各国比較調査からみえたASEAN New Normal

世界各国で急激に感染が拡大した新型コロナウイルス。WHOは2020年3月11日にパンデミックとする見解を表明し、対策強化を訴えました。
各国では様々な制限が設けられ、生活者の生活は大きく変わりました。その中で生まれた新しい生活習慣、新しい価値観は、収束後のAfterコロナのフェーズにも続くことが見込まれます。

インテージでは、株式会社TNCとの共創で、日本の企業が多く進出しているASEANの3カ国(タイ、ベトナム、インドネシア)で調査を行い、Afterコロナを見据えた商品・サービスを開発する上でキーとなるNew Normal(新しい生活習慣、価値観)について考察を行いました。この記事では、各国で行ったインターネット調査の結果の一部をご紹介します。
インターネット調査結果の詳細レポートはこちらから無料でダウンロードいただけます。

【目次】

各国のこれまでの動き

今回の調査は、タイ、ベトナム、インドネシアの3カ国と、比較対象として先進国であるアメリカで、5月1日から7日にかけて行いました。
はじめに、各国主要都市の主な動きを確認してみましょう。感染規模や、行動規制の範囲が大きく異なっています。

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調査を行った5月上旬の状況を見てみると、早期の対策で感染者数を抑えたベトナムでは、ちょうど学校や娯楽施設が再開されはじめたタイミングとなっています。一方、インドネシアは感染者数の拡大が続き、職場での就労禁止や私有車両の乗員数制限など、大規模な社会的制限の真っただ中にありました。

この間の経験に差はありますが、各国の生活者は大きな行動変容を迫られ、制約が緩和されつつある今も、新しい生活習慣へと移行しています。

ここからは、調査を行った「価値観」「衛生・健康」「食」「働き方・生活」「子育て・美容」「移動」の6つのテーマから、特にAfterコロナの消費を変えるカギとなりそうな3つの変化に注目して、データをみていきましょう。

ASEAN New Normalのキーとなる変化① 人・社会との距離感の変化

はじめに、生活者の価値観に注目してみましょう。
価値観について、当てはまりの度合いを[3]から[-3]の7段階で聴取し、平均スコアを出した結果が図表1です。

図表1covid19-dcgs-3_05.png

「社会の迷惑になることは慎むべき」「社会のために少々個人は我慢すべき」「社会課題を意識することは大事」といった、社会的な意識がどの国でも高くなっています。
また、「社会貢献をしている企業の製品を優先して購入しようと思う」という意識やエコ意識もアメリカと比較して高くなっていて、ASEAN3カ国で『社会のために』という意識が高いことが確認できます。

次に、憧れるライフスタイルをみてみましょう。(図表2)

図表2covid19-dcgs-3_06.png

「身近な人とのつながりや、家族を大切にする生活」がと各国共にトップとなっており、危機状態において家族との絆が見直されている様子がうかがえます。

『社会のために』『自国のために』『家族のために』という意識の高まりからは、ASEAN各国で「身近な人や社会との距離を見直す」という変化が起きていることがわかります。その結果、企業の社会課題に対する活動の評価が、ブランド(商品)選択に影響するようになってくるでしょう。

例えば、ベトナムでは、2020年4月にFacebook上で公開された、洗剤メーカー「Seventh Generation」のCMが話題になっています。長持ちする香りや目を引くパッケージといった通常用いられる宣伝文句に打ち消し線が引かれ、「長持ちする香りじゃない理由は、100%天然素材由来だから」、「目を引くパッケージじゃない理由は、再利用プラスチック包装だから」と、環境に配慮していることを強調しています。このようなブランドが、今後も支持を集めていくと考えられます。

ASEAN New Normalのキーとなる変化② キレイ意識の変化

続いて、衛生・健康に関する調査結果をみてみましょう。
図表3は、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、各国で増加したと答えた防疫行動です。

図表3covid19-dcgs-3_07.png

各国の約80%が帰宅時の手洗い回数が増えたと回答しました。特にインドネシアでは掃除や洗濯、シャワーなど、様々な防疫行動の回数を増やしていて、“清潔でいること”に対する行動変容が見られています。

インドネシアの調査では、「新型コロナウイルス流行後に購入したもので、あなたのお気に入りの写真をお送りください」という依頼に対し、消毒液やマスクといった防疫グッズや掃除道具、洗濯機や空気清浄機などの家電の写真が送られてきました。(図表4)

図表4covid19-dcgs-3_08.png

これらの写真からも、防疫・衛生意識が発生し、向上している様子が見て取れます。もともとインドネシアでは、低価格の洗濯サービス(Kgランドリー)が普及しているのですが、やはり“自分の洗濯機が清潔”との印象があり、購入が進んだようです。さらに、カラフルなマスクなどで、防疫行動を楽しむといった行動が見えてきます。

また、多くの人が、今後残りそうな防疫行動として、マスクの着用やこまめな手洗い、消毒液の使用、除菌洗剤の使用を挙げました。(図表5)

