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コロナ禍で増えた在宅勤務 経験者が感じるメリット・デメリットとは?

新型コロナウイルスの感染拡大(以下、コロナ禍)によって「在宅勤務」が一気に注目されました。自宅で仕事をすれば満員電車に乗ることもなく、人が集まる事務所に長時間いる必要もないため、3密(密集、密接、密閉)を回避できます。
そして在宅勤務は、仕事と私生活を両立させやすい働き方でもあります。

クアルトリクス合同会社と株式会社インテージは2020年5月に、新型コロナウイルスの「働く人」への影響実態に関する共同アンケートを実施しました。その結果、在宅勤務をしている人が多い業界とそうでない業界があることがわかりました。
また、在宅勤務には、メリットだけでなくデメリットがあることも見えてきました。なかには、自宅で仕事をすることにストレスを感じている人もいます。
在宅勤務の実態を紹介します。


在宅勤務とは?

在宅勤務とは、自宅で仕事をする勤務形態です。
会社員は「普通」、会社が用意した事務所に出勤し、仕事をして帰宅します。ところがITが進化してインターネット環境が広範囲に整備されたことで、わざわざ会社に行かなくても仕事を完遂できるようになりました。
会社勤務を在宅勤務に切り替えれば、働く人は通勤時間を節約できますし、企業は通勤手当を支給しないで済みます。

テレワークとの違いは?

在宅勤務と似た言葉にテレワークがあります。「tele」は「遠隔」という意味で、会社から離れた場所で仕事をすることを、テレワークといいます。
在宅勤務はテレワークの一種で「テレワークの自宅版」ともいえます。
テレワークには、「在宅勤務」の他に、顧客先のオフィスや移動途中(カフェなど)で仕事をする「モバイルワーク」と、勤務先以外のオフィススペース(シェアオフィス、レンタルオフィスなど)で仕事をする「サテライトオフィス勤務」があり、いずれも会社の事務所から離れているのでテレワークになります。

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在宅勤務をしている人の割合

今回のアンケートでは、在宅勤務をしているかどうかを尋ねました。
全体(Total)では、「完全に在宅勤務をしている」18%、「一部のみ、在宅勤務をしている」34%、「在宅勤務をしていない」48%という結果になりました。
一部であっても在宅勤務をしている人が、半数を超えました。

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「完全に在宅勤務をしている」が高率だったのは、次の業種でした。
・54%:製造業・メーカー(医薬品・健康食品)
・45%:情報サービス業
・43%:製造業・メーカー(家電製品)

情報サービス業は、ITやインターネットに直接関わる業種だけに、2位は順当といえます。
製造業・メーカーが、1位(医薬品・健康食品)と3位(家電製品)を獲得しました。
それ以外の製造業・メーカーでも、「雑貨など生活関連型」31%、「機械など加工組立型」28%となっていて、在宅勤務は順調に普及しています。

「在宅勤務をしていない」が高率だったのは、次の業種です。
・医療:87%
・福祉:79%
・飲食店・宿泊業:76%

医療も福祉も、スタッフが人と接触しないとならないので、在宅勤務が普及しづらい業種です。
また、飲食店・宿泊業は、店や宿にやってくる客に対応しないとならないので、これもスタッフが自宅にいては仕事になりません。

国家公務員と地方公務員は、「一部のみ、在宅勤務をしている」が70%または56%と高率なのに、「完全に在宅勤務をしている」が1桁台になっています。
公務員の仕事は事務作業が多いので、IT化・インターネット化しやすい一方で、国民や住民と実際に会うことが欠かせないため、完全在宅勤務に切り替えるのは難しいのでしょう。

在宅勤務は業務効率は上がる?

「在宅勤務なら、自宅でリラックスできるので業務効率が上がりそう」というイメージがあるかもしれませんが、在宅勤務アンケートでは意外な結果が出ました。

業務効率が上がった人も下がった人もいる

「完全に在宅勤務をしている」「一部のみ、在宅勤務をしている」「在宅勤務をしていない」ごとに、1年前と比べて業務効率が変わったかどうか尋ねました。結果は以下のとおりです。

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「完全に在宅勤務をしている」と回答した人の「効率が上がっている」と「やや効率が上がっている」の合計の割合は18%(=3%+15%)でした。
一方、「在宅勤務をしていない」と回答した人では、「効率が上がっている」と「やや効率が上がっている」の合計は11%(=2%+9%)でした。
このことから、完全に在宅勤務に切り替えても驚くほど業務効率が上がるわけではないが、在宅勤務をして業務効率が上がった人がいることがわかります。

ただ、「完全に在宅勤務をしている」と回答した人の「効率が下がっている」と「やや効率が下がっている」の合計は48%(=23%+25%)でした。「在宅勤務をしていない」と回答した人の合計29%(=14%+15%)と比べると、業務効率が下がった人もいることがわかります。
これは、会社で仕事をすることに慣れていて、自宅での仕事のしにくさを感じていると推測できます。

コロナ禍収束後も在宅勤務を継続したいか

コロナ禍が収束したあとも在宅勤務を継続したいかどうか、尋ねました。

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在宅勤務を経験した人(在宅勤務者全体)は、「増やしたい」「やや増やしたい」「現在と同じくらいにしたい」の合計が63%(=19%+16%+28%)に達しました。
在宅勤務はおおむね歓迎されていることがわかります。

