【今日から使える】心理学を理解して、仕事や人間関係に活かしてみましょう

昨今、スポーツの世界では、身体面を鍛えるだけではなく、精神も鍛えることが重要という認識が広がり、心理学に基づくメンタルトレーニングなどが注目されています。また、心理学は対人関係を良好に保つことに活用できることから、家庭、教育現場、会社、仕事などにも活用しようという人が増えているようです。
今回の記事では、心理学の概略を紹介したうえで、仕事に活かせる心理学テクニックを紹介します。また当社、株式会社インテージで、働く人を対象に「どんな目的で心理学テクニックを使っているか」という調査を行ってみたところ、興味深い結果が出ましたので併せてご紹介します。

【目次】

心理学とは

まず「心理学」という学問の概略をみてみましょう。
「心理学」は、ある事象に対する人間の心や行動の反応の仕方を科学的な手法で研究する学問です。「心理学」は、大学の心理学科や心理学専攻・コースなどで学ぶことができ、その学部は近年人気を集めていると言われています。

心理学の種類

大学などのアカデミックな場所で研究されている心理学には「基礎心理学」と「応用心理学」があります。
「基礎心理学」は、初歩という意味ではなく、人間の心の「普遍的」な構造のあり方の探究を意味しており、応用心理学の「理論」を構築する学問です。一方、「応用心理学」は基礎心理学で得た知見を現実社会に「実践(応用)」する学問です。
それぞれ、どのようなものかみていきましょう。

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基礎心理学とは

基礎心理学は、人間の心の一般法則を研究し、知識を蓄積していくことを目的とし、観察・実験・調査といった科学的手法を用いて一般的な人間にみられる傾向を解明していきます。 基礎心理学には、ある心理状態の時は脳のどこが働いているのかといったことを研究する「生理心理学」、人間の生涯を通じた心身の成長,発達過程を心理学の理論を背景として研究する「発達心理学」、客観的観察などで捉えられた行動を対象とする「行動心理学」などがあります。

応用心理学とは

応用心理学は、基礎心理学の知見を利用して、実際の社会生活や臨床場面、商業場面などに応用する学問です。
精神障害や心身症、不適応行動などの援助、回復、予防などを目的とする「臨床心理学」、自然災害や人為災害を通じた災害後の心理変容などの分析から人間的な要因の二次被害拡大阻止などを支援する「災害心理学」、スポーツにおけるメンタル面などスポーツの実践や指導への知見・技術を提供する「スポーツ心理学」などがあります。

仕事に活かせる心理学テクニック

さきほど、心理学の種類として応用心理学をご紹介しましたが、ビジネスという現実社会でも相手の考え・ホンネを読み取るために、心理学のテクニックを使っている人がいます。
ここでは、こんな心理学テクニックがこんな目的に使えるという例をご紹介していきます。

観察法:相手の気持ちを理解するテクニック

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相手の感情を理解する時に使われるのが「観察法」です。「相手を観察」することで、感情の変化や本音を話しているかを見抜くことができると言われています。「観察法」は、対“人”の心理学では重要なテクニックになります。
「目は口ほどに物を言う」「目に物を言わす」など、ことわざとしても“目”は感情を表すことが言われています。“目”以外にも感情は身体の部分に表れると言われています。どこに着目すれば相手の感情が分かるのでしょうか?
観察するポイントは下記の6つと言われています。

1)顔の表情
2)目の動き、視線
3)声のトーン、リズム、テンポ、大きさ
4)姿勢、体の動き、しぐさ、癖
5)呼吸
6)よく使う言葉の言い回や感情を表現する時の言葉

