【2020年生活者が楽しみにしているコト~5 key stories~】第1回 20代女性編

プロローグ

来年は、新元号『令和』2年、オリンピックイヤーとして注目が集まる2020年。注目のこの年にフォーカスし、生活者を主人公にした「5 key stories」と題したショートストーリー“デ・サインストーリー”をご紹介します。

デ・サインストーリーとは、リサーチを通じ、生活者の声なき声(サイン)を見極めつなぐこと=デ・サインから生まれた心の奥深い声で物語を綴ったものです。調査分析結果をベースに、生活者が活き活きと暮しを楽しむ姿を、まるで映画のようにイマジネーションを膨らませて描き出します。主人公の設定を変えながら、5回連載でお届けします。

未来に想いを寄せるということは、誰しも漠然としていることでしょう。
それでも、今よりも明るく楽しく豊かな生活を期待しない人はいないでしょう。
では、どんな暮らし?どんな生活?
あれやこれやと期待するキモチは「キーワード」であったら、答えられるはず。
「キーワード」を答えているうちに、私たちが期待する未来の暮しへの想いが溢れてくるでしょう。
それは、答えている人自身も気づかない世界かもしれません。
主人公ごとに本人が気づいていない世界を、リサーチのチカラを発揮して、
「想い」をつないで5つの1.5人称ストーリーとしてご紹介したいと思います。

※1.5人称とは・・・・一人称と二人称以上の中間。一見、第三者の目線、群像劇、多面的な物の見方のように描いているが、一人称な語り方であること。 創作物でよく使われる

生活者の声なき声から生まれたデ・サインストーリー。5回連載の初回は20代女性編からご紹介してまいります!

20代の女性は、来る2020年にどのような期待を寄せているのでしょうか。20代女性の声なき声に耳を傾け、キーワードを紡ぐことで現れた5つのストーリーをのぞいてみてください。

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デ・サインストーリー1)「私の脳内は4次元ワールド」

~リアルの他にも、結構やることあって。単純な話じゃないの。
わたしたちの頭の中の世界は、理想と現実と、バーチャルとフェイクの4つのワールドがあるのよ。自然体で生きることって結構大変で。モードを切り替えていろんな自分を楽しんでしまおうかと。 妄トレ、励んでいます(笑)~

2020年の期待構造全体を読み解くにあたって、彼女たちが何を軸に連想を繰り広げたのか、その全貌からご紹介したいと思います。連想の“柱”となる大きな2つの軸として、「自己成長」⇔「実物盛り」/「体験する非日常」⇔「体験しない非日常」が浮かびあがりました。

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“非日常”との対比として、辞書的な言葉の意味では“日常”とか“現実”と考えがちなのですが、調査結果であるマップのワードを読むと、「体験する非日常」と「体験しない非日常」が形成されていることが分かりました。もう一つの大きな軸である「自己成長」⇔「実物盛り」と掛け合わせて解釈を進めると、①理想 ②現実 ③バーチャル ④フェイクの4つが20代女性の期待マインドの塊としてあると読み取れます。リアルな体験ではない脳内エリアがしっかりと浮かび上がってくることが面白い発見でした。

バーチャルも含めた非日常のエリアには、テレビ、ドラマ、YouTube、DVDといった映像コンテンツの文脈に加えて、自由、寝る、読書、マンガが同じラインにあります。また、寝るの先にはジャニーズ。夢の中でアイドルたちと出会っている感が、この文脈に現れています。ルイヴィトン、プラダも同じエリアにあることから、夢の世界で持ちたいものであることを示しています。リアルな体験としての“買い物”行動は、真逆の「現実」ポジションに表出。つまり、ルイヴィトン、プラダは、憧れであって本当に買うつもりはないことがわかります。

「自己成長」⇔「実物盛り」の軸は、マップの左エリアの資格取得、留学、勉強と右エリアのフェス、コスプレ、化粧を対比させて読み解きました。まず、資格取得、留学、勉強のキーワード群には「自己成長」のマインドがあると言えるでしょう。