そして在宅勤務を経験して「効率が上がっている」と感じた人は、実に82%が「増やしたい」または「やや増やしたい」または「現在と同じくらいにしたい」と思っています。

一方、効率が下がっている人の6割近くが在宅勤務を「減らしたい」(39%)または「やや減らしたい」(18%)と感じています。
在宅勤務の意向には、業務効率が大きく関係していることがわかります。

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在宅勤務のメリットとデメリット、そしてストレスとは

アンケートでは、在宅勤務を「増やしたい理由」または「減らしたい理由」を尋ねました。ここから、在宅勤務のメリットとデメリットが見えてきました。

メリット

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在宅勤務のメリットとして「通勤しなくてよい」「業務効率がよい」「感染リスクを減らしたい」が挙がりました。
在宅勤務を経験して「通勤時間の無駄」に気がついた人がいました。その結果「人生の満足度」につながると感じている人もいます。子供と一緒にいる時間を長くできることは、通勤0時間の大きな恩恵といえるでしょう。

業務効率では、会社で仕事をしていると、どうしても「わずらわしい会話」や「非効率と思える会議」が発生してしまいます。在宅勤務なら、いずれも発生しないので仕事がはかどります。また、クライアントも在宅勤務なら、時間に余裕があるためか、「時間が取れる」と、コミュニケーションがとりやすいメリットもあるようです。

新型コロナウイルスの感染リスクを減らせることは、在宅勤務のメリットです。介護をしている人が「感染リスクを極力減らせるから、在宅勤務を増やしたい」と回答しています。これは切実な願いといえます。

デメリット

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在宅勤務のデメリットとして「効率が悪い・できない業務がある」「コミュニケーションに支障が出る」「通信環境や仕事環境がよくない」「ストレスがある」が挙がりました。

在宅勤務は、業務効率が低下するだけでなく、仕事のモチベーションを維持することすら難しくなる、と感じている人がいます。さらに、自宅では集中力が高まらない、という意見がありました。

業務上のコミュニケーションに支障が出ることは、在宅勤務の大きな欠点といえそうです。
顧客との関係を維持したり深めたりするには、どうしても直接面談が必要になります。
インターネットの会議システムが進化しても、直接のコミュニケーションにはかなわないところがあります。微妙なニュアンスは、実際に会わないと伝えにくいでしょう。
さらに、直接のコミュニケーションが減ったことでメール連絡が増えた人がいます。相当面倒に感じている様子です。

自宅の通信環境や仕事環境が十分でないと、在宅勤務を苦痛に感じるようです。仕事環境では、机や椅子といったツールも重要です。やはり、長年慣れ親しんできた会社の事務所のほうが、仕事がしやすいのでしょう。また仕事場は業務効率を高めるようにデザインされているので、自宅で不都合を感じることもあるはずです。

ストレス:外に出ないのはつらい

今回の調査では、家に長時間いることや、外出できないことにストレスを感じる人がいることがわかりました。
また、在宅勤務は、仕事とプライベートの境目が曖昧になります。「仕事は仕事、プライベートはプライベート」と割り切りたい人にとっては、通勤と帰宅が「スイッチ」の切り替えになっているのかもしれません。

そして、同僚と会えないことがストレスになっている人がいました。仕事仲間が「友達」になることは珍しくなく、そのような人は「会社に行きたい」と感じるでしょう。「誰とも話さずストレスがたまる」というのも、一人暮らしで完全な在宅勤務になると、リモート会議がなければ人と話す機会がなくなってしまいます。

在宅勤務の光と影が鮮明に

今回のアンケートでは、自宅で働くことの光と影が浮き彫りになりました。
自宅というリラックスできる空間で仕事ができることは、よいことです。多くの人が、在宅勤務を歓迎しています。
しかし、自宅で仕事をすることにストレスを感じている人がいることがわかりました。快適な職場づくりに力を入れている企業は多く、「会社で仕事をしたい」と考える人がいても不思議ではありません。また、在宅勤務では仕事とプライベートの区別をつけづらいという意見もありました。
勤務日の半分を在宅にするなど、その人のタイプや仕事内容に合ったワークスタイルを見つけることは、人生の満足度アップにつながるのではないでしょうか。


本記事でご紹介した新型コロナウイルスの「働く人」への影響実態に関する共同アンケートの詳細がわかるデータ集は、以下からダウンロードいただけます。
業種別に、在宅勤務状況をはじめ、勤務時間、業務効率、ストレス状況、勤務継続意向など、 働く人々の意識と環境の変化がわかります。


「新型コロナウイルスとビジネスパーソンの実態調査」について
実施主体:クアルトリクス合同会社と株式会社インテージの共同調査
調査手法:インターネット調査
対象者条件:
・緊急事態宣言が出ている7都道府県20-59歳男女
東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡
・職業:「会社員」、「会社員(管理職)」、「公務員・団体職員」
・企業規模5人以上
標本抽出方法:弊社「キューモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=8,661
調査実施時期: 2020 年5月12 日(火)~2020 年5 月15日(金)


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