テレビCMの効果検証・プランニングにログベースの選択肢を

【目次】

はじめに

コロナ禍により、先行きの見通しも難しい現在、広告戦略や予算の使い方に悩まれている企業も多いかと思います。電通発表の「2020年 日本の広告費」によると、2020年の日本の総広告費は6兆1,594億円(前年比88.8%)と9年ぶりのマイナス成長となっています。これに連動し、テレビ広告も2020年は1兆6,559億円(前年比89.0%)と大きく減少しており、投資対効果の向上を求められる企業も多いのではないでしょうか。

テレビCMの出稿方法には、大きくは「タイムCM」「スポットCM」の二種類がありますが、最近ではSAS(スマート・アド・セールス)と言われる「15秒CMを1本単位」で購入できる方法も浸透しつつあります。選択肢が増えたことから、テレビの出稿プランを見直す際には、それぞれの出稿方法の特性を正しく理解し、使い分けることが重要になってきます。

「タイムCM」では特定の番組に出稿できるため、企業やブランドのイメージ形成を行いやすいと言われています。一方で「スポットCM」よりも割高で、契約期間も原則的に最低で6ヵ月と長いため、番組選びが大事になります。
しかしながら、色々検討した上でせっかくタイム枠に出稿したとしても、その効果を明らかにすることは出来ていませんでした。今までの多くのテレビ広告の効果検証は、CM接触についても「アンケート」による聴取が主流で、視聴したCMがタイムCMだったのかスポットCMだったのか、さらにはそれぞれのCMに何回接触したのか、を判断することが出来ていなかったためです。

その課題を解決すべく、テレビCM接触状況をWEB広告と同様に「人ベース」に「ログ」で判別出来るMedia Gauge Dynamic Panelを活用し、「タイムCM」「スポットCM」それぞれについて、接触量の違いが「ブランド認知」や「好意度」、さらには「購入意向」といった生活者の心理に与える影響を検証してみました。

タイムCMとスポットCM 効果が大きかったのは?(カップ麺の事例)

検証はカップ麺の食品Aブランドを例に行いました。インターネットに接続されたスマートテレビのログデータを用いたインテージのテレビ視聴計測サービスであるMedia Gauge Dynamic Panelのモニターに対して食品Aに関するアンケートを行い、その回答とログで判別されたCM接触実態を掛け合わせることで、CM接触効果を測っています。

アンケート調査の概要は以下の通りです。

調査概要
調査方法   :インターネット調査
対象地域   :全国
対象者条件  :15-69歳男女
CM対象期間  :2021年4月9日~5月13日
対象ブランド :食品A(カップ麺)
調査項目   :CM認知・ブランド認知・好意・購入意向・カップ麺喫食頻度
サンプルサイズ:3,644s
実査時期   :2021年5月14日~5月19日
ウエイトバック:日本人口(性年代)にあわせてウエイトバックを実施


アンケートの回答者には、ログデータから食品AのタイムCM、スポットCMそれぞれの接触回数(フリークエンシー)を付与しました。今回の事例では、タイム提供番組を週1回以上視聴≒タイムCMに期間中4回以上接触した人を「タイムCM高接触層」と定義し、スポットCMへの接触頻度が平均値以上(5回以上)の人を「スポットCM高接触層」と定義します。
以上の定義により、CM接触状況からアンケート回答者をセグメント分けすると、タイム高接触層が4.0%、スポット高接触層が21.8%、どちらも低接触層が62.4%、どちらも高接触層が11.7%という分布になりました。(図表1)


図表1

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なお、それぞれのセグメントの性年代構成比は図表2の通りです。タイム高接触層はスポット高接触層よりも男性が占める割合が大きくなっていることが分かります。一方で、スポット高接触層は女性60-69歳の占める割合が大きくなっています。


