絆を作るブランド経験から見えてきた、生活者を幸せにするブランドの在り方

2018年3月1日(木)・2日(金)、ヒルトン東京お台場にて「サステナブル・ブランド 国際会議2018東京(SB Tokyo2018)」が「REDEFINING THE GOOD LIFE (“グッド・ライフ”の再定義)」をテーマに開催されました。「サステナブル・ブランド国際会議(SB)」はサステナビリティとブランドの統合をテーマとし、世界11カ国12都市で開催されている国際会議で、東京での会議は昨年に続き2回目となります。本会議に、インテージはシルバースポンサーおよびリサーチパートナーとして参加。「日本の生活者にとってのグッド・ライフ」を再定義するための意識調査を実施し、結果を発表しました。
(調査結果はグッド・ライフ意識調査から見えてきた日本人の幸せとは?(前編)グッド・ライフ意識調査から見えてきた日本人の幸せとは?(後編))でご紹介しています。)
本記事では、企業やブランドがどのように生活者のグッド・ライフや幸せの実現に貢献できるのかについて、同会議で行ったインテージ定性ソリューションスペシャリスト星晶子の発表をベースにご紹介します。

【目次】

 

ブランドは生活者のグッド・ライフや幸せの実現を助けてくれているのか?

日本の生活者は、企業やブランドが自分たちのグッド・ライフや幸せの実現に貢献してくれることを期待しているのでしょうか。また、現実として、企業やブランドがグッド・ライフや幸せの実現に貢献してくれていると感じているのでしょうか。インテージが実施した全国18~75歳男女2,240人を対象にした「日本人のグッド・ライフ意識調査」の調査結果からは、企業やブランドに対する期待と現実のギャップがうかがえます。

まず、「グッド・ライフを実現するのに役立つブランドを支持する」については82%が支持すると回答しており、企業やブランドへの高い期待が示されています。一方で、「企業は消費者の幸福を大切に考えている」かについては、考えていると回答した人が63%、「消費者が手に入れられる製品やサービスの大半はグッド・ライフを送る上で」役に立つと回答した人は52%でした。

企業やブランドが自分たちのグッド・ライフや幸せの実現に貢献してくれていると生活者が感じているかどうかについては、まだ伸び代がある状態と言えそうです。

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ブランド・ファンのストーリーから見えてくる、生活者のグッド・ライフや幸せの実現に貢献してくれるブランドの在り方

それでは、ブランドが生活者のグッド・ライフや幸せを考えるということはどういうことなのでしょうか。また、どうしたらブランドが生活者のグッド・ライフや幸せの実現に貢献できるのでしょうか。その答えを探す上でヒントとなりそうなのが、ブランド・ファンが語る「ブランドと私」のストーリーです。インテージでは、コグニティブ・インタビューを応用したストーリーテリングの手法を用いて、これまで200名近くの生活者が語る「ブランドと私」のストーリーを聴いてきました。

参考:「ブランド経験」とは何か?どのように捉えるべきか?
   コグニティブ・インタビューとは?警察のインタビュー手法をマーケティング・リサーチへ

ブランド・ファンのストーリーでは、どのようなプロセスでブランドとの心理的な結びつき(絆)が築かれたのか、ブランドはどのように生活者の人生を豊かにしてくれたのか、絆を感じているブランドとは生活者にとってどのような存在・関係性なのかが語られます。ここでは、これまでに集めた200近いストーリーから見えてきた「絆に至るプロセス」と「絆を作るブランド経験価値」についてご紹介します。

●絆に至る2つのプロセス:「目指して歩く」と「共に歩む」

まず、どんなプロセスを経て生活者がブランドに絆を感じるに至るのかを見てみましょう。これまでインテージが集めてきたストーリーから、「目指して歩く」「共に歩む」という大きく2通りのプロセスがあることが分かりました。

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手の届かない憧れブランドに段々近づいていく、「目指して歩く」プロセス

「目指して歩く」は、一目惚れした憧れの存在に徐々に近づいていくプロセスです。ブランドに出会った時点で強く惹かれているものの、高級ブランドで手が出ない、海外や都会にしかないブランドで手に入りにくい、或いは、子どもの自分にとっての成熟した大人のブランドというように何らかの距離があり、ブランドは手が届かない憧れの存在です。しかし、下記のティファニーの例のように自身が成長したりライフステージが変わったりするにつれて、手が届かない存在だったブランドにだんだん近づいていくというプロセスになります。

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人生に寄り添い、段々と絆を深めていく「共に歩む」プロセス

