株式会社インテージ 代表取締役社長 檜垣 歩
経歴
新型コロナの発生と感染拡大。そのことによって生活者の生活は激変し、経済は大きな打撃を受けました。これは、不確実性そのものです。
一方で、コロナ危機のもたらしたものは「時計の針を早く進める」効果です。
もともと進行していた構造変化が、逆戻りすることなく、一気に進行する効果です。
構造変化の代表格は、デジタル・トランスフォーメーションといっても過言ではありません。
マーケティング領域も例外ではなく、メディア、チャネル、施策の多様化のみならず、データの蓄積とその活用が、ビジネスプロセスを大きく変えていきます。
顧客マーケティングやCRMの領域は、データ活用によって大きく変化しました。新規顧客の獲得から会員としての組織化、さらには登録情報や利用履歴を用いてロイヤリティプログラムを実践するなど、あらゆる接点において高度なデータ活用が進んでいます。デジタル化の潮流は「顧客」を「個客」として定義し、よりパーソナライズされた施策を行うことを可能にしています。経営層はもとより、営業、CS、人事など関係各所がKPIを共有し、課題発見に基づき速やかにアクションがなされ、オフラインとオンラインのシームレスな接客もデータに基づいて行われます。
国内市場が成熟化し、モノが売れにくい時代、とも言われる中で、顧客(個客)マーケティングは重要性を増しています。サービス業のマーケティングにおいてのみならず、モノからコトへのシフト(サービタイゼーション)によって、商品ブランドも顧客との関係をより太く、血の通ったものにしたいと望んでいます。
デジタル化は、「企業/ブランド」と「生活者/顧客」の関係性の構築や維持を新しい形で促し、マーケティングプロセスに大きな変化をもたらしました。一方で、マーケティングの本質は変わりがありません。それは、「生活者(顧客)を知り、価値を創造し、適切にとどける」ということです。
変えてはいけないことを知っているから、すべては変えることができるのです。
「生活者理解の深化」を原点に、「データ活用の高度化」をエンジンとして。
インテージは今年、創業60周年を迎えました。「マーケティングを科学する」という創業期の志をDNAとした、「データ活用の高度化」と「生活者理解の深化」により、「個客」に向き合うマーケティングの実践を支援いたします。
変化の激しいVUCAの時代、インテージは本フォーラムを通じて、みなさまの新しい一歩、新しいステージにつながる‘鍵’を届けます。
※1 VUCAとは変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)