この6つのポイントに人はクセが出やすいと言われています。特定の感情が出るときのその人特有のクセを観察し、覚えるのです。
このクセの中には一般化されているものもあります。例えば、人は嘘をつく時には右上を見ると言われています。このように目の動き(視線)で相手の感情を理解する方法があります。また、ホンネは気が緩んだ時に出やすくなります。逆に、体に力が入っているようであれば警戒してホンネを言っていない可能性が高くなります。相手の力の入れ具合を観ることでも相手の気持ちを理解する手助けになるかもしれません。
観察するポイントを把握しておけば、相手の感情を理解する手助けになります。もちろん、人によって、クセが出やすいポイントやクセの出方に個人差があります。その人の感情が表れやすいポイントとクセも観察することが必要になります。

ミラーリング:相手に好印象を持ってもらうテクニック

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人は自分と似た人、または似たものに好感を抱く心理が働きます。この心理を利用したものが「ミラーリング」で、具体的には相手の行動やしぐさ、言葉づかいなどをマネることがそれにあたります。「ミラーリング」は、相手との心理的な距離を縮め、好印象を持ってもらうテクニックになります。
同じ行為をされると、された方は無意識に「安心感」「親近感」を抱き、心理的な距離が縮まると言われています。相手との心理的な距離が縮まることで、「この人なら話しても大丈夫」と相手の心が開かれるという心理が働くとされています。

投影法(一般論法、代弁):相手のホンネを引き出すテクニック

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人はホンネを他人に語るのに躊躇することがあります。その為、語る人を自分ではなく、「一般的な人なら…」「一般的には…」と質問を一般化させて語ってもらう方法があります。これは投影法の1つで「一般論法」などと呼ぶ人もいます。カウンセリングやインタビューなどで用いられるやり方です。
語っているのは“一般的な意見”なのですが、その“一般”の中には語り手自身も含まれていて、語る人の意見・感情(つまりホンネ)が無意識の内に投影されているのです。
また、似たような投影法のテクニックとして「代弁」と呼ばれるものがあります。こちらは「もし、Aさんであればどう思うかな?」など、身近な人を例に出し、その人の意見として語ってもらう方法です。語る人はAさんになって話しているつもりでも、内容を話しているのは語っている人なので、語り手である方の意見であり、その中に語る人のホンネが無意識に投影されることになります。

フット・イン・ザ・ドアとドア・イン・ザ・フェイス:相手をコントロールするテクニック

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人は「小さな頼み事を受け入れると、次の大きな要求も断りにくくなる」という心理メカニズムが働くと言われています。これが「フット・イン・ザ・ドア」と呼ばれるテクニックです。大きな要求を聞いて欲しい時には、小さな頼み事から入っていくとうまくいく可能性が高くなります。
フット・イン・ザ・ドアとは逆に、「最初に大きな頼み事をしてみる」方法が「ドア・イン・ザ・フェイス」というテクニックです。「大きな頼み事」なので、依頼する方は「相手が断る」ことを前提にしています。人は他人の頼み事を断ると罪悪感を覚え、次の頼み事は比較的承諾しやすくなると言われています。
「フット・イン・ザ・ドア」は頻度が多くなると、相手も警戒感を高めるので、有効なのは関係の最初のうちと言われています。一方、「ドア・イン・ザ・フェイス」は無理な注文をするので、「いきなり…」という印象を与え、不信感などを持つ場合があると言われています。この為、相手との信頼関係が築けていないと失敗する、と言われています。

【アンケート】どんな目的で心理学テクニックを使っているか?

当社、株式会社インテージは2018年11月に、「働く人などを対象に、ビジネスシーンにどんな目的で意図的に心理学を使っているのか」の調査を実施しました。
この調査結果を元に「仕事や人間関係に活かせる心理学テクニック」についてみていきましょう。

