認証ラベル・マークがついていたら買いたくなる商品は?~環境や社会に配慮した商品を選ぶ参考に~

本サイトの記事「サステナブルな商品/サービス、どんなものが使われている?」で、環境や社会に配慮した商品・サービスの使用・利用をしていない人にその理由を聞いたところ、最も多かった回答は「環境や社会に配慮した商品・サービスを知らないから」でした。

どの商品が環境や社会に配慮しているのかを判断する上で参考になるのが、「エコマーク」などの認証ラベルやマークです。本記事では、生活者がどんな商品に認証ラベル・マークがついていたら買いたくなるか、また、どのくらいの人が「エコマーク」や、MSC(Marine Stewardship Council)による「海のエコラベル」(MSCラベル)、ASC(Aquaculture Stewardship Council)によるASCロゴ(ASCラベル)などが付いた商品を買っているかなど、全国15~69歳の男女3,206人を対象に行った調査の結果をご紹介します。

認証の取得は、ブランド側からすれば、サプライチェーンの透明性の証明となり、今日関心が高まっていると言われる、責任ある調達・製造を行っていることを保証して生活者からの信頼性を獲得する手段ともなります。記事の後半では、認証の取得を含め、ブランドがサプライチェーンの透明性を高めるためにどんな取り組みを行っているのか、グローバルの事例をご紹介します。

環境や社会に配慮した商品・サービスを利用しない理由1位は「環境や社会に配慮した商品・サービスを知らないから」

「サステナブルな商品/サービス、どんなものが使われている?」でもご紹介したように、環境や社会に配慮した商品やサービスの使用・利用は、まだ一般に浸透したとは言えない状況です。全国15~69歳の男女3,206人を対象に行った調査で「環境や社会に配慮した商品・サービス」を「利用している」と回答した人は36.2%に留まっていました。

「利用しない」と回答した人のうち3人に1人が「環境や社会に配慮した商品・サービスを知らないから」を理由として挙げました。そもそも利用したいと思っていない人もいると考えられますが、利用したいと思っても情報がなかったり入手しづらかったり、という状況があると言えそうです。

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ある商品やサービスが環境や社会に配慮しているかどうかを判断する上で参考になると言われているのが認証ラベル・マークです。下記は、食品・飲料や日用雑貨品のパッケージについているさまざまな認証ラベル・マークの例です

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認証機関は国、業界団体、NPOなどの第三者機関など、さまざまです。そして、国内の商品・生産物への認証から、グローバルで共通のものなどがあり、基準も書類による申告のみで可とする場合もあれば、立ち会いなどのより厳密な審査を経るものもあります。また、何を認証しているかもさまざまで、「再生可能な資源を使用している」「動物実験をしていない、動物の福祉に配慮している」「環境保全に取り組んでいる」など特定の課題に対応したものから、「配合成分や製造工程で一切動物原料を使用していない」といったヴィーガン認証、さらには環境・社会に配慮した事業を行っていて説明責任や透明性といった基準を満たしている「企業」自体の認証であるB Corpなどもあります。

認証ラベル・マークがついていると買いたくなる商品は?

そもそも生活者は、こういった認証ラベルやマークがついていると商品を買いたいと思うのでしょうか。エコやフェアトレード、オーガニックなどの認証ラベル・マークがついていることで買いたくなる商品ジャンルを聞いたところ、「食品(容器包装された商品)」「シャンプー・ボディソープ等の体を洗う石鹸」「台所系洗剤」「洗濯・掃除系洗剤」「飲み物(容器包装された商品)」について、それぞれ3人に1人程度が買いたくなると回答しました。

また、環境や社会に配慮した商品かどうかに気を配っている人*に絞って見てみると、半数程度がこれらの5つのジャンルの商品について、認証ラベル・マークがついていることで買いたくなると回答しています。(*「環境や社会に配慮した商品かどうかを重視」という文章に対して「あてはまる」「まああてはまる」と回答)