図表5covid19-dcgs-3_09.png

前述の価値観から、防疫・衛生意識の高まりは、感染症から自分や身近な人、社会を守りたいという気持ちから生じていると考えられます。自分が感染症にかからないために内側から免疫力を高めたり、おしゃれマスクなどで防疫行動を楽しんだり、除菌・消毒関連商品を日常生活に取り入れたりと、防疫・衛生意識はASEANの生活者の消費行動に今後も大きく影響しそうです。

ASEAN New Normalのキーとなる変化③ 時間感覚の変化

新型コロナウイルスの感染拡大下において、各国では社会的な制限を設け、様々な行動変容を促しました。その一つがリモートワークの推進です。
図表6は、各国の新型コロナウイルス拡大下における仕事形態の調査結果です。

図表6covid19-dcgs-3_10.png

各国で6~7割の人がリモートワークを実施していると回答しました。

次にコロナ収束後の働き方の変化を聞いたところ(図表7)、リモートワークが増えるだろうと考えている人は、ベトナムを除いて5割以上。ベトナムでは代わりに「時差出勤が増える」という回答が多く、「働き方は変わるが大きくは変わらない」という保守的な考えがありそうですが、多くの人にとってリモートワークは当たり前の働き方になりそうです。

図表7covid19-dcgs-3_11.png

他に各国間の違いとして特徴的だったのが、「副業が盛んになる」という変化についてです。新型コロナウイルスの流行により経済が不安定になる事から、従来より副業が盛んなインドネシアやタイでは、収入の安定を図るために更に副業が盛んになりそうです。

外出が制限されたことで、ECの活用も進みました。新型コロナウイルスの流行の進んだ4月以降に新たにECで買ったものを聞いたところ、フードデリバリーや食材が上位に上がりました。(図表8)
日々の生活に必要なものをECで取り寄せるという行動が進んだことがわかります。

図表8covid19-dcgs-3_12.png

具体的な事例を一つ紹介しましょう。インドネシアでは、外出したくない消費者の間で、食料品購入代行サービスの人気が伸びました。代表的なのは、買い物代行サービスとして発展してきた「Happy Fresh」です。Happy Freshは、多くのスーパーマーケットと連携していて、オンラインで注文すれば、スタッフが代わりに購入して自宅まで届けてくれます。新型コロナウイルスの影響でこのサービスの利用者が急激に増え、キャパシティ不足の声も一部消費者からは上がっているようです。

リモートワークの導入やECの活用によって移動距離が減ることで、逆に増えるのが時間です。増えた時間はどう使うのでしょうか。新型コロナウイルスの流行によって、どのような時間が増えたのかを聞いてみました。(図表9)

図表9covid19-dcgs-3_13.png

特に増えたのが、夫婦との時間やネットに触れる時間、そして料理をする時間でした。

感染収束後には外に出ることへの制約がなくなる分、時間の過ごし方はさらに多様化すると考えられますが、移動距離を減らし、時間の使い方を変える、といった動きは進むでしょう。また、この期間の経験を通して、例えば料理にかける時間を増やす人もいるでしょう。

いま、ベトナムでは、若者を中心に自炊のムーブメントが生まれています。人気ニュースサイト「kenh14」では、「5万VND(約250円)で3人分の料理をつくれるか?」をテーマに、低コストのメニューを紹介しています。また、ノンオイルフライヤー調理器の売り上げが増加しています。
自炊文化のなかったインドネシアでも、この機に新たに調理家電や調理グッズを購入した人が多く見られました。

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時間感覚の変化がもたらす新しい消費にも注目です。

今回の調査では、この記事で紹介した以外にも、ASEAN3カ国の幅広い分野についての実態と変化、そして各国のサービスに見られてきている新たな動きを捉えています。
調査から見えてきたのは、各国の生活者が健康でいられることのありがたさを再認識し、身近な人を大切に思う心を持ち、精神面の充実を求めるようになった、という心の動きです。
そうした等身大の生活者に寄り添う企業姿勢やサービス、商品が、共感を呼び支持されていくのではないでしょうか。


今回の調査の詳しいレポートは、こちらから無料でダウンロードいただくことが可能です。
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今回の分析は、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。
【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】
調査地域:アメリカ(全米)・タイ(グレーターバンコク)・ベトナム(ホーチミン、ハノイ)・インドネシア(ジャボデタベック)
対象者条件:20-49歳の男女、アメリカは世帯年収$40,000以上、ASEANはSEC(社会経済クラス) A,B
標本抽出方法:タイ、ベトナム、インドネシアはインテージのASIAN PANELより、アメリカはdataSpringのパネルより対象者を抽出し、アンケート配信
標本サイズ:n=836(アメリカ)n=824(タイ)n=838(ベトナム)n=829(インドネシア)調査実施時期: 2020/5/1~2020/5/7

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