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2019年の消費税増税 軽減税率導入で消費への影響は?

2019年10月1日から実施予定の消費税増税。今回の増税は8%だった消費税を10%に引き上げるだけでなく、低所得者に配慮する観点から、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に同税の「軽減税率」が、初めて実施されます。

対象品目が8%と据え置きになる今回の目玉政策が、どの程度生活者に理解されているか、消費意欲への影響はありそうかなどを20~60歳代の男女に調査してみました。

軽減税率制度、生活者の認知はどのくらい?

まず、今までの消費増税との大きな違いでもある、軽減税率制度についてどの程度認知しているかを聞いてみました(図表1)。全体では88.4%と、かなり多くの人が知っていると回答しました。日々の買い物で課税されるという、生活に直結する税金の軽減制度のため、多くの人が存在は認識していました。

では、その内容についてまで理解していると回答したのは36.2%と一気に数字が減ります。生活必需品である食料品の税率が低くなるという程度のことは分かっていても、細かいことについては周知が進んでいない現状がうかがえます。総じて女性より男性が、そして年齢が上がるほどに内容を理解していると回答する率が増えていきます。

図表1
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個別に各品目の税率について聞いたところ、不動産や自動車、家具・家電や外食など軽減税率が適用されないものに対しては正答率が6~7割と高めでした(図表2)。また各メディアで、さかんにコンビニ内にあるイートインスペースでの飲食や、外食チェーン店での持ち帰りを例に挙げて説明していたこともあってか、このややこしいシチュエーションでの正答率も5割台と高めでした。

逆に、回答が大きく分かれたのが、基本的には軽減税率が適用されるもの。主食の米ですら43.1%の人が適用、28.4%の人が適用外、25.1%の人が分からないと回答するなど認識が分かれています。

図表2
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Key Point1

軽減税率を知っている人は9割近くも、「内容まで理解」と答えた人は3人に1人。
制度が適用される「食料品・飲料」の税率については、生活者の認識が分かれる。

「軽減税率制度」に対する賛否は?

軽減税率を知っていると答えた人に、印象を聞いたところ意見は3分化(図表3)。肯定的、否定的な意見がそれぞれほぼ3割、どちらともいえないと答えた人が4割と大きく分かれました。

図表3zouzei2019_03.png

その理由を聞いたところ、図表4のような声が聞かれました。
肯定的な人からは低所得者への配慮が必要という声がある一方、否定派からは軽減されるのが購入額の2%分と小さいことや、小売店などでの現場の混乱を懸念する声がありました。

図表4

肯定的な印象の主な理由
  • 家庭への負担が少なくなると思うから
  • 収入は人それぞれですし、負担の割合は差をつける必要があると考えるため。
  • 低所得者に救済が必要
  • 主たる収入が年金なので、生活必需品に対して税を軽減してくれるのは、助かる
  • 生活用品など日常で使うものが税率が低くなることは低所得者の私のようなものにはとても助かります
  • 生活必需品はよく購入するので税が据え置きになるのでありがたい
  • 食品は毎日の生活に欠かせないものなので。
  • ぜいたく品と日常的な商品の税率は分けるべき
否定的な印象の主な理由
  • 低所得者や年金者への優遇をもっと多くしてほしい
  • 低所得者の為と言ってるが、低所得者の購入する総額2%低減しても年間で微々たるもの。運用コストの方が高く、製品に添加されるので無駄だらけ
  • スーパーでレジをしているので導入された場合、お客様とのやり取りが増えるので非常に面倒です。
  • 外食か中食かで税率が異なったり、同じ店舗で購入しても、商品によって8%だったり10%だったり混乱しそう
  • 状況に応じて税率が変わることについて、分かりにくい対応しきれるのか
  • みりんは調味料でしょうに。なりたくもないのになる生理の為の生理用品も8%にして欲しい。
  • まだ理解できない点、疑問点が多く、このままでは肯定できない。
  • 消費税を上げるなら、すべて一律でよい
  • 特別な軽減をする必要はないと思うから

Key Point2

制度に対して賛成、反対がそれぞれ3割、どちらとも言えないが4割と賛否両論。

増税による消費への影響は?

前回、2014年の消費増税時には駆け込み需要や増税後の消費の落ち込みといった消費への影響が見られました。(前回の影響は「2014年の消費増税時を振り返る データから見えた消費への影響と小売店の対策とは?」よりご覧ください。)

まずは駆け込み需要について、今回はどのような影響がありそうか、「増税に備えて購入するもの・買いだめするもの」について聞いてみました。消費者の購買意欲が高かったのは住居や車、家電などの高額品目(図表5)。特に単価の高い「一戸建住宅、分譲マンション」は1年以内購入検討者の77.8%と8割近くの人が増税前に買うことを視野に入れています。不動産は消費税が少しでも上がると、数十万から数百万円単位で費用が増加する可能性があるだけにお得感も高く、来年の秋に向けて購買意欲も旺盛になりそうです。ただ不動産や自動車については、今回の消費増税に合わせて、住宅ローン減税の延長や自動車税の引き下げが議論されているだけに、その動向に左右されることになりそうです。

図表5zouzei2019_04.png

また日用雑貨品の買いだめも「子供用紙おむつ」の46.3%を筆頭に、「トイレットペーパー・ティシュペーパー」、「洗濯洗剤」など使用頻度が高い品目で需要が見込まれます(図表6)。

図表6zouzei2019_05.png

次に想定される増税後の消費の落ち込みについて、「増税による家計支出への影響」を聞いたところ、家計を「引き締める」と答えた人が31.1%、「少し引き締める」が50.2%(図表7)。8割を超える人が、財布のひもを固くするとしています。

前回、2014年4月の増税直後に行ったインテージの調査では、1年前と比較して家計を「引き締めている」が25.4%、「少し引き締めている」が47.3%と7割超の人が実際に支出を引き締めているという回答が見られました。今回の調査は増税前に実施しているため、影響を過大に感じて引き締める意向が高い可能性がありますが、前回並みの買い控えが行われるかもしれません。

図表7zouzei2019_06.png

Key Point3

駆け込み需要は高額品目中心に検討も、増税後は8割の人が支出をしぼる意向

前回は5%から8%へと3%の増税が行われ、景気の落ち込みがあったと言われています。今回は増税幅が2%、かつ軽減税率があるなど、前回よりは実質的な影響は少なくなるはずですが、小売店などは販売促進など、対策が必要になりそうです。


今回の分析は、自主企画のインターネット調査のデータをもとに行いました。
調査地域:全国
対象者条件:20~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015 年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017 年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=2,122
調査実施時期: 2018 年11月22 日(木)~2018 年11 月26 日(月)

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