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浸透が進むSDGs コロナ禍のいま、生活者が考える「優先的に取り組むべき」ゴールは?

最近、日常の中でも度々目にするようになった「SDGs」。民放や新聞で特集されるなどメディアで目にする他、「エコ」「サステナブル」を訴求した広告や商品を見かけることも少なくありません。2020年7月に始まったレジ袋有料化をはじめとした、サステナブルな社会・環境の実現に向けた取り組みは今後ますます推進されていきそうです。一方、新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、「今はそれどころではない」と考える企業や個人も少なくないでしょう。。コロナ禍で、SDGsに関する意識はどう変わったのか、もしくは変わっていないのか。2021年2月にインテージで実施した生活者2,544人を対象にした自主調査の結果から、「SDGsの今」をご紹介します。
2020年の調査結果はコチラ

SDGs認知率はこの1年で大幅UP、過半数に

まず、SDGsの認知率を見てみましょう。2020年1月に実施した調査では3割弱だった認知率(SDGsについて「内容を知っている」「内容をある程度知っている」「言葉は聞いたことがあるが、内容は知らない」計)が、2021年2月には5割を超えました(図表1)。「内容を知っている」「内容をある程度知っている」だけで27.8%で、なんとなく言葉を聞いたことがある人だけではなく、内容についても理解している人が増えたことが分かります。

図表1sdgs2021_01.png

それでは、SDGsの認知はどの層で広がったのでしょうか。性年代別に見てみると、万遍なく認知率がUPしていることが分かります(図表2)。特に10代(15-19歳)では、男女とも認知率が6割を超えました。SDGsは学校教育でも取り入れられていることから、近い将来、若い世代ではほぼ全員がSDGsを知っている状態となりそうです。
また、これまでは比較的認知率が低かった30代以上の女性でも認知率は4-5割に達しました。2020年11月にTBSで「SDGsウィーク」としてさまざまな番組でSDGsが取り上げられていましたが、そういったマスメディアの取り組みの影響が大きかったのかもしれません。

図表2sdgs2021_02.png

優先的に取り組むべきゴール、2021年の上位3位は?

2021年現在、生活者は、SDGsの17のゴールのうちどの課題に優先的に取り組むべきだと考えているのでしょうか。世界各地での異常気象や、気候変動対策を訴えるデモなどが大きな話題となっていた2020年には「気候変動に具体的な対策を」が優先的に取り組むべきだと思う課題の1位でしたが、2021年はコロナ禍で世の中の関心事が変わったためか「気候変動」は4位に後退し、優先的に取り組むべきとの回答も5ポイント以上下がっています。
2021年2月時点で優先的に取り組むべきゴールとして挙げられた上位3位は「平和と公正をすべての人に」「すべての人に健康と福祉を」「貧困をなくそう」でした(図表3)。現在世界が直面しているこのコロナ問題に対しては、自国の利益だけ考えて利己的な行動を取っていては解決できず、公正性が求められること、さらに、立場の弱い人ほど「健康」が脅かされ、「貧困」の危機に直面しているのでは?という危惧が表れているのかもしれません。

図表3sdgs2021_03.png

コロナ禍で、取り組みや解決が遅れるなどの影響を受けそうなゴールは?

次に、コロナ禍によって取り組みや解決が遅れるなど影響が出そうなゴール(3つまで回答)を見てみましょう。上位に挙がったゴールには、生活者が「今」置かれている状況や不安が切実に反映されていると言えそうです。まず、影響を受けそうなゴール1位は「働きがいも 経済成長も」、2位は「貧困をなくそう」でした(図表4)。コロナ禍で企業の経営が打撃を受けると同時に、多くの人が仕事を失ったり収入が減ったりするなど、経済的な苦境に直面している現状を映し出していると思われます。
また、3位の「すべての人に健康と福祉を」は、「すべての人」「健康」「福祉」のどこに着目するかで解釈が分かれそうですが、コロナ禍で心身の健康や社会的な生活が脅かされていると感じている人が少なくないという見方もできるでしょう。

図表4sdgs2021_04.png

SDGs認知者は、商品やサービスの選択にも社会や環境に配慮

そもそも、SDGsの浸透によって商品やサービスの選択基準に変化は見られるのでしょうか。今回の調査では、商品やサービスを選ぶ際に、「よりよい社会や環境の実現」と「自分へのメリット」のどちらを重視するのか、普段の行動に近いものを選んでもらいました。その結果をSDGsの認知有無別に見ると、SDGs認知者の方が、商品やサービスを選択する際に、よりよい社会や環境の実現を優先させたり、よりよい社会や環境の実現と自分へのメリットの両立を重視することが分かりました(図表5)。

図表5sdgs2021_05.png

SDGsを知ることで社会や環境への意識が高まっているのか、そもそもSDGsの認知者は社会や環境への意識が高い傾向にあったのかなど解釈は議論の余地がありますが、今後SDGsの浸透が進むにつれ、商品やサービスの選択において、社会や環境への配慮がより重視される可能性を示唆していると言えそうです。

新型コロナウイルスの感染拡大により、短期的には打撃からの回復を優先せざるを得ないという見方がある一方で、SDGsが目指す経済・社会・環境のバランスがとれた世界の実現に成長の機会を見出そうという動きも見られます。さらに、SDGs認知率が5割を超え、特に若年層での浸透が進んでいることを鑑みると、今後はますます生活者側からも、企業の取り組み姿勢が問われることになりそうです。

日本の生活者の“サステナブルな行動”実態の調査レポートを公開しています。

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調査概要
<2021年2月調査>
調査地域:全国
対象者条件:15~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015 年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2020 年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=2,544
調査実施時期: 2021 年2月5 日(金)~2 月8日(月)

<2020年1月調査>
調査地域:全国
対象者条件:15~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015 年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2019 年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=3,206
調査実施時期: 2020 年1月20 日(月)~2020 年1 月22日(水)


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