今回のアンケートでは、ビジネスのシーンで以下の5つの目的で心理学テクニックを使っているかどうかを聞いてみました。

1)相手の気持ちを理解する
2)相手の本音を引き出す
3)相手に好印象を与える
4)相手に覚えてもらう
5)相手をコントロールする

心理学テクニックといっても簡単にはイメージしにくい為、あらかじめ下記のような例を提示した上で、質問をしました。

※ 相手のしぐさや表情、視線の動き、言葉の使い方を観察することで相手の考えを理解したり、相手に覚えてもらう為に最後に印象深いものを提示することも心理学を使ったテクニックの1つです。例えば、「人は嘘を付くときに右上を見る」と言われているので、視線の位置で嘘を見抜く、「物事の最後に起こったことの記憶の再生率が高い」ので、最後に必ず自分の名前と良い印象を与えるようにしているなどは心理学のテクニックと言われています。

まず、さきほどの5つの目的で心理学テクニックを使っていると答えた方は全体(n=1,151)の2割程度でした。

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5つのどの目的で心理学を使っているかを、何かしらの心理学テクニックを使っている人(n=226)で見ると、「相手の気持ちを理解する」「相手の本音を引き出す」など、相手を理解する目的や「相手に好印象を与える」という相手によく思われたいという目的で使われていることが多いことが分かりました。

Qあなたは以下のような目的で、どのような心理学のテクニックをお使いですか。できるだけ具体的にご記入ください。

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年齢別にみると、20代では「相手に好印象を与える」、30代・40代では「相手の気持ちを理解する」、50代では「相手の本音を引き出す」という目的で心理学クニックを使っている人の割合が高いことが分かりました。
このことから、若い年齢では相手に好印象を与えたい、よく思われたいという気持ちが強いようですが、年齢が高くなるにつれて、相手の内面の理解や相手のホンネといった相手を理解していくことが心理学テクニックを使う主な目的になっていることが分かります。年齢によって目的が変わっていくので、使う心理学テクニックも年齢で変わっていくことが予想されます。

それぞれの目的別に、こんな心理学テクニックを使っている、という一般の人の意見を幾つかご紹介します。

1)相手の気持ちを理解する目的で

  • 話している時の手の位置、目線、座り方など、様々な仕草(30代男性)
  • 相手の細かな行動や視線を観察して話す内容を臨機応変に変える(30代女性)
  • 視線や声のトーンで相手の感情を理解する(60代男性)

「相手の気持ちを理解する目的」では、「観察法」を使っている人が多く見られます。表情以外にも「相手の目の動き」、「声のトーン」「手の位置」「目線」など、ポイントを押さえて観察していますね。

  • 相槌をうって、 共感する言葉を言う(20代女性)
  • こまめにあいづちを打ちながら、話に合わせて共感をしているような表情をする(30代女性)
  • 多めに相づちを打ったり、合間に「分かる、分かる!」と同意表明する(40代女性)

また、「あいづちを打って共感を高める」ことで相手の気持ちを引き出そうという方もいます。「あいづち」は「あなたの話を聞いてます」というアピールになります。このアピールが話している相手の承認欲求を満たし、「あいづち」を打った人には共感を抱く共に、もっと話したいという気持ちにさせる効果があります。より、相手の気持ちを引き出すためには、大袈裟に「わかる、わかる!」と共感を強く示すほうが効果的なのかもしれません。

2)相手に好印象を与える目的で

  • 清潔感のある、明るめの服を着る。笑顔を意識する(30代男性)
  • 相手を考えた服装や明るいあいさつを大事にする(50代男性)

初対面の人でも「笑顔」は警戒心をとき、打ち解けやすくなる(共感を得る)効果があると言われています。これを心理学では「スマイル効果」と言っています。「相手に好印象を与える目的」では、この「スマイル効果(笑顔)」を使っている方が多く見られました。「明るい印象」という初頭効果を狙って服やあいさつにも気をつけているようです。

  • あえて行動をシンクロさせる(50代女性)
  • 相手と同じしぐさ、言葉を繰り返す(20代女性)
  • 笑顔であること、相槌を打つ、相手のしぐさを真似る(30代女性)

