介護予防の切り札?! プロテインの市場動向

人生100年時代ともいわれ、長く健康でいることへの関心が高まっています。
加齢とともに進む身体的症状に対し、対処はどの程度進んでいるのでしょうか。
インテージヘルスケアの実施している「生活健康基礎調査」から見えた高齢者の症状認識の実態と、効果的な対処方法のひとつであるプロテインの市場動向を紹介します。

【目次】

加齢に伴って進む身体的症状と、その先に懸念される「フレイル」とは?

図表1は全国の16~79歳の男女2,632人に対し、最近1年間に経験した健康に関する自覚症状を聞いた結果です。加齢にともない現れる「足腰の衰え」や「筋力の低下」といった症状を経験している人は、50歳代で約20%、60歳代で約25%、70歳代では30%を超えており、年齢と日常の運動機能低下が相関していることがわかります。

図表1

加齢にともなう身体的症状と経験率

この運動機能低下が進んだ状態として、「フレイル」という言葉があります。具体的な定義は「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、生活機能障害や要介護状態などが進むことで死亡などの危険性が高くなった状態」。フレイルは一般的に、高齢になるにつれ状態が悪くなりますが、適切な介入や支援によって、生活機能の維持が可能とされています。
この言葉は2014年5月に日本老年医学会によって提唱されました。提唱の背景としては、「予防が必要な、健康と要介護の中間の状態にある人」を定義し、正しく介入すれば元に戻ることを強調することで、寝たきりになる前に何らかの対処を行うことを意識させるということがあります。

このフレイルという言葉はどの程度認知されているのでしょうか?他の健康に関するキーワードと認知率を比べてみましょう。(図表2)

フレイルを認知している人は全国の15~79歳の男女の1.1%にすぎず、ほとんど知られていないことがわかります。
一方、ロコモティブシンドローム(骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態)は20.9%が認知していました。この言葉は、健康寿命をのばすために運動習慣をつけることを啓蒙すべく、2007年頃に生まれたもの。ロコモティブシンドロームが全世代に向けた啓蒙であるのに対し、フレイルは高齢者や介護者予備軍に向けた言葉のため単純に比較はできませんが、高齢化社会に向けて、まだまだ言葉が浸透する必要がありそうです。

図表2

健康に関するキーワードの認知率【言葉を知っている人の場合】

ちなみに、図表2に並んでいるサルコペニア肥満。これは筋肉量の減少と脂肪の増加が重なった状態を指す言葉です。通常の肥満より高血圧や低体力になるリスクが高く、メタボより怖いと言われています。こちらも加齢とともに多くの人が気にすべき症状として、さらに言葉の認知が進む必要がありそうです。

筋力低下の手軽な対処手段 プロテイン市場のいま

加齢に伴う「足腰の衰え」や「筋力の低下」は進行によって歩行困難や寝たきりにもつながる重大な症状です。この進行を予防する対策の一つとして挙げられるのが、効率的な「タンパク質」の摂取です。手軽なタンパク質摂取の方法として、プロテインがあります。粉末を飲み物や食べ物に溶かすことで、食事で補いきれないタンパク質を摂取でき、シニア向けの商品も出てきています。

図表3はプロテインの売上推移です。全国の売上は2015年度に79億円、2018年度で96億円と、3年間で22%も伸長しています。

図表3

プロテイン市場の売上推移

プロテインというと、筋肉増強のために若い男性が購入するというイメージがありますが、50代以上の購入率を見てみると、低い割合ではあるものの各年代で増加傾向にあることが確認できます。(図表4)

図表4

50~70歳代のプロテインの購入経験率変化

また、50-70代のプロテイン購入者による年間平均購入金額は2018年度で13,337円となっており、2015年度の11,613円と比べると15%増加しています。(図表5)
購入者の中で定着が進んでいることがわかります。

図表5

50~70歳代 プロテイン購入者の年間購入金額変化

最近では各種メディアで高齢者の「低栄養」や「タンパク質不足」が取り上げられています。また、シニア層のタンパク質摂取を前面に押し出した売り場づくりをしている大手のドラックストアも見受けられます。メディアや売り場の訴求によってシニア層の意識が高められ、プロテインの購入を後押ししているようです。
介護予防に対する意識の高まりや、予防手段としてのタンパク質の認知が進むことで、プロテインに限らず、高タンパク食品の需要はさらに高まると思われます。

実は巨大なセルフヘルスケア市場 対処の2大トレンドとは?」でも見られた通り、自分自身の症状の程度や栄養摂取状況を理解し、足りない点を食品や運動などで補うというセルフヘルスケア市場は今後も拡大が見込まれます。
インテージ知るGalleryでは今後もこの市場に注目してまいります。


この記事は「生活健康基礎調査」「健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ市場実態把握レポート2018年度版」とインテージの保有するSRI(全国小売店パネル調査)、SCI(全国個人消費者パネル調査)のデータを基にしています。

生活健康基礎調査
1991年に調査を開始。生活者の健康状態・健康意識、市販薬の使用実態など、市販薬と生活者との関わりについての経年データを整備 しています。
調査対象は京浜地区、京阪神地区の16~79 歳の男女個人約 2,000 人。2018 年より 70 歳代の調査を追加しています。

健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ市場実態把握レポート2018年度版
生活者視点での健康食品・サプリメント市場の実態把握を目的にした調査を、2018年8月24日~9月21日にインテージ・ネットモニター“マイティモニター®の15~79歳男女を対象に実施し、その結果をまとめたレポートです。

ヘルスケアフーズ市場やセルフヘルスケア市場の詳細データを掲載した最新レポートのサンプル版の無料ダウンロードも可能です。是非ご利用ください。

SRI®(全国小売店パネル調査)
スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約4,000店舗より収集している小売店販売データです。このデータからは、「いつ」「どこで」「何が」「いくらで販売された」のかが分かります。店頭での販売実態を捉え、ブランドマーケティングや店頭マーケティングにご活用いただけます。

SCI®(全国個人消費者パネル調査)
全国15歳~79歳の男女52,500人のパネルモニターによる食品(生鮮・惣菜・弁当などを除く)・飲料・日用雑貨品・医薬品に関する消費者市場動向のトラッキングサービスです。 このデータからは、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「いくらで買った」のかがわかります。消費者の顔を詳細に捉え、消費者を起点としたブランドマーケティングや店頭マーケティングにご活用いただけます。

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