それでは、「自己成長」の真逆の位置にあるフェス、コスプレ、化粧のキーワード群は何を表しているのでしょうか。「自己成長を考えていないこと?」と考えがちでもありますが、一歩考えを進めてみると、“手っ取り早く盛っちゃえ、みたいな気持ち”=「フェイク」というマインドが根底にあることが浮かび上がってきます。

単語1つ1つを見ると、個別の意味はありますが、“位置”で“意味”を読む分析を行うことで、背後にある心理を推察できます。

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2020年、彼女達が日々の楽しみとして何を期待するのかをご紹介した4つの分類でまとめると、①理想として目指したい自分の姿 ②現実的に基盤として築きたい自分の状態 ③バーチャルの世界を楽しむ・バーチャルだからこその楽しみ ④現実は変わらずとも、盛ってフェイクして楽しむ自分の行い といった期待が頭の中に繰り広げられていることが分かります。

デ・サインストーリー2)「自己実現のつまみ食い」

~ちょっとずつだから、いい気分のまま日常に戻れるの。
海外旅行って、旅の間は現実から離れて楽しいけれど、日常との格差があまりに大きすぎて、帰ってきた時のテンションダダ落ち感がつらい。特別な体験というより、ほどよい日常の延長でいろんなことを少しずつバージョンアップした感が、ちょうどいい。そう、それがまさに韓国旅行~

このストーリーは、期待構造のハブ(連想の中枢)から、ご紹介します。マップ上では右下に海外旅行、イタリア、京都など、“旅行”エリアが形成されているのですが、韓国旅行だけぽつーんとハブ(中央)に表出していました。ハブにあるのは、「期待」として表れた様々なワードとの結びつきが強い、期待構造のど真ん中にあるワード。なぜ韓国旅行だけが他の旅行群と離れ、ハブの位置に表出しているのか。このような”問い“が我々のチーム内で芽生えました。

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「そもそも韓国旅行とは、どのような意味があるのか?」を考えてみると、「韓国とは、エステも、グルメも、美容も健康サービスも多く、ファッションの情報発信もアクティブ。K-POPのライブ等々、ちょっとずつちょっとずつ、まるで”つまみ食い“のように楽しむことができる場所だ」という理解に到達しました。更に、韓国旅行は、海外に出向いて戻ってきても”非日常からのダダ落ち感がない“ことが良さでもあり、”いい距離感“としての魅力がある、という気づきに至りました。

ポジショニングとして、前述の、期待構造の大きな軸を成す「体験する非日常⇔体験しない非日常」の真ん中に表出しているので(ハブなので)、「体験」と「非体験」の”いいとこどり“の”非日常“ともいえます。

デ・サインストーリー3)「アイスクリームはレジャーと共に」

~スイーツは別腹というけれど、2020年の生活シーンで思い浮かべる私達の食品は「アイス!」。ご当地アイスは外せない。旅行に行ってもアイスは持ちかえることもできない、そこでしか味わえないからいいの!~

2020年への期待構造で、唯一登場した具体的な食品はアイスです。これだけ豊かな食生活が送れる日本において、数年後への期待の連想にアイスのみ現れていることは、オドロキでした。表出したエリアは〇〇旅行が多く出現している〝体験できる非日常“エリア。物性として溶けてしまうので、旅先からは持って帰れないことや、ブランドや素材や製法、旅行文脈で読むとご当地の物語も伴うことから、アイスの存在意義は、日常における〝非日常“性を演出するツールとして、物性とバックグラウンド情報が絶妙な形で混ざり合っていると解釈しました。

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インテージのSRI®(全国小売店パネル調査)で見てみると、この5年間でアイスの市場規模は1.13倍に拡大しています。近未来の生活を思い描く際、唯一存在している具体的な食品であるアイスは、旅行エリアと同じポジションをとっていることからも、非日常性に華やぎを与える食品として、彼女達にとって大切なメモリーを刻む儚くも身近な存在なのでしょう。

