外出自粛で生活者の行動はどう変わった? データに見る巣ごもり実態

新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、4月7日には7都府県に対して緊急事態宣言が発効され、4月16日にはその範囲が全国に広がっています。感染が広がり始めた2月の中頃から、生活者は様々な行動を自粛してきましたが、さらに自粛の対象が広がり、不要不急の外出以外は家にいることが求められています。
この記事では、全国一斉の休校要請、週末の不要不急の外出自粛、緊急事態宣言と、行動制限が増え、家にいる時間が増えたことによって、日用消費財の買い物やメディア視聴といった生活者の行動にどのような変化が見られたかを見ていきます。

【目次】

これまでの主な動き

これまでの主な動きをまとめました。2月の中頃「国内発生の早期」という認識が発表されて以降、企業がテレワークなどの対策を開始し、その後徐々に自粛要請の範囲が広がっていく様子がわかります。

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外出自粛で日用消費財の買い物はどう変わった?

図表1は、2019年3月25日(月)から2020年4月12日(日)にかけての、食品と日用雑貨品の市場規模の推移です。

図表1

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2月27日(木)の夕方、安倍首相が全国の小中学校と高校、特別支援学校に対する休校要請を出しました。このときトイレットペーパーのデマの影響が重なったこともあり、食品は年末の需要期を超える水準に、日用雑貨は2019年9月の消費増税前の駆け込み消費時を超える水準にまで市場が拡大しました。
※この時の詳細なレポートは一斉休校要請やデマによる消費財市場への影響(PDFレポート・3/9公開)をご覧ください。
その翌週以降も食品の市場規模は通常期より高い水準で推移し、小池都知事が週末の不要不急の外出を自粛するように求めた3月25日(水)の週以降は、年末需要期並みの状態が続いています。

数度に渡る要請を経験する中で、いつどのようなものが売れたのでしょうか?インテージのSRIデイリーデータを用いて通常時と比べて販売が増えたタイミングやその増え方を基に、食品・飲料・アルコール飲料の137カテゴリをグルーピングした結果が図表2です。

図表2

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この間のできごとと連動して販売が伸びたカテゴリーは、
●休校や外出自粛といった、行動を制約する発信があった時に特に販売が増える、米やカップ麺といった“行動制約による食材備蓄”のためのカテゴリー
●調味料や日配品、家でよく飲む飲料など、“内食増加対応”のためのカテゴリー
●スパゲッティーや冷凍調理品など、“内食のバラエティをひろげたい”ときに役立つカテゴリー
●ここへきて徐々に販売が増えてきているアルコールやジュースなどの“巣ごもり食生活を楽しむ”ためのカテゴリー
の4つに分類されました。
内食のニーズが食品市場を大きく押し上げていることがわかります。

外出自粛で増える内食 メニューの工夫は?

ここからは、実際に内食機会がどの程度増えているのか、主婦の食卓実態を捉えているインテージのキッチンダイアリーのデータでみていきましょう。
図表3は平日と休日それぞれの昼食の内食率の推移です。

図表3
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平日の昼食の内食率は3月2日に小中学校・高校・特別支援学校の原則休校が始まった直後に大きく伸び、その後も68%前後と、前年の同時期よりも6~7ポイント高い状態で推移していることがわかります。

一方、休日の昼食の内食率は一斉休校が発表された2月24日週の週末から増えています。この週は、大規模イベントの自粛要請などもあり、自粛ムードが一気に高まった週でもあります。また、要請が出ることによって感染のリスクが高まっていることを実感し、外食を控えようと思った人が少なからずいたと考えられます。
休日の昼食の内食率はその後も伸びていきますが、多くの報道で自粛疲れが話題となった、3月20日~22日の3連休に下がっていることが確認できます。前年の3連休の時よりは多少高いものの、自粛が始まる前とほぼ変わらないレベルにまで下がってしまいました。
ただ、この直後に出された首都圏各都県の週末の不要不急の外出自粛要請を受け、内食率は80.2%にまで高まっています。前年の同週が春休みの影響で61.8%なのに対し、その差は実に18.4ポイント。多くの人が自粛している様子が確認できます。

次に夕食の内食率の推移を見てみましょう。(図表4)

図表4
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平日の夕食の内食率は1月末からずっと94%前後で推移しています。通年だと春休み時期には少し内食率が下がる傾向にあるのですが、今年はその傾向は見られません。

休日の夕食の内食率は、昼食同様2月24日週の週末から高くなっています。自粛疲れの影響、週末の外出自粛要請の効果も昼食と同じ傾向です。3月23日週には夕食の内食率93.0%にまで高まっています。
ここからはさらに平日の昼食の内食実態を追っていきます。上述した通り、平日の昼食の内食率は一斉休校がスタートした3月2日週以降にその水準が上がっています。この変化はどのような世帯で特に起きていたのでしょうか。世帯の属性別に3月の昼食の内食率を前年と比較してみました。(図表5)

