エナジードリンク市場 ~市場急成長の要因を探る~

※この記事は、商業界ONLINEにインテージのパネルリサーチアナリストチームが寄稿しているシリーズ「好調カテゴリーの3ヶ月後を予測する」の内容を一部加筆・再構成したものです。今回はシニアアナリスト 杉田俊哉が2019年8月に寄稿した「エナジードリンク市場」レポートをお届けします。

市場の拡大が著しいエナジードリンク

エナジードリンク(※1)は3年前に比べて市場規模が約1.4倍に拡大、2018年7月~2019年6月(以下「直近」)においては459億円の市場となっています(図表1)。代表的な競合カテゴリーと思われるドリンク剤(※2)市場は微減傾向が続いていて、エナジードリンクとは対照的な動きとなっています。

図表1

エナジードリンク_図表1_市場規模_2.png

販売店率を伸ばしているドラッグストア

順調に市場規模を拡大しているエナジードリンクですが、販売ルートも広がっているのでしょうか。エナジードリンクを売っている店舗がどの程度あるのか、小売の主要業態別に、販売店率を見てみましょう。

図表2にあるように、コンビニエンスストアにおいてはほぼ100%の店舗で売られていて、定番カテゴリーの1つになっていると言えます。スーパーマーケット、ドラッグストアにおいても年々販売店率は上がり続けています。

図表2

エナジードリンク_図表2_販売店率_2.png

さらに、競合カテゴリーであるドリンク剤の主要な販売ルートのドラッグストアにおいても、エナジードリンクの販売店率が、直近では8割を超えました。昨今の好調なエナジードリンクのトレンドを見事に取り込んだ、興味深い動きと言えるでしょう。この数年の間にエナジードリンクを店頭で目にすることが多くなったわけです。

1本300ml以上容量へのシフトが顕著に

エナジードリンクは大容量化も進んでいます。図表3のように、1本当たりの容量が300ml以上の販売が年々増加しています。容量が299ml以下のものは3年前に比べて減少しているのに対し、300ml以上は約2倍になっています。2019年7月には日本限定で500mlの容量の「モンスターエナジーボトル缶」(販売:アサヒ飲料)が発売されるなどの動きもあり、大容量化の波はしばらく続きそうです。

図表3

エナジードリンク_図表3_容量.png

若い男性に支持されているエナジードリンク

成長著しいエナジードリンク市場ですが、どのような層に受け入れられているのでしょうか。SCI(全国消費者パネル調査)で見てみると、エナジードリンクの購入者は女性よりも男性の方が圧倒的に多く、更に10代~30代の男性で支持されていることが分かります。この4年間、ほぼどの性年代でも購入率は伸びていますが、特に直近期間において、若い男性層を中心に購入率の伸びが目立っています(図表4)。

図表4

エナジードリンク_図表4_user.png

この背景には、前段で触れた、伸長著しい容量300ml以上の商品の購入があります。(図表5)。つまり、若い男性による大容量商品の購入がエナジードリンク市場の拡大を牽引している、と言えるでしょう。

図表5

エナジードリンク_図表5_user_volume.png

エナジードリンクは、もうひとがんばりのためのエネルギー注入

若い男性が市場拡大を牽引しているエナジードリンク。どんなときに飲まれているのでしょうか。アンケートでどんなときにエナジードリンクを飲むのかを聞いてみました。図表6では、代表的な競合カテゴリーと言われるドリンク剤に加えて、炭酸飲料と比較しています。

図表6

エナジードリンク_図表6_occasion_2.png

全体としては、エナジードリンクとドリンク剤は似た動きをしています。どちらも、午前中だと「朝起きてすぐに」「通勤や通学のときに」飲まれることが比較的多く、「夕方~夜、一息つくときに」以降はあまり飲まれていません。

一方、昼食から午後の時間帯では、「昼食後、休憩中に」「午後、一息つくときに」エナジードリンクを飲む人が2割前後見られます。午後もうひとがんばりする前の休憩中に飲んでいるのでしょうか。ドリンク剤は、職場や学校に着く前の朝の時間帯が特に多く飲まれている傾向があるので、「1日のがんばり」にはドリンク剤、「もうひとがんばり」のためにはエナジードリンク、と飲み分けがされているのかもしれません。

また、炭酸飲料も、休憩中や「一息つくときに」飲まれることが多いですが、エナジードリンクやドリンク剤に比べると、午前中、午後、夕方~夜、と時間帯問わず飲まれる傾向にあるようです。また、「入浴後」にも飲む人が比較的多く見られます。

次に、どんな気持ちや状態のときに、各飲料を飲むことが多いかを見てみましょう(図表7)。

図表7エナジードリンク_図表7_feeling.png

エナジードリンクは、「身体的に疲れたとき」「これからがんばりたいとき」「眠いとき」に飲む人が比較的多いことが分かります。昼や午後の時間帯、疲れが出始めたけれども、まだ仕事や勉強を終えられない時間帯に、もうひとがんばりしようとエネルギーを注入している様子がうかがえます。

一方、ドリンク剤は1位が「身体的に疲れたとき」、2位が「精神的に疲れたとき」で、エナジードリンクよりも疲労対策の目的がはっきりしているようです。また、炭酸飲料は、「スカッとしたいとき」が4割以上で1位。機能的な効果よりも、「気分」を求めて飲まれていると言えそうです。

今後への期待

前述のとおり、若い男性に支えられているエナジードリンク市場の成長。一方で、ピンクのパッケージにトロピカルフルーツフレーバーで女性を意識した「モンスターエナジーパイプラインパンチ」(2019年4月発売、販売:アサヒ飲料)が一定の販売実績を残していることから分かるように、若い男性以外の需要も潜在的には存在すると言えるでしょう。今後、女性や購入率の低い男性高齢層の購入意欲を喚起させられるかが、更なる市場拡大のポイントとなりそうです。

新商品の投入も見られ、ますます活性化するエナジードリンク市場。話題性のある、成長著しいエナジードリンク市場からは当分の間目が離せそうにありません。

(※1) エナジードリンク:今回の分析に際しては、カフェイン、アミノ酸、ビタミンなどの成分が入った「エナジードリンク」と標榜している、もしくはそれに近しい炭酸飲料の商品群を独自に定義した。代表的なブランドとして「レッドブル」や「モンスターエナジー」等がある。

(※2) ドリンク剤:滋養・強壮を目的とした医薬品または医薬部外品で1本100ml以下の容量のもの


今回の分析は、弊社独自に保有する下記のデータをもとに行いました。

【SCI®(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女52,500人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません

【SRI®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約4,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2019年3月現在

分析に使用した自主企画のインターネット調査の概要は下記のとおりです。

調査地域:全国
対象者条件:15~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター(弊社キューモニター+提携モニター)」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015 年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017 年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=1,800
調査実施時期: 2019 年9月19 日(木)~2019 年9 月24日(火)
※上記調査から、エナジードリンク/炭酸飲料/ドリンク剤を飲用している15-39歳男性に絞って分析

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