ネット通販サイト利用はどこまで進んだ?ユーザー像に見る浸透のカギ

すっかり身近になったネットショッピング。いまや本などの重いものの購入やネットでしか買えないもののお取り寄せだけでなく、日常の買い物をする手段としても浸透が進んでいます。
例えば、この記事(ECサイトでの買い物にモバイル化の影響は?EC利用実態のいま)では牛乳や豆腐といった普段の食卓に並ぶ食料品がネット注文で買われている実態を紹介しました。
では、たまに買う日用雑貨品のネットショッピングはどの程度浸透が進んでいるのでしょうか。インテージの購買ログデータSCI(インターネット調査パネル)でその利用実態を追いました。

今回はネットスーパーや生協のインターネット注文といった普段使うリアル店舗とつながっているチャネルを除き、楽天やAmazon、LOHACOやメーカー直販サイトといった『ネット通販サイト』での買い物に注目しました。

【目次】

 

ネット通販サイトでの買い物。この5年でどう伸びた?

ネット通販サイトで日用雑貨品を買っている人はどのくらいいるのでしょうか?
2017年時点で日用雑貨品購入におけるネット通販サイトの利用率は26.7%、実に1/4の人が利用していました(図表1)。さらに、日用雑貨品の全購入額に占める割合は10.4%。多くの生活者にとって、「どこで買うか」の選択肢に入っていることがわかります。

図表1

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5年前の2012年と比べると、日用雑貨品購入におけるネット通販サイト利用率は1.3倍、平均購入額は1.8倍、平均購入個数は2.4倍に伸びていました。(図表2)
この結果から想定されるのは、利用者が増えた上に、利用者あたりの購入額が増えている、つまり「より多くのお金を使うようになっている」ことと、さらに、「比較的単価が低いものも含め、いろいろなカテゴリーを買うようになっている」ことです。

図表2

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そこで、特にどのようなカテゴリーでネット通販サイト利用が進んでいるのか、その変化を追ってみました。図表3は日用雑貨品のカテゴリーそれぞれについて、ネット通販での購入額がどう変化したかをあらわしています。(カテゴリーの詳細についてはこちらをご参照ください。)

図表3

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元々購入額の多かったヘアケアやボディケアといったパーソナルケア品は5年間で約1.4倍の伸びが見られています。さらに5年前の段階では購入額が少なかった紙製品やファブリックケアといったあまりこだわりなく普段使いする様なカテゴリーは、ネット通販での購入額が2倍以上に伸びていました。
この結果からも、ネット通販で買う日用雑貨品のカテゴリーの「幅」が広がっていることがわかります。

では、特にどのような層で浸透が進んだのでしょうか?
性年代別に平均購入額の変化を比較したところ、どの性別・年代でも5年前の1.5倍以上伸びが見られました(図表4)。どの層でも浸透が進んでいることがわかります。

図表4

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中でも目立ったのは、シニア層である60代の伸びです。男女とも2倍以上に伸びていました。今の60代はアクティブシニアと言われる消費に積極的な人が多い世代です。通販サイトの使い勝手が年々向上する中、購買力のあるシニア層にネット通販慣れした人が増えてきた結果、と言えそうです。
また、消費の主力たる主婦が多い40代以上の女性も、もともと高かった平均購入額がさらに伸びた結果、ネット通販の日用雑貨市場拡大に大きく貢献しました(図表5)。

図表5

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スマホの浸透で手軽にインターネットを利用できるようになったことや、モバイルのネット通販サービス数が増加し、使い勝手も上がっていることが影響したと考えられます。

ネット通販ユーザーってどんな人?

では、今のネット通販利用者はどのような人なのでしょうか。
1年間に買う日用雑貨品の全個数のうち20%以上と、その多くをネット通販で買う人を『ネット通販高ロイヤル層』、それ以外の日用雑貨品のネット通販購入者を『ネット通販併用層』として、それぞれの特徴を追いました。
まず、日用雑貨品購入者に占める割合ですが、2012年は『ネット通販高ロイヤル層』が3%、『ネット通販併用層』が19%でしたが、5年間で『ネット通販高ロイヤル層』が5ポイント増え、8%に達しました。(図表6)

図表6

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日用雑貨品を買う上でネット通販が重要なチャネルになっている人が増えていると言えそうです。
また、『ネット通販併用層』も2ポイント増え、『ネット通販非利用層』の割合が減っていることから、徐々にネット通販を使い出し始めていることがわかります。

この、ネット通販が既に重要チャネルとなり、「ネット通販マスター」とも呼べそうな『ネット通販高ロイヤル層』の特徴をまとめたのが図表7です。

図表7

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そもそもの買い物量という点では、年間に雑貨を買う個数は平均を100とした時に99とほぼ平均並みながら、1個当たりの単価が高いものを買うため、年間の買い物額は126と日用雑貨品にお金をかけています。
また、一度にまとめ買いすることが多い傾向があるため、買い物の回数自体は少な目です。

