サバ缶が絶好調!裏側にある食べ方の変化は?

※この記事は、商業界ONLINEにインテージのパネルリサーチアナリストチームが寄稿しているシリーズ「好調カテゴリーの3ヶ月後を予測する」の内容を一部加筆・再構成したものです。今回はアナリスト 白井翼による「魚介類缶詰市場」レポートをお届けします。

【目次】

テレビの情報番組で話題に 伸長を続けるサバ缶市場

魚介類缶詰市場が盛り上がっています。直近1年(2017年7月~2018年6月)の市場規模(金額ベース)は前年比で107%と大きく伸び、この10年で最大となりました。この伸びを牽引しているのが「サバ缶」です。2017年に「ジョブチューン(2/11放映)」、「主治医が見つかる診療所(8/28放映)」、「マツコの知らない世界(12/5放映)」など様々なテレビの情報番組で取り上げられたことを機に、その栄養価の高さと美味しさ、心臓病予防や中性脂肪改善などの健康や美容への効果に注目が集まるようになりました。

図表1はこの2年半における魚介類缶詰市場の市場規模の変化をインテージ全国小売店パネル調査〈SRI〉でカテゴリー別に捉えたものです。これまで、魚介類缶詰市場は長期にわたって「マグロ油漬け缶」が牽引し、不動のトップカテゴリーとなっていました。しかし、2017年に入ってから「サバ缶」が様々なテレビ情報番組で取り上げられたことで伸び、同年12月には、ついに「サバ缶」が「マグロ油漬け缶」を追い越しました。サバ缶の伸長は一過性のブームに留まらず、その後も前年比2桁伸長で推移し、市場の成長が続いています。

図表120180912_1.png

ユーザーは健康志向の高いシニア層だけでなく、全世代へ広がる

次に、ユーザー層を見てみましょう。インテージ全国消費者パネル調査〈SCI〉によると、魚介類缶詰のユーザーは、40~60代の女性が50%以上を占めています。一方で、サバ缶のユーザーを見ると、その構成はイワシ缶・サンマ缶に近く、全体と比べて60代の男女が多いという特徴がみられました(図表2)。
サバ缶をはじめ青魚缶は、DHA・EPAを非常に多く含み、血行の流れを良くして動脈硬化を防いだり、肌の新陳代謝を促進したりする効果があると言われています。これらの点で、サバ缶などの青魚缶はまさに健康意識の高いシニア世代のニーズに合致しており、男女関わらず60代ユーザーが多くなっている理由になっていると考えられます。

図表220180912_2.png

しかし、サバ缶の伸びを牽引しているのはシニア層のみではありません。1年間で何%の人がサバ缶を買ったのかを示す購入率を前年と比較したところ、全ての世代で購入率が増加していました(図表3)。サバ缶はシニア層以外のどの世代でも2.5ポイント以上購入率が増加していて、同様のユーザー層を持つイワシ缶と比較してもシニア層以外の世代への広がり方に違いがみられました。サバ缶は、健康志向の高いシニア層だけでなく、ヤング/ミドル層へも普及し成長を続けていることがわかります。

図表320180912_3.png

消費の多様化が市場活況の追い風に

では消費者は、実際に食卓でサバ缶をどう調理し、どう食べているのでしょうか。インテージキッチンダイアリー(東名阪エリアの20~60代の主婦を対象としたメニュー調査)で、サバ缶の使用メニューの食卓登場回数の構成比を見てみましょう(図表4)。直近1年間(2017年7月~2018年6月)で最も多く選択されていた食べ方は、一番手軽で簡単な「缶詰そのまま(46.1%)」でした。ただ、ここで注目すべきは、前年と比較した際、「缶詰そのまま」の割合が2桁減となり、その他の様々な食べ方の割合が増加している点です。例えば、「生野菜・野菜サラダ」「味噌汁」「魚介と野菜の炒め物」などが増加しています。また、前年はほとんどみられなかった「温野菜サラダ」「蒸し、ゆで野菜」「からしあえ」などの新たなメニューが、上位10メニューにランクインしました。
調理せずに「そのまま」といった食べ方が主流でありつつ、サラダや野菜の調理にひと手間加えるような活用メニューの多様化が進んでいることがわかります。

図表420180912_4.png

一方、サバ缶の需要の高まりに伴い、各メーカーは、定番の水煮缶やみそ煮缶以外にも、様々な味付けの新商品を展開しています。例えば、マルハニチロは「さば竜田甘酢あんかけ」「さばのカレー煮」「さばのトマト煮」などの商品を、日本水産は「炙り鯖 塩焼き」「炙り鯖 梅だれ」などの商品に加え、ふたの開けやすさにこだわった「スルッとふた SABA」 シリーズを展開しています。その他にも、極洋が「SABAKAN さばのトマトパッツァ」「SABAKAN さばのカレー煮込み」「焼さばみぞれ煮」「焼さばごま味噌風味(辛口)」を展開するなど、各メーカーがサバ缶のバリエーションを広げています。

インテージ全国消費者パネル調査〈SCI〉によると、サバ缶は購入率だけでなく、ユーザーひとりあたりが買う量(個数)も前年比123%と伸びていました。前述の多様な商品展開がそのまま食べるときやひと手間加えるときのメニューを広げ、飽きずに食べられることも、サバ缶のリピート購入を促している一つの要因と考えられます。

今後の市場展開への期待

美味しい上に、魚を購入して調理するよりも遥かに簡便。栄養価も高く、価格も手ごろで保存性にも優れたサバ缶は、「健康ブーム」として全世代で購買が広がっています。各メーカーの積極的な商品展開や食べ方の多様化などによっても市場は広がりを見せており、今後も堅調に推移していくと思われます。この先どのように市場が展開し、どのように食卓に根付いていくのか、サバ缶から目が離せません。


今回の分析は、インテージの保有するSCI(全国個人消費者パネル調査)、SRI(全国小売店パネル調査)、キッチンダイアリーのデータをもとに行いました。
SCI(全国個人消費者パネル調査)
全国15歳~79歳の男女52,500人のパネルモニターによる食品(生鮮・惣菜・弁当などを除く)・飲料・日用雑貨品・医薬品に関する消費者市場動向のトラッキングサービスです。 このデータからは、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「いくらで買った」のかがわかります。消費者の顔を詳細に捉え、消費者を起点としたブランドマーケティングや店頭マーケティングにご活用いただけます。
SRI(全国小売店パネル調査)
スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約4,000店舗より収集している小売店販売データです。このデータからは、「いつ」「どこで」「何が」「いくらで販売された」のかが分かります。店頭での販売実態を捉え、ブランドマーケティングや店頭マーケティングにご活用いただけます。
キッチンダイアリー
京浜・京阪神・東海の1,260世帯の食卓・調理の状況を食場面(朝食・昼食・夕食)ごとに継続的に捉えたデータです。食のトレンド分析や食品の新商品開発のヒントとして、また、流通向けの販促提案情報としてご活用いただけます。

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