ただし、全体では35.1%が「認証ラベル・マークがついていても買いたくなるものはない」と回答しており、既に環境や社会に対する意識が高い人にはアピールするものの、現在関心が低い人たちには、自分たちの商品選択が環境や社会にインパクトを与えるという意識を高めるところから始める必要がありそうです。

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尚、「環境や社会に配慮した商品かどうかを重視」する人たちの男女比はほぼ半々でした。その中でも女性の方が認証ラベル・マークがついていることで「台所系洗剤」など買いたいと思う人が男性よりも多く、買いたくなる商品ジャンルの数も多かったものの、男女とも上位5位は上記の5つの商品ジャンルで、傾向は変わりませんでした。購入・使用とも頻度が高い身近な商品について、ラベルやマークを参考にしたいというニーズが見られるようです。

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一方で、現状、認証ラベル・マークを参考に商品を選んでいる人はそこまで多くはないようです。「サステナブルな行動、どのくらいの人が行っている?」でもご紹介したように、「エコマークがついた商品を選ぶ」「MSC『海のエコラベル』やASCロゴのある魚を選ぶ」をある程度の頻度で実行している人(「いつも」「だいたい」「ときどき」行っている)は限られていました。特に、サステナビリティに配慮した水産物であることを認証するMSC「海のエコラベル」(MSCラベル)やASCロゴ(ASCラベル)については、まだ広く浸透しているとは言えないようです。

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しかし、変化の兆しも見えています。「サステナビリティ取り組み企業にはどんなイメージを持つようになる? 」でもご紹介しましたが、MSC認証やASC認証の水産物を積極的に取り扱っているイオンについて、サステナビリティ行動を高いレベルで行っている生活者は次のように述べています。「鮮魚でサステナブルな問題にとり組んでいるスーパーのダントツ一位がいつも自身が利用している『イオン』だという事が解りました。少し嬉しくおもいました。生態系を壊さす乱獲をせず豊かな海を守る努力を日々行っていることがわかったのです。微力ながら自分も一員のような気持ちになりました。」このように、企業のサステナビリティへの取り組みを生活者が応援することで、企業はさらに取り組みを推進・拡大し、生活者にとっても環境や社会に配慮した商品を選びやすい状況になっていくというループが生まれるのかもしれません。

グローバルでのトレンドは?サプライチェーンの透明性・追跡可能性への関心の高まりにより取り組みが進む

グローバルでのトレンドやイノベーションを紹介するリサーチ&アドバイザリー・ファーム Stylus (stylus.com)では、サステナビリティへの関心が高いと言われる若者世代が消費の中心となるにつれ、商品の認証が生活者からの信頼を獲得する上でキーとなる、と主張しています。素材・原材料がどこからどのように調達されているのか、製造過程はどうなっているのかといったことにも関心が高まり、サプライチェーンの透明性と追跡可能性(トレーサビリティ)が重要な関心事になっているとのことです。

ここからは、「認証」を通してサプライチェーンの透明性を高める取り組みや、テクノロジーを利用し、サプライチェーン全体を通してサステナブルな仕組みを作っていこうとする事例をご紹介します。

「オーガニック」のその先へ:「健全な土壌」への注目、「環境再生型農業」の原則に従った生産・調達が次の差別化ポイントに?

ビューティ関連では、オーガニック美容市場が成長を続けています。2019年、イギリスではオーガニック認証を受けた美容・健康関連の商品の市場規模が1.06億ポンド(約145億円)に達しました。大企業もこの市場に注目し、オーガニック/ナチュラルな化粧品の認証をしているCOSMOSの認証を取得した商品を発売しています。その1つがL’OrealのGarnier Organicです。日本でも、モイストダイアンがオーガニックアイテムのセレクトショップCosmeKitchenとコラボして、COSMOSオーガニック認証を取得した「ダイアンボヌール オーガニック」を2019年はじめに発売しました。

