ベトナム生活者のいま~現地リサーチャーが見た、最新トレンド5選

安定した高い経済成長を維持しているベトナム。アジア開発銀行が2018年4月に発表した「アジア経済見通し2018」によると、ベトナムの2018年経済成長率は7.1%で、前年の6.7%を上回る高成長となる予想です。ベトナムは9,500万人の人口を抱え、中間層が急速に拡大していることで、世界から将来有望な消費市場として注目されています。そんなベトナムで2017年に流行した商品・サービスのうち、インテージ・ベトナムのリサーチャーが厳選したトップ5をご紹介します。

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●ベトナムコンシューマートレンド Top 5

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1位には自動車保有/運転者(ドライバー)と自動車に乗って移動したい人(乗客)をマッチングする「ライドシェアサービス」、2位にはモバイル端末からプラットフォームに登録された様々な飲食店に簡単にオーダーできる「フードデリバリーサービス」を選出。共にスマートフォンの普及を後押しに利用が拡大したサービスと言えるでしょう。3位の「ミルクティーフィーバー」、4位の「架空キャラアカウントの増加」はSNS上で注目のトレンドでもあります。若い世代に人気で、海外の有名チェーンの進出も加速しているミルクティーは、SNSでも話題に。また、SNS上の架空キャラアカウントは効果的なキーオピニオンリーダーとしてブランドに注目されています。男性の自分の外見に対する意識の高まりを反映した、5位の「メンズグルーミング市場」の盛り上がりも気になるトレンドです。

本記事では、現地リサーチャーが厳選したこれら5つのトレンドの中から1位の「ライドシェアサービス」と5位の「メンズグルーミング市場」をピックアップ。インテージ・ベトナムがベトナムの3都市(ハノイ、ホーチミン、ダナン)の男女600人を対象に実施した自主調査Viettrackの結果と現地リサーチャーの知見から、これらの商品・サービスが流行した背景や使用実態・意識をご紹介します。

【目次】

 

#1. ライドシェアサービス:スマートフォン普及で急速に浸透

ライドシェアサービスとは、モバイルアプリを通じて自動車を保有・運転している人と自動車に乗りたい人とを結びつけるサービス。大きくは、「自動車に乗りたい人」と迎車可能なドライバーをマッチングして目的地に連れて行ってもらうタイプと、ドライバー自身の目的地に相乗りして費用をシェアするタイプに分けられます。

前者では、「自動車に乗りたい人」がアプリ上で行先を入力して配車を依頼すると、端末のGPS機能を通じて現在位置が発信され、近くにいる迎車可能なドライバーとマッチングされます。また、アプリを通して運賃の決済も行えるので、ドライバーと乗客の間で直接現金のやり取りをしなくて済みます。主な事業者としては、2009年にアメリカで誕生したUberや、東南アジア最大手のGrabがあります。

日本では法的規制もあり、自家用車で乗客を運ぶライドシェア(相乗り)は普及していませんが、公共交通機関が整備されていないベトナムでは、法的に規制されていないライドシェアサービスの利用者が急増しています。

ベトナム都市部ではスマートフォンの普及率が8割にも達しており、モバイル端末を使った各種予約が普及していく中、ライドシェアサービスも急速に浸透しています。そこで、Viettrackでライドシェアサービスの利用経験について聞いたところ、全体の80%が過去6カ月間に利用したことがあると回答。特にハノイでは96%と高いことがわかりました。 

●過去6か月間のライドシェアアプリ利用率

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シンガポールを拠点とするGrabは、2014年2月よりベトナムで活動を開始。四輪車を配車する「Grab Car」のみならず、「Grab Bike」でバイクの配車も行っています。一方、アメリカのUberはGrabから4か月遅れで自動車・バイクのライドシェアサービスを開始。しかし、GrabがUberの東南アジア事業を買収したため、Uberは2018年4月8日付けでベトナム市場から撤退しました。

では、生活者がライドシェアサービスを利用する利点は何でしょうか。ライドシェアサービスを利用したことがない人も含めた調査対象者全員に聞いたところ、91%が「価格が安い」、83%が「事前に価格とルートがわかる」と回答しています。ベトナムのメータータクシーでは、改造メーター使用や回り道による料金トラブルが多いため、安さだけでなく、価格やルートが予めわかるという安心感が重視されているようです。

●ライドシェアサービスを利用する利点

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それでは、ライドシェアサービスは、どのようなときに利用されているのでしょうか。最も多く挙がったのは「天候が悪いときに」(54%)です。殆どの人がバイクを日常の足としていることもあり、熱帯地方特有の激しい雨が降っているときに利用する人が多いようです。また、2番目に多かったのは「個人的な用事があるときに」(46%)でしたが、「イベントやパーティーに行くときに」(38%)や「街へ遊びに行くときに」(30%)といった娯楽の際に利用する人も多くなっています。そのため、ライドシェアサービスの中でもワンランク上の車種を配車するプレミアムオプションが登場しています。 

●ライドシェアサービスの利用シーン/オケージョン

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尚、このライドシェアサービスは、ベトナムの景色に大きな変化をもたらしました。自動車の配車サービス出現によって、大手タクシー会社も自前の配車アプリを設けるなどして対抗しましたが、価格競争に耐え切れず、従業員を大量解雇せざるを得なくなりました。その結果、都市部では、かつては簡単につかまったタクシーの数が激減し、流しの空車を捕まえるのが困難なほどになっています。