図表5
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主婦の就業状況別に見ると、通常は家で昼食を食べる機会の少ないフルタイムの主婦で、特に内食率の伸びが見られました。在宅勤務へのシフトや子供の休校に伴う休暇取得などで在宅時間が増え、昼食を作る機会が増えていることが想定されます。
また、末子年齢別に見ると、末子が9-11才、6-8才の順に昼食の内食率が大きく伸びていました。小学校の休校が特に内食行動に大きな影響を与えたと言えそうです。

昼食で食べるメニューにはどのような変化があったのでしょうか。図表6は主食、主菜、副菜それぞれの、食卓への出現率が増えたメニューです。※TI値は食卓1000回あたりのメニュー出現回数で、出現率を表す値です。

図表6

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特に出現率が増えたメニューを見ると、比較的手間のかからない麺やパスタを利用したメニューのほか、オムライス、チャーハン、ピザ、ハンバーグ、から揚げといった「子供が好きなメニュー」が特に食卓出現率が増えていました。このうちハンバーグやから揚げといった主菜は、冷凍食品の利用が増えています。(図表7)

図表7
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3月の昼食の内食実態からは、小学校の休校の影響を受けた世帯を中心に昼食づくりの回数が増えていることや、手軽に作れる麺やパスタのほか、冷凍食品などの“巣ごもり対応食品”を活用して子供の喜ぶメニューを作る機会が増えているという実態がみられました。

4月に入り、緊急事態宣言が出たことで、平日の昼間の在宅率はさらに上がっています。また、子供だけでなく、家族全員で平日の昼食をとる人が増えていることが想定されます。知るGalleryではこの後の内食行動にもさらに注目してまいります。

メディアへの触れ方はどう変わった?

在宅時間の増加は、家での過ごし方にも影響を与えます。ここで生活者のメディア接触実態をログで捉えているインテージのi-SSP®データでメディアに触れる時間の変化を見てみましょう。(図表8)

図表8

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2月24日週から多くのデバイスで利用が増加し、原則休校が始まった3月2日週、首都圏の各知事が平日も在宅勤務をするように訴えた3月30日週と、段階を追って利用時間が増えていることがわかります。この傾向は特に、PCとTVで顕著に見られています。
また、土日祝日のデータからは、内食率で見られた傾向と同様、3連休の自粛疲れが話題になった3月16日週の週末はやはりテレビを見る時間が一時的に下がり、週末の自粛要請が出された3月23日週に大きく伸びている様子が確認できました。

メディア接触時間に変化が見られだした2月24日週の前後で視聴コンテンツを比較したところ、利用が特に増えていたコンテンツは、テレビでは「ニュース/報道」「バラエティー」「情報/ワイドショー」、パソコンでは「SNS・ブログ」「EC」「ポータル」「動画」でした。情報に対するニーズや、巣ごもりで過ごすための消費・エンタメに対するニーズが高まっていることがわかります。

新型コロナウイルスに関しては、わからないことが多く、報道の内容や姿勢もメディアによって様々です。そんな中、生活者は情報に対してどのような意識を持っているのでしょうか。図表9は情報に関する考え方を聞いた結果です。

図表9
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正しいと思える情報を自分で集めるようにしている、と回答した人が約55%、煽るような報道には極力触れないようにしているという人が約48%みられました。センセーショナルな情報・発言が話題になる一方で、最近はnews every.の藤井キャスターの言葉が視聴者に寄り添っているとして共感を呼び、Twitterのトレンドに入るといった現象が話題になっています。在宅時間が増え、個々人が様々な情報に触れる中から自分が正しいと思える情報を選び取れるいま、どの情報に触れるかによって価値観の多様化はさらに進んでいくのかもしれません。

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今回の分析は、SRIデイリーデータ、キッチンダイアリー、i-SSP®、自主企画調査を用いて行いました。
【SRI®(全国小売店パネル調査)】
スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約4,000店舗より収集している小売店販売データです。このデータからは、「いつ」「どこで」「何が」「いくらで販売された」のかが分かります。店頭での販売実態を捉え、ブランドマーケティングや店頭マーケティングにご活用いただけます。

【キッチンダイアリー®】 
1,260世帯の食卓・調理の状況を食場面(朝食・昼食・夕食)ごとに継続的に捉えたデータです。商品開発のヒントとして、また、流通向けの販促提案情報としてご活用いただけます。

【i-SSP®(インテージシングルソースパネル®)】
インテージの主力サービスであるSCI®(全国個人消費者パネル調査)を基盤に、同一対象者から新たにパソコン・スマートフォン・タブレット端末からのウェブサイト閲覧やテレビ視聴情報に関して収集したデータです。当データにより、テレビ・パソコン・スマートフォン・タブレット端末それぞれの利用傾向や接触率はもちろん、同一対象者から収集している購買データとあわせて分析することで、消費行動と情報接触の関係性や、広告の効果を明らかにすることが可能となります。また、調査対象者に別途アンケート調査を実施することにより、意識・価値観や耐久財・サービス財の購買状況を聴取し、あわせて分析することも可能です。
※ シングルソースパネル®は株式会社インテージの登録商標です。

【自主企画調査(ネットリサーチ)】
調査地域:日本全国
対象者条件:15-79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「キューモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースにウェイトバック
標本サイズ:n=3,896
調査実施時期: 2020年3月24日~26日

※キッチンダイアリー、i-SSPでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません。

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