デ・サインストーリー4)「ザ・グレイティスト オリンピック・ショー開催!?」

~2020年といえば、なんといってもオリンピック。でもスポーツはあまり詳しくないから、とりあえず開会式が楽しみ!フェスとか好きなアーティストのコンサートみたいに楽しみたいわ~

2020といえば、言わずもがな「東京オリンピック」が最大イベントとして期待されています。では、彼女達にとっての「2020東京オリンピック」に期待を抱く意味はどのように捉えられるのでしょうか。

オリンピックは、2020年への期待するコトとして第3位の回答率(24.5%)であり、テレビ、音楽、コスプレと同じエリアに表出しています。彼女達にとってオリンピックはスポーツイベントではなく、音楽・コスプレをして楽しむイベントとして楽しみにされていることが読み取れます。

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スポーツというワードもこの期待構造の中に表出しているのですが、ダイエット文脈上にあり、オリンピックからは離れています。このことから、オリンピックの捉えられ方は、ほぼエンタメ番組。日の丸のペイントをして、音楽を聴きながらオリンピックを見られる状態が、彼女達流のオリンピックの最高の楽しみ方といえそうです。

デ・サインストーリー5)「2020 トゥモロー・チューズ・DIY」

~ゼロからつくるとか、買うとか、それだけではなくて、“選ぶ”ことも私達にとってはDIYなのよね!そうそう“コト消費”という言葉があるように、“コトDIY”が楽しみ!~

ラストストーリーとして、DIYに注目したストーリーをご紹介します。“DIY“といえば、「Do It Yourself!自分でやってみよう!」ということで、主に修繕や物作りに関し、専門家に依頼することなく自分自身の手でつくることから、達成感やオリジナリティを得ることができ、コストも押さえられるメリットがあるかと思います。今回の我々の調査結果のマップでのDIYは、ストーリー3で触れたアイスと同じ方向での〝体験できる非日常“エリアに表出しています。

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このエリアは旅行の他に、散歩、国内旅行、デート、ショッピング、友だちと遊ぶ、旅行、カフェ、外食といったさまざまな「外へのお出かけシーン」がひしめきあっているのですが、これらのワードと同じエリアにDIYが表出している意味合いを辿りました。その結果、非日常を体験する楽しみを”チョイスすること“自体がDIYではないだろうか、ということに行きつきました。旅行の企画を立てるのも、チョイスして判断している。その”選択と判断“が自分の個性を出すことにつながっている。購買までではないハードルの低さで「これ、私が選んだの!」と、言いたい気持ちが読み取れます。

モノのDIYではなくて、“コトのDIY”を彼女達は楽しみにしていそうです。

エピローグ

2020年の「日常」に、どのようなことを期待して過ごしたいと思っているのか、20代女性生活者を主人公にご紹介いたしました。思い切って全く別の世界に飛んでいくわけでもなく、身の回りでこじんまりと過ごすわけでもなく、20代女性達は想像力(妄想力)豊かに、中程度のジャンプ力を持って近未来を思い描いているようです。

次回は、同世代である20代の男性編をお届けします。20代男女の考え方の違いが明確に表れています。お楽しみに!

著者プロフィール

鮎澤留美子
鮎澤 留美子(あゆさわ るみこ)
飲料メーカー、航空会社、広告代理店グループ調査会社を経て、インテージ入社。生活者リサーチ全般、ワークショップデザイン、ビジネスエスノグラフィの知見を活かし、ファクトベースでアイデア発掘、新価値創造、コンセプトメイキングまでをリサーチデータと行き来しながら導出する『デ・サインリサーチ』を開発、推進を担当。自称、歴女(戦国時代の研究から進展しない笑) 。
著者の記事一覧はこちら

※分析手法、解釈の仕方はこちらの動画でご覧ください。

今回の分析は、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。
調査地域:日本全国
対象者条件:20~29歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:20代女性 n=556、20代男性 n=555
調査実施時期: 2017年8月21日(月)~2017年8月24日(木)
分析手法:PAC-i

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