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「オーガニック」のその先として注目されているのが環境再生型農業(Regenerative Agriculture)です。環境再生型農業について、コロラドを拠点とするInteractは次のように説明しています。「環境再生型農業は新しい概念ではありません。生物多様性を促進し、地球が栄えられるようにする自然のエコシステムを再現するための努力なのです。」

アメリカのオンラインメディアFast Companyは「環境再生型農業は、オーガニックからの派生のように見えるかもしれません。でも、オーガニックが“肥料不使用”“無農薬”など“●●がない”ことを強調しているのに対し、環境再生型農業はより踏み込んだ考え方をしているのです」と言っています。例えば放牧地を幾つかの区分に分けて、一部で放牧しつつ他は休ませながら植物の再生を待つことを繰り返すなど、「●●を使用しない」というよりも積極的な取り組みであると言えそうです。

大企業も生物多様性を保護し、再生させるために、環境再生型農業への関与を高めつつあります。例えば、アメリカの大手食品会社General Millsは、2030年までに4,000平方キロメートルにおよぶアメリカでの農地のすべてで環境再生型農業を進めることを宣言していて、下記の図は同社による環境再生型農業の5つの原則です。

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環境再生型農業の原則に基づいた生産・調達が行われているという認証の1つがRegenerative Organic Certificationです。牧場で育てることを前提とした動物の福祉、農業従事者・労働者に対して公正であること、健全な土壌と土地の管理についての厳格な必須条件などを含みます。まだパイロットの段階ですが、この認証には、環境に配慮する企業活動や商品で知られるPatagoniaも関与しています。

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サプライチェーンの端から端まで:ファッション業界の取り組み

ファッション業界では、サプライチェーンの端から端まで確実に、責任あるサステナブルな運営を行っていこうという取り組みが進められています。グローバルのNPO、Textile Exchangeは繊維業界のサプライ・ネットワークのあらゆるセクターと緊密に連携し、さまざまな認証を提供しています。開発段階のものもありますが、原料生産から最終製品に至るまでの履歴を追跡して商品がオーガニックであることを証明するOrganic Content StandardやResponsible Down Standard(責任あるダウン規格)、Responsible Wool Standard(責任あるウール規格)、リサイクル原料の使用の透明性を保証するthe Recycled Claim Standardなどがあります。Textile Exchangeが提供している認証は、世界中で使用されています。

その他にもスイスの機関Oeko-texのStandard 100は、製品が有害な化学物質を含んでいないことを保証しています。同機関は、皮革製品の安全認証であるthe Leather Standardや、Standard 100の有害物質検査が実施された製品であり、且つ、サプライチェーンを通して従業員や環境に配慮した生産現場で製造されたことを保証するMade in Greenといった認証も提供しています。

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オーガニック・テキスタイルの世界基準であるGOTS(Global Organic Textile Standard)もポピュラーな認証で、Londonを拠点とするHunter + Booのように、サプライチェーンを通してGOTSに準拠していることをアピールしているブランドもあります。Hunter + Booはサステナブルに生産され、エシカルに加工されたコットンのみを使用しているということです。

コットンは汎用性が高く手頃な価格といった長所がある一方で、栽培のために大量の水と殺虫剤が使用されるという批判もあります。Soil Association(英国土壌協会)が認証するGOTSは、エシカルファッションとフェアトレード商品を取り扱うPeople Treeやイギリスの子ども服のスタートアップJuJuniといったエコを訴求するブランドにとって重要性が増しています。StylusのDirector of Consumer Product、Emily Gordon-Smith氏は「“汚染された”コットンとオーガニックコットンは、インパクトという点で大変大きな違いがあります。そのため、この(GOTSの)マークを付けた衣類が増え続けているのです」と言っています。

