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効果的なデータ活用入門 前編~データ活用の第一歩 データの種類を知る~

はじめに

DX部のデータサイエンティストをしております柿添と申します。普段はデータサイエンス技術を活用した顧客支援を行っております。特に、広告効果測定やTVエリア出稿配分最適化などのメディアプランニング領域を中心に取り組んでおります。

この記事では、インテージの無料セミナー「i-college効果的な生活者データの活用方法」の一部を紹介します。前後編を通し、「データ活用をこれから始めたい方」、「データ活用担当になったけれど何から始めれば良いかよく分からない方」を対象に、世の中にどの様なデータがあるか、またどうやって活用するかを解説する内容となっています。ご一読頂ければ幸いです。

データ活用が求められている背景

ビッグデータ、データ利活用、AI、デジタルトランスフォーメーション(DX)…。数々のデータにまつわる言葉がニュースや各種メディアで取り上げられている昨今、おぼろげながらデータの価値や重要性を意識されている方も多いのではないでしょうか。この章では、なぜデータ活用が重要で、また近年求められているかについてご紹介します。

図表1は、企業がデータ活用を推進している割合について、経済産業省が調査した結果を示しています。ご覧の通り、5%の企業ではデータ活用を部門横断的・持続的に推進しているのに対し、95%の企業では、未着手または一部門での実施となっています。いわば、データ活用について二極化が進んでいる状態です。

図表1

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とはいえ、ふと今の世の中を見てみますと、先行き不透明感は当たり前で、これまで頼りにしていた経験や勘といったものが通用しなくなってきたことは実感されていることでしょう。さらには、コロナ禍により企業を取り巻く環境は急激に変化・不安定化し、高速かつ合理的な意思決定が必要不可欠となっています。すなわち、データを活用した意思決定が求められているのです。
では、意思決定に用いられるデータとはどのようなものがあるのでしょうか?これから詳しく見ていきましょう。

データの種類と具体例

現在、データはあらゆる場所でストックされています。有料、無料様々ありますが、非常に多様なデータを取得・活用できるようになりました。例えば、自社で定期的に行っている顧客満足度調査などのアンケートデータ、外部調査機関が提供している小売店のPOSデータ、公的機関より広く公開されている気象データなどです。こうしてデータの種類についてデータの出所という観点で眺めると、大きな括りで3つに分類できることに気づきます。
まず1つ目が、インターネット上で広く公開されている「オープンデータ」、2つ目は自社で保有管理している「自社データ」、3つ目が弊社などの外部から購入した「外部購入データ」です(図表2)。

図表2

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オープンデータには、総務省が公開している国勢調査データや家計調査データ、気象庁が公開している気象データ、またはGoogleが公開している検索指数のデータグーグルトレンド等があります。
自社データは、前述の顧客満足度調査データや出荷/売上データ、広告施策出稿データなど様々あります。
最後に外部購入データは、弊社の全国小売店パネル調査(SRI+®)や、全国個人消費者パネル調査(SCI®)、人流データのモバイル空間統計、ビデオリサーチが提供している視聴率などの各種メディアデータなどがあります。

種類別のメリット、デメリット

前章で紹介した3種データの具体例やメリット・デメリットについて説明します。まずは、オープンデータです。オープンデータのメリットは、その名の通り、オープンかつ無料で、誰でもいつでもデータの取得が可能なことです。また、往々にして政府や公的機関が公開している事が多く、全国の生活者や市場全体といった俯瞰的視点で眺められるデータが多いです。反対に、デメリットはデータの粒度があらかじめ決まっているため、個々の分析目的とは合致しない可能性があります。また、マーケティング活用を前提には作られていないため、オープンデータ単体で何かマーケティングに活かせるといった事は少なく、各種データを組み合わせて使うことが多いです。

続いて、自社データです。自社データのメリットは、何よりもまず自社独自のものであり、競合他社が利用できないことです。また、自社が目的を持って集めているはずですので、自社のマーケティング活動に直結できるというメリットがあります。反対にデメリットは、データを自社でストックするためのコスト(お金や人など)がかかるということと、市場全体といった俯瞰的視点でのデータではないことがあげられます。

最後に、外部購入データです。外部購入データのメリットは、市場代表性が担保され、俯瞰的かつ網羅的に眺められるということが第一にあげられます。また、データをストックするコストがかからないという事もあります。反対にデメリットは、有料であるということと購入したデータから自社マーケティング活用の方法を考える手間などがあげられます。

これらのメリット・デメリットを踏まえ、データ活用の目的や、期待される効果とコストのバランスを吟味して、使用するデータを検討する必要があります。

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パネルデータとアドホックデータ

ここまでは、データの出所という観点からの分類でしたが、データ活用の観点から以下のようにも分類可能です。それは、「オープンデータ」、「パネルデータ」、そして「アンケートデータ」という分類です。以下では、パネルデータとアンケートデータに着目して紹介します。

パネルデータは、同一の対象に対して、複数の項目を継続的に調べて記録したデータです。例えば、弊社の消費者パネルSCI®は、同一の人に対して毎日買った商品を記録してもらった継続的な購買データであり、パネルデータと言えます。
パネルデータのメリットは、同一対象から収集し、かつ継続的にストックするという特性から、以下の3点があります。1つ目は、過去との比較から時系列的な動きがわかることです。過去からの推移を見て初めて、着目しているカテゴリやブランドの購入率が上昇傾向なのかそれとも下降傾向なのかといったことが分かります。2つ目は、様々な角度から分析が可能ということです。例えば、ある商品Aを購入していた人が、その前にもしくは同じタイミングで買っていた商品Bは何なのか?という分析に使えるということです。そして3つ目は、過去~現在~未来という流れで将来予測が行えるということです。

メリットの多いパネルデータですが、デメリットもあります。それは、パネルデータからは「なぜ?」は分からないということです。具体的な理由を知りたければアンケートデータを活用しましょう。
アンケートデータは、様々な場面で活用されるデータです。メリットは、パネルデータとは対照的に「なぜ?」について直接聴取して明らかにすることができる点です。また、好意度や満足度といった評価視点を定量化することもできます。デメリットは、アンケートの設計に専門的な知識が必要なことです。例えば、偏りのない市場代表性を持った設計を行ったり、複数アンケート間の結果比較や持続的な活用のためにアンケートの形式を揃えたりといったようなことです。

以上、データ活用の観点から分類したパネルデータとアンケートデータについて紹介しました。過去からの推移といった実態を捉える際にはパネルデータを使用し、その理由となる「なぜ?」を生活者に問う場合はアンケートデータを使用するといった形で使いわけるのがおすすめです。

次回の後編では、3種類のデータ(オープンデータ、自社データ、外部購入データ)からどのような意思決定を行うのか、具体的な活用方法についてご紹介します。


インテージの無料セミナー「i-collage 効果的な生活者データの活用方法」では、この記事で紹介した内容と、その具体例を詳しくご紹介しています。ぜひご参加ください。

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