言いたいこと伝えられていますか?ロジカルシンキングのススメ

ビジネスコミュニケーションにおける基本スキルとも言われる「ロジカルシンキング」。なんとなく難解な印象のある言葉ですが、その目的は「難しいことをわかりやすく伝える」ことにあります。ロジカルシンキングの基本と、身につけるためのヒントを、ビジネスパーソンを対象にした意識調査の結果とともにご紹介します。

【目次】
・ロジカルシンキングの理解度とその基本
・ロジカルシンキングが苦手な人の特徴
・ロジカルシンキングを身につけるのに重要なことは

■ロジカルシンキングの理解度とその基本

全国のビジネスパーソンがロジカルシンキングに対してどんな考えをもっているのか、まずは意識調査の結果をご紹介します。

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ロジカルシンキングについて「全く知らない」と回答した人は約6割。残念ながら、ロジカルシンキングの認知度はそれほど高くはないようです。

ロジカルシンキングとは論理的思考、つまり物事を筋道立てて論理的に考えることを意味するワードです。
論理的思考がビジネスに役立つことは誰もが認めるところでしょう。ビジネスにおいて、商談する時、会議で発言する時、プレゼンテーションを任された時など、理路整然と話すことが求められるシーンは数え切れません。企画書など文章を書く時も同様です。学生であれば面接で論理的な受け答えができることが評価対象のひとつとなります。

では、論理的思考、さらには論理的な話し方、文章の書き方を身につけるにはどのようなスキルを身につければ良いのでしょうか。まずは、ロジカルシンキングを実践するための3つのメソッドを見てみましょう。

▼ロジカルシンキングのメソッド

ロジカルシンキングには、それを実践するためのメソッド(手法)が用意されています。比較的よく知られているものには、「MECE(ミーシー)」「ファクトベース」「ピラミッドストラクチャー」などがあります。

「MECE」は、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、「漏れなくダブりがない」ことを意味するワードです。通常の人間の思考は漏れやダブりが生じることが多いため、それらを排除し、すべてを網羅して分類して把握するために、MECEという考えを活用します。

「ファクトベース」は、「事実に基づいて」考えるということです。想像だけで捻り出した結論より、調査の結果や研究を重ねて出された結論のほうが正確性は向上します。

「ピラミッドストラクチャー」は、ある主張を頂点として、その根拠をピラミッド型に配置して論理を組み上げる手法です。プレゼンや商談のストーリーを作成する時によく参考にされます。

他には、演繹法、帰納法、弁証法といった思考方法もロジカルシンキングに役立ちます。

▼ロジカルシンキングの重要性

ロジカルシンキングが注目されるようになった背景には、世の中が高度情報化し、複雑化したことが挙げられます。営業担当やマーケティング担当はもちろん、海外ビジネスパーソンとの折衝、新人の教育でもロジカルシンキングは役立ちます。精神論や“あうん”の呼吸、慣例、言外の含みといったものでは伝わりにくいことも、ロジックを用いればしっかりと伝わるからです。

企業のトップから現場のスタッフまで、難しいことをわかりやすく伝えられる人の存在は貴重です。ロジカルシンキングはビジネスパーソンのためのコミュニケーションスキルと言えます。

■ロジカルシンキングが苦手な人の特徴

ロジカルシンキングができない、苦手という人もいます。それはなぜなのか、一般的に考えられる原因を見てみましょう。

▼仮説を立てていない

ロジカルシンキングが得意な人は、論理を組み立てながら常に仮説を立てています。仮説に従ってデータを集めて検証し、仮説が間違っていれば修正し、修正不可能なら別の仮説を立てます。仮説を立てるのに時間がかかる人は定石を学ぶのがおすすめです。多くの仮説を立てる訓練をし、定石として覚えれば仮説を立てやすくなります。

▼一面的に物事を捉えてしまう

物事をいろいろな角度から見ることを怠った時に陥りやすいパターンです。結論を述べる時にひとつかふたつしかその根拠を示さないため、「ではこの場合は?」と指摘されると論理が破綻してしまいます。「結論から話してその理由を述べる」話法はプレゼンなどでよく使われますが、その場合は根拠をできるだけ多く考えるのが鉄則です。

▼勘が鋭い

やや特殊ですが、勘が鋭すぎる人もロジカルシンキングが苦手なことがあります。勘や感覚で結論にたどり着けるので、普段は論理的思考をする必要がありません。その結論が正しくても、人に伝える時には論理的に話すことが必要です。ぜひロジカルシンキングをマスターしてください。

