2020年度の食品・飲料業界 勢いのあったフレーバーとは?

食品・飲料業界では、毎年多くのカテゴリーで、季節や流行を感じさせる風味(以降フレーバー)を楽しむ商品が発売されています。皆様も毎年楽しみにされているフレーバーや、出ていると思わず購入してしまうフレーバーが一つ二つあるのではないでしょうか?
また、フレーバー商品の企画をご担当されている方にとっては、「次はどのようなフレーバーにするか」は悩みの種でもあるかと思います。

インテージでは特定のカテゴリーの商品属性情報としてフレーバーの情報を整備し、フレーバー別の市場動向やフレーバー商品のユーザー特徴が捉えられるデータを提供しています。
この記事では、食品・飲料業界の複数のカテゴリーの市場動向を“フレーバー”という切り口で横断して分析することで、2020年度(4-3月)に勢いのあったフレーバーの振り返りと、その理由を考察してみました。

【目次】

2020年度、市場規模が拡大したフレーバーは?

今回の分析では、菓子・飲料の中で多様なフレーバーが展開されている以下の10カテゴリーを対象としました。

チューハイ・カクテル、炭酸飲料(ノンアルコール飲料除く)、フレーバー牛乳、フレーバー豆乳、果汁飲料、100%ジュース、紅茶ドリンク、キャンディ、チューインガム、アイスクリーム

また、分析にはインテージのSRI+(全国小売店パネル調査データ)*¹データを用いました。

図表1は各カテゴリーにおけるフレーバーの展開状況です。大きくは「フルーツ系」と「飲みもの系」に分けられました。
やはりフルーツ系のフレーバーは多くのカテゴリーで展開されています。特に「もも」は10カテゴリー中9カテゴリーと、様々なカテゴリーと相性のいいフレーバーのようです。また、カテゴリー別に見ると、季節品が多く発売されるキャンディ、アイスクリーム、チューハイ・カクテル、炭酸飲料で多くのフレーバーが展開されていることが分かります。 

図表1
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次に、この中でどのフレーバーが好調なのかを見てみましょう。
図表2は、各フレーバーの売上を前年比で分類した結果です。季節限定フレーバーなどは毎年出るとは限らないので、フレーバーの売上変動は大きいのですが、その中でも2年連続伸びている好調なフレーバーは、レモン、ベリー、ゆず、バナナの4つでした。 

図表2

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レモンフレーバーは、チューハイ・カクテル市場における売上が特に大きく、市場の売上拡大にも貢献していました。販売された商品の数が19年度で前年比約130%、20年度で前年比約110%と増加傾向が続いているのも特徴です。ここ数年話題になっているレモンですが、勢いは衰えずというところでしょうか。

ベリーフレーバーは、アイスクリームとチューハイ・カクテル市場における売上が特に大きく、市場の売上拡大にも貢献していました。こちらは特に、主力ブランドから新フレーバーとして発売された商品が引っ張っています。

ゆずフレーバーは、同じ柑橘系のレモンと比べると商品数は10分の1以下ですが、好調に推移しています。特に炭酸飲料の主力ブランドからの新商品、チューハイ・カクテルの既存品が好調です。

バナナフレーバーは、フレーバー牛乳と果汁飲料の新商品が市場を牽引しています。バナナジュースは19年には専門店がTV番組にも取り上げられ、SNSでも盛り上がりを見せています。離乳・幼児食でも定番の栄養価の高いバナナは、健康志向も高まっている今後も注目かもしれません。

2020年度、勢いを増したフレーバーは?

ここまで、フレーバーの売上規模の変化をみてきました。この数字は、市場規模の大きなカテゴリーの動きが出やすくなっています。ここからは、その影響を考慮することで、より純粋に、2020年度勢いを増していたフレーバーを考えてみます。
今回、「カテゴリーの売上の伸長率に比べて、そのフレーバーの売上の伸長率はどれだけ大きいか(小さいか)」という観点で前年比の伸長度合いを得点化しました。その得点をフレーバー間で比較した結果が図表3です。

 図表3

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2018年度からの3年間のトレンドを見たときにポイントが増え続けているフレーバーを「年々勢いを増したフレーバー」として注目しました。この傾向に当てはまったのがいちご、ぶどう・マスカット、パイナップルの3つでした。
ここからは、それぞれの果物の売上(図表4)と見比べながら、各フレーバーの勢いの理由について考えてみたいと思います。

 図表4

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いちごは図表1を見ても10カテゴリー中8カテゴリーで展開されているなど、定番のフレーバーですが、その多くのカテゴリーで売上の伸びが見られました。商品数の前年比も2019年度、2020年度に約10%ずつ増えています。
いちごは日本各地で品種改良が進み、各地でブランドが増加しています。図表4を見ても、とちおとめ、あまおうといった主力以外の品種が売上を伸ばしています。果物としてのいちごの盛り上がりが、商品数にも繋がり、いちごフレーバー商品の勢いを生んでいるようです。

ぶどう・マスカットでは、マスカットの商品数の前年比が2019年度は約130%、2020年度は約120%と増えています。図表4を見るとマスカットが大きく売上を伸ばしています。特にシャインマスカットは、ふるさと納税でも人気の返礼品であり、「高級で美味しい」というイメージが消費者に浸透していそうです。このような果物そのものを勢いが、フレーバー商品にも波及していそうです。

パイナップルも、図表4から果物としても盛り上がっていることが見てとれます。フルーツダイエットの食材に始まり、ピコ太郎(PPAP)、パイナップルケーキの人気と話題が継続していることもあってか、この6年間果物のパイナップルは売上を伸ばし続けています。その結果、パイナップルが身近な存在となり、フレーバー商品の勢いにも繋がっていそうです。また、台湾パイナップルが2021年3月から中国で輸入禁止となり、日本の輸入が増えています。この話はSNSでも話題になり、台湾パイナップルへの関心が集まっています。今後も勢いが続きそうな気配です。

職業柄、商品開発の大変さはよく耳にするのですが、どうしてもフレーバー商品を楽しみにしてしまう自分がいます。フレーバーについては単純に市場規模でみてしまうと、どうしてもレモンなどの柑橘系に目が行ってしまいます。しかし、今回の分析では、いちご、ぶどう・マスカット、パイナップルと毛色の違うフレーバーも勢いのあるものとして見えてきました。これらは、果物そのものも好調に推移(品種の増加、話題性等が影響していそうです)しているという共通点が見られました。これらがさらなる盛り上がりを見せるのか、今後も追っていきたいと思います。


執筆担当 カスタマー・ビジネス・ドライブ本部 企画・分析3部 八木・兒玉

 

今回の分析は、SRI+を用いて行いました。
*¹【SRI+(全国小売店パネル調査)】 
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
2021年4月現在

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