バイクタクシーも、「ぼったくり」への心配からライドシェアサービスを利用する人が増えたため、ドライバー自身もライドシェアサービスにドライバー登録するようになりました。都市部のどの街角にも待機していたバイクタクシーは「ベトナム名物」にもなっていましたが、今や街から姿を消しつつあります。

#5. メンズグルーミング市場:男性の8割が「男性用使う」

ベトナムではこの数年でメンズグルーミング製品(男性用美容製品)の種類が豊富になり、男性向けのシャンプー、デオドラント、洗顔フォームなどが市場に浸透しています。3都市に住む男性300人のうち81%が「自分が使用するグルーミング製品は男性用でなければならない」と考えています。

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メンズグルーミング製品に関心を持つ理由について尋ねると、57%の男性が「自分に自信を感じたい/もっと自分をよくしたい」、43%が「男性らしさをアピールしたい」と回答。また、40%の男性が「広告の影響を受けた」と答えており、広告の男らしいイメージが購入のきっかけになっていることがうかがえます。

●メンズグルーミング製品使用理由 

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各グルーミング製品のうちほとんどのユーザーが「男性用(for-men)を使用する」と答えたのは、デオドラント、洗顔フォーム、ヘアワックス・ジェル、パフュームでした。ベトナムは気温と湿度が高く、汗臭くなりがちなため、デオドラントは必需品と言えるでしょう。

また、ベトナムの男性は、男女の髪質の違いよりも、肌質の違いに敏感なようです。男性の使用率100%のシャンプーですが、for-menを使用している人は64%で、ユーザーの約3人に2人に留まっています。一方、洗顔フォームはほぼ全員がfor-menを使用。暑い気候のため特に男性は顔が脂っぽくなりやすく、ホワイトニングや保湿を重視する女性用だとさっぱりした洗いあがりにならないためと思われます。ただし、体は顔ほど脂っぽくならないためか、液体ボディソープについては、for-menを使用している人はユーザーの3人に2人で、シャンプーと同程度でした。

それでは、ヘアワックス・ジェルのユーザーがほぼ全員for-menを使用しているのはなぜでしょうか。バイク社会のベトナムではヘルメットをかぶらなければならないこともあり、ヘアワックスやジェルを使用している人の割合はさほど高くありません。また、女性はロングヘアの人が多く、ワックスやジェルを使う人はあまり多くありません。そこで、ワックスやジェルを使いたい男性は、必然的にfor-menを購入することになるようです。

●グルーミング製品使用率とfor-men使用率

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●現地リサーチャーが使用しているfor-men製品

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ベトナム男性はどこでグルーミング製品を購入しているのでしょうか。購入場所については、都市によって傾向が大きく異なります。他の都市に比べてスーパーマーケットの数が圧倒的に多いホーチミンでは、「スーパーマーケット・ハイパーマーケット」で購入する人が81%に達しています。一方、ハノイやダナンでは伝統的な小売形態である「雑貨店や道端の商店」も半数近くの人が購入する、重要なチャネルです。また、ドラッグストアの店舗数がまだまだ少ないベトナムでは、グルーミング製品の購入場所としてドラッグストアを挙げる人は、何れの都市でもごく少数に留まりました。

●グルーミング製品の購入場所

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●現地の雑貨店やfor-men製品売場

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ところで、ベトナム人の考える「男らしさ」ですが、経済発展とともにビジネスで成功する人たちが増えてくると、従来からある「強さ」のイメージに加え、「成功」してこそ「男らしい」というイメージが強まってきているようです。ベトナムでメジャーな男性グルーミング製品ブランド「X-Men」の広告では、超人的な「強さ」のイメージと共に、「For Boss」シリーズ商品で「ビジネス成功者」のイメージを打ち出しています。

●X-Menの広告

  ※超人的な「強さ」のイメージ。

  ※同ブランドの「For Boss」シリーズでは、「成功者」のイメージ。
   起業精神の強いベトナムでは、独立して自分の会社を立ち上げることこそ
   「成功」と考える人が多い。

尚、記事内でご紹介しきれなかったTop 2~4を含めたレポート「ベトナム生活者のいま~現地リサーチャーが見た、最新トレンド5選」を無料でダウンロードしていただけます。

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この記事は、インテージ・ベトナムが実施した自主調査「Viettrack 2017」の結果をまとめた「Top 5 Consumer Trends taking over 2017」を抜粋・加筆したものです。


【調査対象】
調査手法:訪問面接調査
調査地域:ベトナム(ハノイ、ホーチミン、ダナン)
対象者条件:各都市在住の18~35歳男女で以下の条件に当てはまる方
 ・SEC:A/B/C/D
 ・日常的にソーシャルネットワークサービス(SNS)を使用している
 ・スマートフォンを使用し、ベーシックなアプリについて知っている
 ・外での食事や娯楽を行なっている
標本抽出方法:層化多段抽出法
ウェイトバック:なし
標本サイズ:n=600(男女各n=300ずつ。1都市につきn=200)
調査実施時期:2017年10月20日~27日

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