

2026年の防災対策に関する最新調査の結果をご紹介します
物価高や相次ぐ自然災害、猛暑などを背景に、生活者の防災意識や備えはどのように変化しているのでしょうか。実際の対策状況や世帯構成による違い、被災経験との関係、そして防災対策のハードルから、防災意識・備えの現在地を読み解きます。
※調査は7月28日に発生した令和8年熊本地震より前に実施しています。
調査結果によると、家庭での「1人あたりの防災対策費用(過去1年)」は2,877円となり、前年とほぼ同水準でした。地震や猛暑など防災への関心が高まる出来事が続いた一年でしたが、防災関連支出は大きく増加しませんでした。また、「今後1年間でかけたい防災対策費用」は5,271円で、2年連続で減少しました。過去の調査では大規模地震の発生後に支出意向が高まる傾向もみられており、防災意識は災害発生の影響を受けやすいことがうかがえます(図表1)。
図表1

防災対策実施率は3年前と比較すると5ポイント増加しています。その背景には、単身世帯(一人暮らし世帯)の実施率が32.0%から40.2%へ上昇したことも影響していると考えられます。年代別にみると、20代単身世帯については、1.8倍近く増加していました。
とはいうものの、全体では約半数、単身世帯では約6割が防災対策を行っていません。取り組みの広がりがみられる一方で、さらなる防災対策を継続的に後押しする取り組みが求められます(図表2)。
図表2

続いて、現在実施している防災対策をみていきます。「水」(34.0%)、「レトルト食品・インスタント食品」(28.2%)が上位となりましたが、全体としては、多くの備蓄・防災用品関連の対策は前年を下回る、あるいは横ばいの結果となりました。調査では、「物価高や円安が防災対策やその費用に影響する」と回答した人は86.2%に上りましたので、物価高の影響もうかがえます。また、能登半島地震後に一定の備えが進み、新たな備蓄品購入が一巡した可能性もありそうです。
その一方で、「水分をこまめにとり猛暑(高気温)対策」(26.4%)や「冷房・扇風機併用」や「外出控え」をはじめとする猛暑関連の対策は前年から微増しました。近年の猛暑・酷暑を受け、防災意識が「いつか起こるかもしれない災害」への備えから、「毎年直面するリスク」への備えにも向けられているようです(図表3)。
図表3

被災経験有無による対策状況の差異はどうでしょうか。地震被災経験者では、防災対策の実施率が、調査対象とした48項目の防災対策すべてで全体を上回りました。特に、図表4の通りライフライン停止時に直結する備蓄品において高く、「水」は4割超。さらに、「乾電池」や「モバイルバッテリー・充電器」など停電への備えは、全体の130%前後となっています。また、「水分をこまめにとる」などの猛暑対策も実施率が高く、被災経験者ほど幅広い防災対策に取り組む傾向がみられました。
図表4

最後に、現在防災対策をしていない人にその理由を聞いたところ、最も多かったのは「必要性は感じるが後回しにしてしまう」(42.2%)、次いで「何から始めればよいかわからない」(28.8%)となりました。また、「お金がかかる」(22.9%)も3位に食い込んでおり、日々の生活コストが上昇するなか、防災の必要性を感じながらも支出に踏み切れない生活者の姿も想像されます。
調査結果からは危機感の欠如も一定みられるものの、それ以上に危機感を具体的な備えへ結び付けることが課題であるようです。地震の被災経験者で防災対策が進んでいる実態も踏まえると、防災を自分事として捉えられるきっかけをどう作るかが、今後の鍵になるのかもしれません(図表5)。
図表5

防災への関心が低下したわけではない。それが今回の調査から見えてきた一つの姿です。防災対策実施率は5割を超える水準を維持した一方で、防災対策費用は横ばい、今後かけたい費用は2年連続で減少しました。被災経験者では対策がさらに進んでいましたが、未実施者の4割は「必要性は感じるが後回し」と回答しています。生活者が抱える課題は、危機感の不足というよりも「最初の一歩」の難しさにあるのかもしれません。防災を自分事として捉えるきっかけをどう作るか。その問いは、これからの商品・サービスや生活者とのコミュニケーションを考える上でも重要になりそうです。
インテージでは、今後も生活者の防災意識に注目してまいります。
<調査概要>
調査地域:日本全国
対象者条件:15~79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=5000 ※国勢調査にもとづき性別・年代・地域を母集団構成に合わせて回収
調査実施時期: 2026年7月22日(水)~7月27日(月)
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