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ブロックチェーンを使って透明性と追跡可能性を確保

透明性、追跡可能性(トレーサビリティ)を確保し、信頼性を高めるための取り組みとしては、認証取得の他にブロックチェーンの活用もあります。歴史的に透明性に課題のあったジュエリー業界や、複雑なサプライチェーンにより生産者が弱い立場に置かれてきたコーヒー業界では、ブロックチェーンを使った取り組みが進んでいます。これまでは「フェアトレード」を主張していても、「本当に生産者に公正な報酬が支払われているのか」などは確認が難しいと言われていました。しかし、ブロックチェーンの仕組みを使うことによって、生活者も情報にアクセスできるようになりました。

ジュエリーに関しては、ブラッド・ダイアモンドと呼ばれる紛争地域で調達されたダイアモンドや、鉱山での就労違反、膨大なカーボンフットプリントや全般的な透明性の欠如などが課題となっていました。しかし、現在では責任ある調達がされ、サステナブルなダイアモンドであることを重視する生活者が増えていると言われています。そのため、「紛争と無関係であること」「公正な報酬を支払っていること」「環境に配慮すること」などを保証することが重要な課題として浮上してきました。ラボで作られたダイアモンド、フェアトレードのゴールド、リサイクルの金属、そしてブロックチェーンの仕組みの活用は、ジュエリー業界の新しいスタンダードとなっています。

イギリスのEverledgerは、原産地追跡が可能なブロックチェーンのプラットフォームを提供しています。色、カラット、カット、そしてエシカルな調達が行われているかを含め、生活者がダイアモンドを評価できる仕組みを提供しています。

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コーヒー業界もブロックチェーンのアーリーアダプターです。デンバーのスタートアップBext360は、ロボット工学とモバイルアプリ、ブロックチェーンを組み合わせた仕組みを提供しています。センサー搭載の機械によりコーヒーの実が分別・計量され、品質によって等級付けされます。この情報を入札前にバイヤーに流し、情報に基づいた選択を可能にします。また、生産者にとっても量より品質に基づいて品物が取り引きされるため、収入が多くなる可能性があるとのことです。原産地や購入者名、価格といったデータが収集され、ブロックチェーン上に記録されます。

ネスレ傘下のコーヒーブランドZoegasは、パッケージにQRコードを記載、スキャンをすると、ブロックチェーン上で記録・管理されたコーヒー豆の生産者や収穫時期、焙煎した時間、出荷証明といったデータにアクセスできます。QRコードはZoegasの2020年夏のシリーズのパッケージに記載されています。同シリーズは、Rainforest Allianceの認証を取得したコーヒー豆を100%使用しています。この商品の発売に際して「ネスレはこれからもテクノロジーを活用して、製品のバリューチェーン全体の可視化を進め、サプライチェーンの透明性を高めていきます」と発表しています。この取り組みでは、IBM Food Trustのブロックチェーンのプラットフォームを使っています。

生活者が環境や社会に配慮した商品やサービスを選びたいと思ったときに、何を参考にするのか。信頼できる第三者機関が提供する認証ラベルは1つの手段と言えるでしょう。一方で、認証を得るための費用的な負担などから敢えて認証を取らないことをウェブサイト上などで宣言しているブランドがあったり、多くの機関がそれぞれの基準で認証を出していて混乱を招くなどさまざまな声も聞かれます。

とは言え、環境や社会に配慮した商品を選ぼうと思ったときに、選択の助けとなる情報が、アクセスしやすい状態で提供されていることは重要です。ブロックチェーンといったテクノロジーの活用も含め、サステナブルで公正な生産・製造・調達がされているのか、信頼できる情報の提供は、これからますます重要になるのではないでしょうか。


分析に使用した自主企画のインターネット調査の概要は下記のとおりです。

調査地域:全国
対象者条件:15~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター(弊社キューモニター+提携モニター)」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015 年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017 年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=3,206
調査実施時期: 2020 年1月20 日(月)~2020 年1 月22日(水)

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サステナブルな行動実態を2020年1月に調査しました。
調査結果をまとめたレポートはこちらからダウンロードいただけます。

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