一方、「共に歩む」は、友だちから始まり、徐々に恋人になるようなプロセスです。出会った当初は、下記のカシオ(電卓)の例のように「ボタンの押しやすさ」など機能や品質面で気に入っている程度で、それほど強く惹かれたわけではない場合もあります。しかし、人生の様々な局面を一緒に歩んでいくに従って関係が深まり、掛け替えのない存在になっていくというプロセスになります。

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様々な形で生活者の人生に寄り添う「共に歩む」ブランド

生活者のストーリーには「共に歩む」ブランドが様々な形で生活者の人生に寄り添っている例が見られます。上記のカシオの例では「カシオと自分の連携プレー」と語られており、一緒に頑張ってきた「チームメイト」や「戦友」のような存在であることがうかがえます。その他にも、苦しいときに手を差し伸べてくれて自分らしさを取り戻すことを助けてくれる「メンター」のような存在や、自分が頑張らなければならない節目節目で応援してくれる「サポーター」のような存在など、「共に歩む」ブランドが様々な形で生活者の人生に寄り添ってくれていることが分かります。


●絆を作るブランド経験価値

次に、どのようなブランド経験が、絆形成に貢献するのかを見てみましょう。絆形成に至るブランド経験価値については、大きく2つのタイプのブランド経験が見られました。1つは「インパクトのある経験」、もう1つは「アイデンティティに関わる経験」です。

感動体験とワクワク体験

まず、インパクトのある経験として「感動体験/ワクワク体験」があります。ブランドとの関係が発展していく中で、どの段階で経験するかによって「感動体験/ワクワク体験」がブランドとの絆形成に果たす役割が異なります。まず、ブランドと出会ったときに強く心を揺さぶられた経験として登場する「感動体験/ワクワク体験」は、ブランドが特別な存在として生活者に認識される役割を果たしてくれます。例えば、以下のアップルのような経験です。

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一方、絆ができてから経験する「感動体験/ワクワク体験」は、出会いの場面での「感動体験/ワクワク体験」ほどの衝撃はない場合が多いものの、倦怠期に陥らずにブランドへの思いを強いまま持ち続けてもらうために重要な経験価値となります。下記サントリーの例で「味つきの天然水やヨーグリーナなど、新しいものを創り続けているのに惹かれて、今もサントリーを好きになり続けている」と語られているように、ブランドとの絆ができた後でも、折々ワクワクする、心に響く体験をすることによって「私の選んだブランドはやっぱりすてき」とブランドへ思いを新たにすることができます。

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ブランドがアイデンティティの構築を助けてくれたり、アイデンティティの拠り所に

生活者がブランドに対して強い絆を感じているとき、ブランドが何らかの形でその人のアイデンティティの形成に関わっている例が多く見られます。例えば、自分らしさを象徴する存在であったり、なりたい自分になるために大きな役割を果たしてくれるなど、ブランドがアイデンティティの構築を助けてくれる場合や、アイデンティティの拠り所となっている場合があります。

前述のカシオのように、それまで自信がなかった自分がカシオの電卓と連携して経理のスキルを身に着けることで人に認められ、自分でも自分の価値を認められるようになったという例や、下記のアドビ イラストレーターの例のように夢を実現する手助けをしてくれたという例では、ブランドは生活者のアイデンティティの構築を助けてくれていると言えます。

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一方、下記のディズニーリゾートの例では、ディズニーリゾートによって大切な人と自分とがつながり、絆が深まったという経験によって、ブランドがアイデンティティの拠り所となっています。

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このように、生活者が語る「ブランドと私」のストーリーには、グッド・ライフや幸せの実現を後押ししてくれるブランドの在り方を考える上でのたくさんのヒントが隠されています。生活者との心理的な結びつき(絆)を築いているブランドは、人生に近しく寄り添い、直接的なベネフィットの提供に留まらず人生に豊かさや幸せをもたらしてくれていることが生活者のストーリーから分かります。

人生に寄り添う上でのブランドと生活者の関係性や、ブランドが生活者にどのような豊かさや幸せをもたらしてくれるのかには様々な形が見られます。生活者に自分たちのグッド・ライフや幸せに貢献してくれるブランドであると受けとめられるためには、まずはブランドの価値や資産がどのように生活者を幸せにできるのかを問い直すところから始めてみてはいかがでしょうか。

今回の分析は、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。
【日本人のグッド・ライフ意識調査】
調査手法:インターネット調査
調査地域:全国
対象者条件:18―75歳男女
標本抽出方法:弊社「キューモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n= 2,240
調査実施時期:2018年1月22日(月)~2018年1月25日(木)

【最愛ブランドに関するインタビュー】
調査手法:デプス・インタビュー
対象者条件:20ー59歳女性
インタビュー件数:n= 30
調査実施時期:2015年8月20日~2015年8月22日

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