▼論理的思考が苦手と思い込んでいる

ロジカルシンキングにはやり方があります。テニスや水泳と同じように、方法を覚えれば誰でもある程度、論理的思考ができるようになります。苦手意識がある人は、「結論から話してその理由を述べる」「短く簡潔な論理を展開する」「三段論法を使う」といったことから論理的に考える習慣をつけましょう。

■ロジカルシンキングを身につけるのに重要なことは

今回の調査では、「あなたはロジカルシンキングができていると感じますか」という問いに対して、以下のような結果が出ています。

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ロジカルシンキングの内容を理解していると回答した人のうち、「ロジカルシンキングができていると感じている」という人は、「まあできている」を含めて50%余りで、「あまりできていない」と考えている人も4割強と多くを占めています。

また、「あなたはどのようにロジカルシンキングのスキルを鍛えていますか」という自由回答形式の問いでは、以下のような回答があがりました。

「物事を順序立てて考えることを意識する」(20代・男性・会社員)
「常に根拠を意識する」(50代・女性・会社員)
「様々な条件などから根拠を明確にして決断するよう常に意識している」(40代・男性・会社役員)
「感情的になっていると気づく練習をする」(50代・女性・専門職)

ロジカルシンキングのスキルは「根拠を意識すること」で鍛えているという回答が複数ありました。「感情的になっていることに気づく練習をする」という回答は興味深いのではないでしょうか。ロジカルシンキングを実践する際には感情を抜きにして考えることも必要ということでしょう。

また、その他にも以下のような回答もありました。

「論理的思考により、第三者に簡潔に理解出来るように要約して記録して手直しして、解らない時に書籍を読んで学んでいる」(50代・女性・会社員)
「研修受講と社内で内製研修を実施、自身で研修マニュアル作成している」(50代・女性・会社員)
「プレゼンの際に結論から述べる ひとつの項目につき何故を最低5回掘り下げる 書き出す」(30代・女性・会社員)
「日常的なことでも何故なんだろうと疑問を持ち考える」(50代・男性・会社役員)

普段から「なぜだろう」と疑問を持って考えることの有用性は専門家も指摘しています。たとえば電車に乗っていて、「シートの端から座る人とそうでない人の違いがあるのはなぜだろうと考える」などです。安易にネットなどで調べず、頭で論理的な答えを導き出してみることが大切です。

また、ロジカルシンキングを身につけるには、冒頭で触れたようなメソッドを学ぶのも近道です。ロジカルシンキングのセミナーや研修に行けば、そこで「MECE」などについて教わるでしょう。学んだメソッドをどのように使うか、アレンジして活用するかは各人の自由です。

また、ロジカルシンキングに関する本を読むことでその概要を知ることもできます。ここではおすすめの書籍を2冊ご紹介します。

・「ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル」(照屋華子・岡田恵子 著、東洋経済新報社、2001年)
日本でロジカルシンキングブームが起きる契機となった本です。ロジカル・コミュニケーションの手法を学ぶことを目的として、「MECE」や話の飛びをなくす技術である「So What?/Why So?」について書かれています。

・「考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則」(バーバラ・ミント 著、ダイヤモンド社、1999年)
上記の本とも関連が深い「問題解決力」についての本です。著者はマッキンゼーをはじめとする有名コンサルティングファームでライティング術を教える人物。出版は20年近く前ですが、論理的なレポートや企画書の書き方を一から学びたい時に、いまも役立つ教科書のような本です。

最後に、ロジカルシンキングを身につけるために役立つヒントをひとつご紹介します。それは、論理的に話したり、書いたりするのとは別に、「聞く耳」を持つことです。人の話の論理を追い、整理しながら、言わんとするとするところを汲み取る練習をします。論理的な思考力をもつ人の話を聞けば、要点を見つける力を養いながら、論理的に話すコツが学べます。講演などに行って話を聞くのが理想ですが、ニュース番組のコメンテーターの話を聞くだけでも勉強になります。

■まとめ

ロジカルシンキングはビジネスに必須のスキルと言われていますが、実は知人・友人とのコミュニケーション、さらに悩みの問題解決のためにも役に立ちます。知っていればいろいろと使えるテクニックのひとつとして、自分のモノにしてみてはいかがでしょうか。


今回の記事には、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果を用いました。

調査手法 インターネット調査
調査地域:全国
対象者条件:20-59 歳の有職男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代別の有職者の構成比にあわせてウェイトバック集計
標本サイズ:826
調査実施時期:2017年6月2日(金)~2017年6月6日(火)

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