいやすい「視聴者=顧客」を捉えていく必要があります。

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