ネット通販での買い方について見てみると、一番低いキッチン用品でも30%以上をネット通販で買うなど、幅広いカテゴリーでネット通販を利用していることがわかります。

ネット通販高ロイヤル層は比較的男性や若年層の女性が多く、自分のための買い物が多いことが想定されます。さらに買い物に関する意識からは、購入前に商品や評判を調べて情報を吟味し、自分の感覚に合うものを選ぶ、といった買い物に対するこだわりの強さが見られる一方で、価格訴求には興味が薄いことがわかります。実際、どのような「こだわりを満たすもの」を買っているのでしょうか。あとでもう少し詳しく見てみることにしましょう。

次に、日用雑貨品購入の一部だけ、目的を絞ってネット通販を利用している『ネット通販併用層』の特徴を見てみましょう。(図表8)

図表8

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そもそもの買い物量が多く、買い物の回数も平均を100とした場合に145と多い中で、チャネルを使い分けるいち手段としてネット通販を利用しているようです。
特にネット通販で買うことが多いのはヘアケア、次いでボディケア。それ以外のカテゴリーはあまりネット通販では購入していません。これらは前述の5年前から既に浸透していたカテゴリー。日用雑貨品のネット通販購入の入り口はやはりこれらのカテゴリーと言えそうです。

ネット通販高ロイヤル層は普段の買い物を担うことの多い主婦層が多くなっています。また、お得さと品質のバランスを重視する傾向があります。ヘアケアやボディケアといった様々な機能を謳った商品の中からこだわりを持って買うことの多いカテゴリーのみネット通販を利用し、日常的に使う「家のために買う」カテゴリーは、特売などで定番商品がお得に買えることの多いリアル店舗で買う、というチャネルの使い分け行動の根底には、この考え方があるのではないでしょうか。

ネット通販に求められる役割は?

最後に、ネット通販利用が浸透している『ネット通販高ロイヤル層』はどのような商品を選ぶ人なのか、というデータから、ネット通販に求められる役割について考察してみます。

まずは広くネット通販化が進んでいるシャンプーに注目してみます。
売れ筋上位10アイテムのうち、全体ランキングと共通してランクインしていたアイテムは2アイテムのみ。売上5位以内の上位メーカーのアイテムはたった1アイテムでした。
結果的に、本来53%を占める上位メーカーのシェアがネット通販高ロイヤル層においては約3割となり、上位メーカーによる寡占度は低くなっています。(図表9)
また、上位10アイテムの平均単価は2469円と、全体平均の4倍以上の高額品が買われていました。これらの商品は大容量品というわけではなく、スカルプケアや天然素材といった付加価値があり、1mlあたりの単価自体が高い商品がほとんどでした。

図表9

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ブランドが有名でなくてもある程度品質が担保されていれば、「自分が求める機能に特化した商品」、「自分に合った商品」を自ら探し、購入している様子が浮かびます。この傾向からは、ユーザーがネット通販に対し、「こだわりを持って自分のためのブランドが見つけられること」を求めていることが示唆されます。

一方、まだまだ『ネット通販併用層』では浸透が進んでいなかった「家のために買う商材」である洗濯用洗剤に注目してみると、購入上位10アイテムのうち、全体ランキングと共通してランクインしていたアイテムは8アイテムと、ほぼ顔ぶれは変わりませんでした。(図表10)ただし、そのうち半分の4アイテムは全体ランキングのものよりも大容量のアイテムとなっており、結果的に平均単価は650円と、全体の約2倍になっていました。

図表10

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ここから見えるのは、いつものブランドの大容量をネット通販で買って届けてもらうという「買い物の手間の削減」行動です。既に決まった選択肢の中でリピートするのであれば、さらに買い物の手間を削減してあげられる、ストックを必要な時にリマインドし、補充できるような仕組みが喜ばれそうです。

浸透の進むネット通販での日用雑貨品購入。「自分のために買うものの探索支援」、「家のために買うもののリマインド」といったタイプの違う買い物サポートが進めば、さらに浸透が進むのかもしれません。


今回の分析は、弊社独自に保有するSCI(全国個人消費者パネル調査)の15歳~69歳の男女の購買データをもとに行いました。

【SCI(全国個人消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女52,500人のパネルモニターによる食品(生鮮・惣菜・弁当などを除く)・飲料・日用雑貨品・医薬品に関する消費者市場動向のトラッキングサービスです。
パネルモニターが携帯端末で購入した商品のバーコードをスキャンし、インターネット調査画面から、その商品を購入したチャネルや個数・金額などを入力することで、消費者購買行動が分析できます。継続的に収集している日々の買い物データです。消費者の顔を詳細に捉え、消費者を起点としたブランドマーケティングや店頭マーケティングにご活用いただけます。

カテゴリーについて:
今回の分析では、SCIで捉えている日用雑貨品を以下の分類で集計しています。
ヘアケア:シャンプー、リンス、アウトバストリートメント、ヘアーカラーなど
紙製品:トイレットペーパー、生理用品、紙おむつなど
オーラルケア:歯ブラシ、歯磨き粉、マウスウォッシュなど
ボディケア:石鹸、ボディソープ、入浴剤など
エチケット品:制汗剤、カミソリ、男性用化粧品など
ファブリックケア:洗濯用洗剤、柔軟剤、漂白剤など
キッチン用品:台所用洗剤、スポンジ、ラッピングフィルムなど
ハウスホールド:バス用クリーナー、トイレ用クリーナー、使い捨て紙クリーナーなど
環境衛生品:芳香・消臭剤、殺虫剤、カビ防止剤など

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