また、相手の言動やしぐさなどをマネる「ミラーリング」も好印象を与えるために使っている人が見られます。中には「スマイル効果」「あいづちをうつ」「ミラーリング」という3つを組み合わせて、好印象を与える効果を狙っている人も見られます。1つの心理学テクニックだけではなく、複数を組み合わせる、というのもより効果を上げるには有効かもしれません。

3)相手の本音を引き出す目的で

  • 始めは静かに相づちを打ち、本音を聞きたいところで「それで?」「その後どうなったん?」など相手にどんどん話させるようにする(40代女性)
  • こちらからの問いかけの時に良い具合の「隙」「余白」をつくる(50代女性)

「相手の本音を引き出す目的」では相手から話したくなるような「沈黙」や「合いの手」のような会話技法が使われているようです。「沈黙」という間を作ることも相手に話させるためのテクニックとして使えそうですね。

  • 自分の本音と建て前をくだけた感じで話す。本音と建て前を織り交ぜる(50代男性)
  • 最初は建て前論を話して、打ち解けて自分から本音を言う(60代男性)

また、「ホンネとタテマエを織り交ぜる」というテクニックを使っている人も見られます。
これはとても高度なテクニックといえるでしょう。勢いにまかせた本音論だけで押すのではなく、あえて建て前論を織り交ぜることで、話にリアリティが加わり、相手が本音を言いたくなるようにさせるのです。

4)相手をコントロールする目的で

  • 相手の条件を一旦受け入れる(40代女性)
  • 賛同から入り、提案する(20代女性)

相手の意見を「そうですね」と肯定したあとで、「しかし…」の後に自分の意見を述べる、「YES・BUT法」というテクニックが使われています。相手から見れば、まずは「YES」と自分の意見を肯定されたので好感を持ちます。その上で、「BUT」として挙げられた意見なので好意的に受け止めやすくなると言われています。仕事で何か無理な仕事のお願いする時に使えそうなテクニックですね。

  • 二つの話しから、一つが優先される話しをする(50代男性)
  • クローズドクエスチョンを使う(50代男性)

それ以外にYes・Noの二者択一の質問など、相手の回答を限定させて「誘導」するテクニックが使われているようです。回答の範囲を限定することは「誘導」のテクニックとして使われることがありますが、相手も誘導されていることに気がつきやすいので、使い方が難しい誘導のテクニックになります。

5)相手に覚えてもらう目的で

<名前やニックネームを強調>

  • 苗字が特殊なのでジョークを交えてインパクトのあるトークをする(30代女性)
  • 初対面の相手と会話するときは会話のなかに自分の名前を繰り返し挿入する(40代男性)
  • 印象に残るニックネームを使う(20代女性)

<会話を印象付ける>

  • 相手の興味関心を押さえて印象に残るフレーズを話す(40代女性)
  • 自分の身の上を少し話す(50代男性)
  • 印象に残りやすい奇抜な事を言う(20代男性)

「相手に覚えてもらう目的」では、「名前を印象付ける」「会話で印象付ける」など、具体的な心理学テクニックよりもこうすれば覚えてもらいやすくなるという経験則のテクニックで対応しているようです。

まとめ

ビジネスを行う上で、相手との交渉に難航したり、「相手の方が何となく苦手…」と思ったりすることはありませんか。心理学テクニックを駆使すれば、円滑に相手との交渉を勧めたり、自分の思うことを相手により理解してもらえたりすることがあるようです。
相手の表情を観察したり、とにかく笑顔で挨拶したり、あなたも普段の生活の中で何気なく心理学を使っているではないでしょうか。
あなたも、ちょっとした心理学テクニックをビジネスや日常生活に使ってみてはいかがでしょうか?


今回の分析は、自主企画のインターネット調査のデータをもとに行いました。
調査地域:全国
対象者条件:20~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015 年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017 年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=2,057
調査実施時期: 2018 年11月22 日(土)~2018 年11 月26 日(月)

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