図表2
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セグメント別に調査結果を比較した結果が図表3です。今回対象とした食品A(カップ麺)では、CM認知率がタイム高接触層で32.2%、スポット高接触層で23.4%と、タイム高接触層の方が+8.8pt高くなっていました。このことから、今回の事例ではタイムCMの方がCM認知に寄与したと言えそうです。
ブランド認知率は、タイム高接触層で30.3%、スポット高接触層で30.0%と差はありませんでした。しかしながら、ブランド認知者ベースのブランド好意はタイム高接触層の方がスポット高接触層よりも+19.6pt、ブランド購入意向についてもタイム高接触層の方がスポット高接触層よりも+15.6ptそれぞれ高くなっていました。


図表3
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ここで実際にカップ麺を食べる頻度を見てみると、タイム高接触層はカップ麺を月に2~3回程度以上食べている人の割合が50%を占めており、回答者全体よりも+8.3pt高いことが分かりました。(図表4)

このことから、食品Aはカテゴリーユーザーと親和性の高い枠をタイム枠として選定出来ていそうです。

図表4
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以上の結果より、今回の事例では、タイムCMの方がカテゴリーユーザーと親和性の高い枠にCMを打てていた影響もあり、ブランド好意や購入意向を引き起こす効果があったと考えられます。

テレビCMの効果検証・プランニングにログベースの選択肢を

ここまで調査事例を紹介してきましたが、本調査および分析が実現出来ているのは、インターネットに接続されたテレビの普及と昨今のテレビ視聴計測サービスの発展により、CM接触状況やテレビ番組の接触状況を人ベースにログで判別出来るようになったおかげでもあります。
「人ベース」「ログ」という検証アプローチは「WEB広告」と同じアプローチであり、「広告が何人に届いたのか?」「広告に接触して動いた人は何人か?」という問いに対して、WEB広告同様に人数ベースの分結結果を出力してくれることから、「テレビCM × WEB広告」のようなクロスメディア・キャンペーンの効果測定もわかりやすい分析結果を導いてくれます。
加えて、アンケート調査とログデータをかけ合わせることで、「どのCMが」「どのようなイメージ形成に寄与したか」「購買ファネルにどのような影響があったか」まで、効果分析を行うことが出来るようになりました。その結果、今回の事例のように「タイムCM」「スポットCM」それぞれの施策ごとの効果を比べて見ることが可能になりました。今回の事例ではタイムとスポットという出稿方法の違いに焦点を当てましたが、CM接触状況を回数で取得出来るので、例えば「何回以上接触すると意図しているイメージ形成に繋げることが出来るか」という視点での分析も可能です。

タイムやスポットに加えて、SASのような柔軟なテレビCMの出稿方法も加わり、テレビ広告の使い方も変化しています。また、「テレビCM × WEB広告」のようなキャンペーン手法も多く用いられています。従来のような、対象者の記憶に依存したアンケートによるCM視聴状況の聴取に加え、CM接触状況をログベースで取得することで、テレビCMの効果検証に新たな選択肢をご提案するとともに、その結果をもとにした精緻なプランニングにも貢献できればと思います。


【Media Gauge® Dynamic Panel®】 

Media Gauge® Dynamic Panel®とは、Media Gauge® TVと、株式会社ドコモ・インサイトマーケティング(以下DIM)が所有するdi-PiNK(DMP)を推計して紐づけ、推定在宅情報や性年代などの属性を利用して人ベースに分解し、指定されたターゲットごとに統計処理を行うことで視聴者データを算出するサービスです。Media Gauge® TVとdi-PiNKの推定紐付けは、インテージがDIMに委託し、DIM内で加工・集計を行っています。DIMは個人情報を保有しない事業者であり、Media Gauge® Dynamic Panel®データが個人情報に結び付けられることはありません。また、Media Gauge® Dynamic Panel®の提供物は、匿名化・統計化されたレポートとなります。


参考文献
・電通 2020年 日本の広告費(2021年5月31日閲覧)
https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2021012-0225.pdf

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